★★★★☆
ポアロの元へ「殺人を犯したかもしれない」と訴える若い娘がやってくる。ポアロはくわしく話を聞こうとするが、娘は「あなたは年寄りすぎるから相談できない」と言って帰ってしまい・・・という話。
若い女の子に年寄り呼ばわりされてキレるポアロに笑った。いや、本人には同情するけど。
しかも、それを後々までずっと引きずっているし・・・。
犯人 (?) と目される若い娘が自分で自分が殺人を犯したのかどうなのかわからない、さらに殺人事件が実際に起きたのかも、そうだとして誰が殺されたのかもはっきりしない・・・というかなりぼんやりとしたシチュエーションで展開するストーリー。
なのでミステリ部分はなんだか掴みどころがなく、いまひとつ真に迫ってこないので、ミステリどうこうよりも、「主人公の娘の複雑な家庭の事情」に、どちらかというと注力していました。
幼い頃に父親が愛人を作って家を出ていってしまい、父への憎悪に溢れる母の元で窮屈に育った娘が、その反動で父を理想化してファザコン気味になってしまう・・・というこのティーンらしい感情の流れを追う読み方かな。
で、真相なんですが、うーん、あまり鮮やかではないな。特にある人物たちのなりすまし・・・ですよね。普通絶対バレるだろうと思うんですが。こんなにうまくいくとは思えない。娘に罪を着せるための手口といい、やや力業かな。
クリスティーの後期作品では、ヘイスティングズの代わりに相棒 (?) を務めることが多いアリアドニ・オリヴァ夫人ですが、この人本当にいいキャラしてますよね。今作でも、ポアロとの掛け合いや謎の行動力がユーモラスで楽しかった。作者の投影みたいな存在だから、クリスティーも動かしやすいんでしょうね。
あと、読む前は表紙がなぜ孔雀なんだろうと思っていたんだけど、読み終わってカバーを外して何気なく見ると、「孔雀か・・・。あっ、ああ!」と納得できるのがおもしろかったです。