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 人間の女性との束の間の生活。そして長い迷いの果てに、地に足のついた将軍への道へ。

 

 いつもは表紙のイラストにバーンと狼が描かれているんですけど、三巻は白熊さんでかわいい。 ( もちろん、狼もいます )

 

 戦場で兵士たちを助けるクレプスリーの姿に痺れたなぁ。暗い戦場に真っ赤なマントを翻し、彼らを先導するバンパイアってかっこよすぎ! 肩にしょった兵士の亡骸と取り引きするところとか、泣きそうになったわ。

 

アローとの話し合いにウェスターを同行させるくだりは、なんか展開が強引に感じたなぁ。あの場に反バンパニーズガチ勢のウェスターを連れて行ったら、ぜったいアローを煽るのわかるはずなのに、クレプスリーもシーバーも何の疑いもなく連れて行くことを肯定するってなんか不自然。元帥と将軍のいわば出張任務に、衛兵がついていくってのも妙な話だし。

 

 タニッシュ・ユールについて。

 子どもはたぶんタニッシュみたいなキャラは嫌いだろうけど、大人の年齢で読むとなんかそこまで嫌いになれない感が。

 ゲスでヘタレではあるんだけど、自分でもそれを自覚してて、情もあったりするところとか・・・。行動も卑怯で情けないんだけど、度胸見せなきゃいけないところでヘタれてしまうどうしようもなさが、まぁしょうがないよね・・・みたいな。みんながみんな勇敢には生きられないもんなんだよ。

 タニッシュに対して共感とか同情とかではないんだけど・・・なんていうか、ちょっと愛しさみたいなのを感じてしまう部分もあるな。

 

 そして最後はいいところで終わっている三巻。クレプスリーはどうなるの!?・・・っていっても、本編読んでいたら生きていることはわかっているんだけれども。でも、いちおうハラハラしとく!