以下ご紹介です。どんな逆境でも他人を恨まず、妬まず、むしろ他人を励まし、助ける人こそ幸せなんでしょうね。あ、結論を先に言ってしまいました。


 なぜ物を買えば買うほど不幸になるのか?

「物を買っても幸せにはなれない!」と主張する研究は昔から山ほどあるんですが、近ごろベイラー大学が出した新しい論文は、「物質主義が不幸をもたらす理由」について踏み込んでいておもしろいです。


これは246人の被験者を調べた研究で、彼らの物質主義のレベルと幸福度の高さについて調べたんですな。すると物を買うのが好きな人ほど、日常の喜びが少なくて、結果として人生の満足度も低かった、と。


で、この理由について研究者いわく、


人間は新しい環境へ簡単に適応する能力を持っています。これが、物を買っても幸せになれない理由でしょう。

より多くの物を持ったとしても、たんに欲望のハードルが上がるだけだからです。大きな家を買ったとしても、その家のサイズにすぐ慣れてしまい、より大きな家を探すようになります。

この現象は、消費のトレッドミルと呼ばれます。いくら物を買っても、トレッドミルのスピードを上げているだけなのです。


以前に 「神経科学者が明かす、ダイエットが上手くいかない理由とは?」で紹介した「体重のセットポイント」(脳がつねに一定の体重を保とうとする仕組み)と似たようなもので、ヒトの脳にはつねに一定の幸福感を保とうとするシステムが備わっているんだってことですね。


また、物を買うことに囚われると、いまは物を持っていない自分に意識が集中してしまうため、どんどん幸福感が減ってしまうらしい。これはわかるなぁ。


で、この問題を解決すべく研究者が提案しているのが「感謝」の気持ちを持つこと。

人生に対して、もっとも満足度と幸福感をもたらすのは感謝です。これは、他人との関係性に関する感情のこと。

これまでの調査によれば、ヒトは他者を助けるほどやる気が出ることがわかっています。私たちは社会的な生物ですから、他者に対してポジティブに関わるのが一番いいのです。

ってことでして、「マシュー・マコノヒーのアカデミー賞スピーチにみる感謝の科学」でも紹介した感謝の効能がここでも出てきましたね。


ちなみに、論文の最後には、古代ギリシアの哲学者エピクロスの言葉が引用されていて、これがなかなか染みます。


持たざるものを求めることで持つものを損なってはならない。

しかし覚えておけ、いま持つものはかつて求めたものの内であることを。



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読後・・・

買えば買うほど求める自分の物欲からくる欠乏感で無限に縮減する幸福感に対して、他人に感謝したり他人を助けていけば無限に幸福感は増幅するという真実。