「僕たちは橋の下で生まれたわけじゃないんだから、放っておくことができないんだよ」

ベトナムで自分の工場を立ち上げて、15年以上になる彼が言った言葉です。
彼は、親の介護問題に直面し、工場をたたんで日本に帰ることも考える状況にまでなっています。
また、もうひとりの中年男性は、日本に住む妻に親の介護を任せきりで、家庭崩壊寸前まで来ています。

働き盛りの40~50代の男性にとって、無視することが出来ないのが親の介護です。
僕の親も70代半ばで、あと5年位したら真剣の親の介護について考えなければなりません。
日本の核家族化、少子化が生んだのが、孤独な老人とワンオペ育児ママ。

さらに、僕みたいに海外で働いてしまうと、親に何かあったとしても、すぐに飛んでいくことができません。
親の介護が必要になった状況で、海外在住の僕たちとる選択肢は何があるのでしょうか。

1帰国して親の近くで仕事をしながら親の面倒をみる

おそらく、親にとっては一番嬉しい選択肢です。
が、海外在住希望者にとってはツライ選択肢です。

日本に住んですぐに仕事が見つかるかもわかりませんし、いまの収入よりも少なくなる可能性もあります。
もし配偶者が外国人で日本語を話せなければ、配偶者が日本滞在に苦労することになります。
また、子供の教育環境の変化もおおきな問題になります。日本の教育を受けさせるために戻る人も少なからずいます。

日本に住むと出費が増えるため、日本に帰って今以上の収入のある職につけるか、が大きなポイントかと思います。

2親に施設に入ってもらう。

まず、有料老人ホームに入ると非常にお金がかかります。また、介護業界は人手不足で介護者に問題がある人が増えてきました。

最近では、ベトナム人に介護人材の白羽の矢が立っており、日本語N4レベルでも受け入れるという話になっているそうです。
N4レベルだと簡単な挨拶程度しか出来ないレベルです。英検の4級を想像してもらえばよいです。
そんな日本語レベルでは、話し相手にもなりません。

介護の仕事は、キツイ上に給料が安く、他の企業で就職できない人が行き着く最後の就職先にもなっています。
有料老人ホームとはいえ、親がどんな扱いを受けているのかわからないのも事実です。

3ベトナムへ呼び寄せて一緒に暮らす

僕が考えているのはこの選択肢です。
ベトナム在住の知人も親をベトナムに呼び寄せて、彼の奥さん(ベトナム人)が親を介護していました。
今年に入って亡くなりましたが、最後は寝たきりと痴呆症で、お風呂にも自分で入れず、彼も奥さんも苦労していました。

親をベトナムに呼ぶと、親にとっては環境が変わってしまうので、親にとっては嬉しくないかもしれません。
しかし、海外在住者にとってはこの方法が一番望ましいでしょう。子供がいれば、祖母が孫に日本語や日本の文化を教えてくれます。

この映画がまさに、そんな物語でした。

 

 

 

ただし、ベトナムは医療後進国で、難病になった場合治療が難しい、医療費が非常にかかる、といった問題があります。
実際に、ベトナムの高齢者は医者に見捨てられるので、よほど裕福の家でないと治療ができません。

4そのまま

自分の兄弟がいれば、彼らにまかす。
もしくは、親の一人の力で生きていってもらう。
思い起こせば、僕の祖母は92歳で亡くなりましたが、死ぬまで一人で生きていました。

体と頭のバランスが良ければ、高齢者でも一人で生きられます。

ただし、高齢者は「転んだ拍子にケガをして寝たきりなる」という例が多いそうです。
それに、最後一人で死んでいくというのもなんとも可愛そうですね。

 

親の中には、
「子供に近くにいてほしいけど、子供が仕事を辞めてまで苦しい思いして、介護してくれなくていい」
という人もいます。

この4つの選択肢に正解はないし、他の選択肢を考えても良いです。
ただし、僕たちは親がいなければこの世に生まれてこなかったわけだし、簡単に答えをだせない問題ですね。