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 不朽の名作、『ポセイドン・アドベンチャー』。1972年の作品なんですね、生まれる前です。子供の頃にすでに一度観ているのですが、それも何回めかのテレビ放映だったのかな。

 

 客船ポセイドン号が地震による大津波により横転、船内に閉じ込められた人々を容赦ない浸水が襲う中、一人の牧師が数人の遭難者を率いて脱出を目指すサバイパルパニック映画です。

 

 子供の頃はそんなに怖い映画だった記憶がなかったのですが、今改めて視聴すると、事故シーンがめちゃくちゃ怖くて震える。下手なホラー映画より怖かった。そんなにグロいシーンとかはないんだけど、精神的にくる。

 特に事故直後の船が垂直になって人々が次々に転落していく様と、クリスマスツリーが倒れるシーンの絶望感がすごい。

 この事故がまた新年を祝うパーティのカウントダウンと重なっていて、歓喜と絶望の対比の演出もうまいんです。

 

 主要登場人物、牧師率いる遭難メンバーの内訳ですが、

・牧師 ( 主人公。神を頼るより自分で動け派 )

・少年 (やんちゃ、船内にくわしい)

・そのお姉ちゃん ( かわいい、美脚 )

・刑事のおっさん ( 俺様、声がでかい。牧師とことごとく対立 ) 

・刑事の妻 ( 元娼婦、派手め ) 

・おばあちゃん ( 太めなのを常に気にしている、水泳が得意 ) 

・おじいちゃん ( おばあちゃんの夫、温厚な老紳士 ) 

・雑貨店の店主 ( おとなしめ、シンガリを務めがち。女性に縁がなく独身 ) 

・女性歌手 ( 臆病、お兄ちゃん大好き ) 

・ポセイドン号のボーイ ( 船内にくわしい、片足負傷 ) 

 

 ・・・です。書き出してみたらけっこういた。    

 けっこういるのに、みんなキャラが立っている。特に水泳が得意な太めのおばあちゃんはみんな印象に残るんじゃないかな。それまで弱音ばかり吐いていた彼女が、潜水シーンで突然勇敢になるところ好き。

 このおばあちゃんのシーンと最後の牧師のシーンだけはずっと記憶に残ってた。

 

 主人公の牧師さんは聖職者だけどちょっと変わっていて、神を信じないわけではないけれど、まず神に頼らずに自分の力でやれ、行動しろと説く熱血タイプ。その牧師がみんなをぐいぐい導いていく。

 子供の頃に観た時は「牧師さんかっこえー!」という印象しかなかったけど、大人になってみると、この人けっこう俺様で苦手かも・・・と思うところも正直ある。いや、すごい良い人なんだけどね。

 「俺の考えが正しい! 俺についてこい!」とがなり立てるシーンが多いせいかな。この人に刑事のおっさんが怒られているところとか、おっさんかわいそう・・・と思ってしまった。おっさんも頑張ってたんだよ!

 

 まあでも、この"聖職者らしくない聖職者"というキャラがサバイバル映画としてはすごく良かったな。最後の「神よ、助けなくていいから邪魔はしないでくれ」的な名ゼリフが活きてる。

 かなり昔の映画だけど、本当パニック映画として完成されている。これは多くの人に観てほしい。若い人にも観てほしいな。