ワイナリーを訪れると大小様々なステンレスタンクが迎えてくれます。

開放型、密閉型、縦長、横長、耐圧、保温など、その用途や醸造所の規模に合わせた物です。

 

それら醸造用ステンレスタンクと少し変わった形のタンクを見る事があります。

少しずんぐりとして厚みがあり、上部に小型のモーターが見えます。後方にはコンプレッサーが唸っています。

このタンクは、酪農家が貯乳に使うバルククーラー(冷蔵保存に用いられるタンク)で、乳製品の工場を見学する機会があるれば、

見掛ける物で、乳製品の製造工程では欠かせないタンクです。

 

冷却、保温性、撹拌機、衛生的といった必要条件を満たしたタンクでワイン業界が流用した物です。

低温で酒石が落ちる事は古くから経験的に知られていました。

 

ビン詰め前に冷却により酒石の結晶化を早め、ビン内では安定した状態を保つ方法は、

人為的に酒石を安定化出来るようになった最初の方法です。

 

冷却にも幾つか方法があるのですが、冷却と合わせて行う『コンタクトフェアーファーレン』があります。

これは結晶の核になる小麦粉状にまで細かく磨り潰した酒石酸カリウム(酒石/コンタクトワインシュタイン)をワインと一緒にタンクに入れ、0℃近くで4~6時間撹拌し続けます。

ワインはおよそアルコール%の半分のマイナス℃(アルコールが12%なら-6℃)で凍るので-5℃までなら冷やしても凍らない計算になります。

その後、撹拌を止め、酒石を沈降させ、上澄みをろ過した物が酒石の安定した状態のワインです。沈殿した酒石核は繰り返し使えます。

核は少しずつ大きくなり、いつの間にか効果は減って来ますが、更に新しい核(コンタクトワインシュタイン)を加えて補います。

 

冷却に伴うコルト(電気代)が掛かりますが、安定化のチェック(2019.04.27)と合わせて確実な方法です。