風景
板から墨だししてカットすると物からパーツに変身 、一気にサバニのイメージが浮かんでくる。
新造のサバニは「生まれる」という表現をするが、この辺りはその息吹を何となくイメージさせてくれる。
この時期 例年なら練習のためにサバニで海に出る機会も多くなるが、造船場の空間が気持ちよく、つい長居してしまう。
ついでに手を付けでいなかったサバニのメンテナンスもできる。週末も重なりお客様や久しぶりの友人など、ひっきりなしに覗きに来てくれる。
造っている大工にとっては集中できる環境とは言いがたいだろうが、公開をうたっている以上慣れてもらうしかない。
子供の頃、海のそばに小さな木造船があった。いつの間にか無くなってしまっていたが、粗末な小屋だったので板の隙間から木の粉がモウモウと舞っていたのを今も記憶に留めている。
今、一生に一度は見てみたい絶景 と いろいろなところが紹介されている。ちょっと意味合いは違うのかも知れないが、ここもいい景色だと思う。
サバニ大工 新城さんの入院
手術を終え、
もう暫くはここ那覇市天久の大浜第一病院でリハビリの予定。
新城さんには迷惑かけたくないから、と言う理由で、
「誰にも言うなよ!」
と 言われているが、中には教えてくれよ。の声も。
そんな訳で、
何人の人が覗いてくれるのか怪しいがブロクで公表しちゃいます。
やはりお見舞いは喜ぶと思います。
是非!
練習
南西諸島一帯 気圧の変化がなくこの時期にしては珍しく時折 緩い北の風が流れている。
座間味のレースが終わり、ついサバニから離れがちになりそうだがレースのためではなく単純にサバニで遊ぶために海に出る。
海想は帆かけサバニ活動を積極的に行っているが、かといってサバニに関わるスタッフに特別な優遇をしている訳ではない。それでもこうして限れた自分の貴重な休みをサバニに当てているのが嬉しい。
最も難易度の高いサバニだから、いつもならとっくに沈している頃だが、まだ一度もない。
沖縄と言えど冬はさすがに沈は堪えるから夏こそ沈の練習をしてほしいのだが、
継続は力なり なかなかいい感じに乗りこなしている。
他の乗り物も同じかも知れないが、帆かけサバニは乗れば乗るほど奥が深く難しい乗り物だと理解できる。
改めて、こんな舟を仕事として使用していた先人はどれ程の時間をかけてここまでに到達したのだろう。
乗ることでしか分からないことはあると思う。 自転車を理屈で覚えられないように体が勝手に反応するようになるまで、
サバ二レース ふりかえり
今年のレースはトップ3チームが最後の最後まで競い、実に楽しいレースだった。
(今だからのんびりと言えるが、)
レース終了直後、ざまみ丸艇長・ユキボーから「面白かったなー」と声を掛けられ 私は大きく頷いた。
清々しくも晴れ晴れとした気分になった。
勝っても負けても これほど気持ちのいいゴールはなかった。
今夏はじめて女海想の舵を握ったキミから
「どうして当初の予定にないコースに行ったのか?」と質問があった。
同じような質問を、ざまみ丸や、やんばるチームの満名さんからも聞こえてきた。
「急にコースを変えるから何かあったのか?」
「何か訳があるはずだけど着いて行く勇気がなかった。」と。
表彰式では簡単な説明をしたが、
式のあと、4チーム(海想、女海想、やんばる、サバニトリップ)の応援とクルーが海想の事務所に戻ってから舵取りを担当した3人に詳しく説明した。
私の戦略が正しかったのかそうではなかったのかは、これを見る方の判断に任せたい。
自身はトップでゴールする戦略では間違っていなかったと思っている。
問)前島を過ぎてどうして当初の予定にないチービシ側に下ったのか?
(その前にこれまでの戦況を)
海想はスタートから順調なスタートを切った。初めの灯台下で既にトップの位置にいた。
この時点である程度いける。と思っていた。
ただ問題は弥帆が使えない状況になれば戦況は大きく変わる。
勝負はジシップを超えてから風が弥帆に入ってくれるかが勝敗を分ける。
灯台下を超えてからも弥帆を利用すべくやや左側のコースを取り、なるべくバタつく環境を無くそうと考えた。
潮とやや強い風と最短距離を走っていたざまみ丸に結局、儀志布(ジシップ)のコーナーでは並ばれてしまった。
弥帆を犠牲にしても最短コースを行った方がよかったのかは今もって判断がつかない。
儀志布から前島までは黒島近辺では突風でカムのビスが抜けて、突然 帆が大きくバタついた。
マストが前後左右に激しく揺れ、すんでのところで折れるところだった。
ゆっくりティンナーを引き、舟を風上に向けた。
これよりカムは使用できないので腕だけで踏ん張るしかない。
スピードが乗らない内にティンナーを引きすぎるとマストが耐えきれなくて折れる恐れがあったので方位は無視してゆっくりゆっくりと立て直していった。
このトラブルで直ぐ後ろを走るやんばるチームとざまみ丸に抜かされると思ったが、以外とその距離は変わらなかった。
突風が過ぎ去ると弥帆が前後に揺れだした。
つまり弥帆の風が入っていなく単に抵抗になっているに過ぎない。
弥帆をグイッと引き、風に立てて主帆だけで走った。
こうなると主帆の面積で勝るやんばるやざまみ丸に追いつかれてしまう。
案の状、前島のリーフを超える時はやんばるチームに並ばれてしまった。
まだ半分も来ていないのに貯金を使い果たし、この先風は私に味方してくれそうもない。
このまま同じコースを走れば結果は見えている。
きっと前日のミーテングどおりに風が上がる少しのぼり気味のコースを取るだろう。
前島のリーフを超えて、私も同じコースを取っていたが大きなうねりが北東方向に入っていた。 このうねりを利用することにした。
この時点で弥帆にはまだ十分に風が入っていなかった。
弥帆を利用するには方位を120~130度前後に戻す必要がある。
そのためには一旦下り角度を付ける必要がある。
どの時点で戻すかは難しいところだが、少なくともうねりが十分な大きさになるまでは戻せない。
並んでいる2艇は前島が遮っていた風を抜けてグングンスピードを上げているころだろう。
恐らく2艇は下に行った海想はトップ争いから脱落したと想像する。
そしてうねりに乗るように、やんばるとざまみ丸の遥か前方に向けて舵を切った。
弥帆は十分とは言えなくともバタつくことはなかったのでその役目をはたしていた。
大きかったのはこのうねりに乗れたこと。
乗る瞬間は少し北東へのぼすぎてはいたが、乗らない時に修正し、そのロスを差し引いてもスピードが勝った。
上位2チームとゴールとの延長線に入ったときにどちらが先に前に来ているか?でこの戦略の良し悪しが決まる。
そしてその延長線に並んだときは私は他の2艇を大きく離すことに成功した。
これより先、風が落ち追い風気味となっては前島で追いつかれたように後方のチームが有利になる。状況は決して楽観できないし他の選択肢は限られている。
この距離を維持しゴールするしかない。
やはりジリジリとやんばるチームが にじり寄っていた。
ゴール直前では追いかける勢いで威勢のいい掛け声が聞こえてきた。
何とか逃げ切ったが、その差はたったの2分だった。
おわり。


