緑柱石の宝冠 ★★★☆☆

 さる高貴な身分の方から極秘の融資の依頼があった。質入れ品として国宝級の宝冠を預かった銀行頭取は、それを自宅で厳重に保管するが、何者かに盗まれて・・・という話。

 

 良い子だと思っていた子供と悪い子だと思っていた子供が、最後に印象が逆転するのがおもしろい。

 メアリ、とんでもない娘だな。最後にホームズが彼女にも必ず罰が下るというような発言をしているのが怖い。

 馬鹿息子の方は最後ちょっと印象良くなったようにみえるけど、これ黙っているようなことじゃないですからね。お前が黙っていることによって状況が面倒臭くなってるやんっていう。

 アレな子供を二人も持った銀行頭取がひたすらかわいそう。

 

海軍条約事件 ★★★☆☆

 ワトスンの学生時代の友人フェルプスは、官僚の伯父から国家の重要機密事項が記された条約の写しを作成することを命じられた。夜遅くまでその仕事をしていた彼がわずかにその場を離れた隙に、写しが何者かによって盗まれてしまう。助けを求められたワトスンはホームズを伴って友人の元を訪ねるが・・・という話。

 

 大事な書類を残して席を立っちゃだめだって、読んでいる人はみんな思ったことだろう。

 でもそうしないと事件が起こらないのでしょうがない。

 

 犯人がこれから結婚しようっていう女性の兄って状況きついな。

 まぁこの二人なら兄のことは置いといて結婚して幸せになれそうだけど。

 

総評 ★★★☆☆

 私、シャーロック・ホームズってそんなに知らないんですよね。子供の頃に児童向けの大判のシャーロック・ホームズの本を持っていたのと、中学生くらいの頃に文庫の『シャーロック・ホームズの冒険』を読んだことがあるくらいで。児童書の方は『赤毛連盟』が入っていたのは覚えていますね。

 

 ホームズといえば初対面の人物の容姿とか残された持ち物から、その人間の人物像をスラスラと言い当ててみせるのがおもしろくて、そのちょっと変わった本人の性格も相まってすごくスター性のある名探偵ですね。

 当時のイギリスで大人気だったのもわかる気がします。イギリスで数々の探偵小説が生まれたのも、ホームズに続けと作家たちがしのぎをけずったからからだろうと思うし、コナン・ドイルとシャーロック・ホームズの功績は大きい。

 

 今回読んで意外だったのは、この短編集の収録作品がたまたまそういうものばかりだったのかはわかりませんが、最後に犯人がちゃんと警察に捕まっているものってあまりないんですね。だいたいホームズがそのまま放っておいたり、逃げるのを追わなかったりであえて見逃している。

 まぁホームズはあくまで探偵であって警察ではないってことなのでしょうが、犯人は最後にちゃんと捕まってくれないとモヤモヤするかなぁ。悪い人はちゃんと捕まってほしいじゃないですか、やっぱり。

 

 ここ最近のレビューを読んでくださっている方はお気づきかと思いますが、ずっと積読だった『世界の名探偵コレクション』の残りの巻を順番に読み進めていってます。あと手持ちはルパンとマーロウの巻だけなので、これらもぼちぼち読んでいこうと思っています。