★★★★☆

 テレビ放送を何回か見逃していたのですが、やっと観られました。コーネル・ウールリッチ ( ウィリアム・アイリッシュ ) 原作のヒッチコック映画『裏窓』。モノクロかと思ったらカラーでした。

 作品の内容に関する感想は小説の『裏窓』を読んだ時に書いたので、今回は映画を観た感想だけ書こうと思います。

 

 サスペンスタッチなのかと思っていたけど、思っていたよりはユーモラスな雰囲気でした。昔の洋画あるあるの小粋な会話の応酬が、いかにもな感じでおもしろいです。 

 舞台となる向かいのアパートや窓から覗いている各室内の造形が、ドールハウスっぽくてコミカルですね。そこで暮らしている住人たちの人間模様が窓を通して展開されていくのも楽しい。

 序盤あたりでパトロンの男性たちに囲まれた楽しげなバレリーナの部屋を覗いている時に、主人公は「いいご身分だな」みたいな感じでバレリーナを見ているのですが、恋人の方は冷めた目で「男をあしらうのは大変なのよ」みたいなことを言っているシーンは、男女の立場の違い、捉え方の違いををよく表現していて印象的でした。

 

 主演はヒッチコック作品でお馴染みのジェームズ・ステュアートとグレース・ケリーのコンビなのですが、相変わらずグレース・ケリーの美貌がものすごかったですね。カラーだから余計に。

 彼女のお色直しの回数もすごかったですよね。もう彼女の美しさが気になって、内容が頭に入ってこない。(笑)  美人はゴロ寝してても美しいんだなと。

 

 最後の犯人と主人公の対決のくだりを楽しみにしていたのですが、そこは思ったより短めでした。フラッシュを何回もたくシーンはちょっとシュールだったな。

 最後に両足骨折という古典的なオチもついて、まずまずの映画でした。

 序盤で主人公と恋人が二人の将来について深刻な会話を交わしていたのに、途中から事件の捜査に夢中になってそんなこと忘れられているの好き。この後、なんだかんだと言いつつもやっぱり結婚しちゃうのかな。