・座間味入りの船上、コースの下見で盛り上がる
・プレレース・マリリンカップではギャラリーも乗せて座間味の海を楽しんだ


・レーススタート
・女海想の伴走船はサバニ「とも丸」山城昌城氏!


・今年はゴムボートでサポートしてくれたカメラマンの村山喜昭氏!
・「海想」今年はルーキーを迎えて挑んだ


・「女海想」今年はルーキー舵取りで上位チームを追いかけた
・「やんばる」いつも笑いの絶えないクルーたち


・「サバニトリップ」自作のサバニで挑むマコト+西表島からのクルーを迎えて
・スタート前、「楽しもう!」が合言葉。


・表彰式会場にて
サバニ旅2016
今夏のサバニ旅は、奄美群島 加計呂麻島周辺、二つの無人島を含む七つの島、十二の集落を駆け足で回った。
行き先だけは何となく決めて、キャンプ地はその時々で決めた。
請島(うけじま)の港に設置されてあった案内図を見て、初めて近くに無人島があるのを知り、その日のキャンプ地が決まっていったように、なるべく先のことは決めない。
予定などないほうが、より自由でその時の条件下に最も合う選択ができる。
長い航海で身につけた旅の極意。
初めて参加するクルーは、天候や海況が刻々と変わるように自然に沿って行動するスタイルに慣れるまでストレスを感じるようだが、日を重ねるごとにそれがこの旅ではごく当然のことと受け止められるようになると何かから解放されていくのに気づく。
集落に入ると、いつの間にかクルーの誰かが焼酎を片手にしている。
もしかして、この地は初めて会う人に焼酎をあげるのが習わしなのだろうか?
と思える程、立ちよった先々で見知らぬ方々から焼酎を頂く機会が多かった。
毎夜飲んでいるのに減るどころか増えていった。
自然が濃厚に残る奄美大島。
この地に根差した人々の暮らしと文化。
奥が深、この旅ではまだまだ垣間見た。とまでは言えない。
近い内にまたゆっくりとサバニで回りたい。
【立ち寄った先】
沖永良部島知名港、徳之島亀徳港、ハンミャ島、請島(うけじま)西のビーチ、
請島池地(いけじ)、請阿室(うけあむろ)、木山島(きゃーまじま)、 清水(せいすい)、
ヤドリ浜、 古仁屋(こにや)、生間(いけんま)、 諸鈍(しょどん)、瀬相(せそう)、
押角(おしかく)先のビーチ、渡連(どれん)、嘉鉄(かてつ)


請島西の浜で野営 入り江の集落へ


請島 池地集落。島の郵便局員さんに氷を頂いた。 天然モズクが旬。


集落の地図で良さそうな場所を探して。 大島海峡 東口。


毎日が浜辺のキッチン。 エブリディー、シーサイドハンモックホテル。


集落の木陰でひとやすみ。


大島 マネン埼展望台から大島海峡を望む。 シーカヤックマラソンコースマップ。




古仁屋港。


加計呂麻島西阿室。


釣果上々。ごちそうさま。


押角 東のビーチ。






魚、時々、島豚料理。


地物の野菜サラダを添えて。


諸鈍(しょどん)の海。 生間(いけんま)の港に木造船アイノコ。