こちらは木下恵介原作、脚本を弟子の大槻義一が監督した作品だ。銀座のレストランの社長、佐野周二の家に30数年振りに母の北林谷栄がやって来て同居するが妻の乙羽信子と嫁姑の折り合いが悪くというホームドラマだ。この頃の北林谷栄はそんな年ではないのだが見事な老婆振りを見せる。これぞ正しく金の取れる芸だ。基本登場人物は皆善意の人なのに笠智衆だけが最後まで嫌な爺だというのが珍しい。これも木下恵介らしくヒューマニズム溢れた作品で木下忠治の音楽にほっこりさせられました。