この芝居はずっと上演されていなかったのを先代市川猿之助が復活したが澤瀉屋のお気に召さなかったのかその後また上演されなくなったのを中村芝翫、中村鴈治郎、中村扇雀の東西の成駒屋をメインとする一座で上演されそこそこの評判を取った。東京スカイツリー完成記念平成中村座浅草ロングラン公演の時にチーム中村屋で初めて公演されたがそこまではまあまあ面白いお家騒動物という評価だった。この芝居が劇的に面白くなったのは4年前の平成中村座小倉城公演からだ。物語の舞台になった小倉城で上演するのに燃えたチーム中村屋が大詰の立回りを工夫して超エンターテイメントにしたのだ。そして今回コロナが収まったので4年振りの再演となった。今回は中村屋兄弟が一歩退き成駒屋三兄弟にそれぞれ大役を振った。三兄弟、特に中村橋之助が抜擢に応えて大奮闘、他の二人も頑張ったが何せ花の無い三兄弟だから他の役者が演じたらもっと盛り上がったろうとどうしても思ってしまう。それでも大詰の立回りは中村屋兄弟が魅せて場内は大興奮、倉敷の梶川さんもドルシネア姫も大喜びだった。あっしも4年前と同じく祇園太鼓のメンバーが劇中で演奏してくれるので祇園太鼓と言えば映画、無法松の一生のクライマックスが無法なが祇園太鼓を叩くシーンだからこの芝居は歌舞伎ファンとしてだけでなく映画ファン快楽亭ブラックを満足させる物だった。終演後は梶川さんと別れて小川巡査部長、右翼の高橋信太郎、韓国野郎の李君と合流して家永さんの案内する赤らくという店でドルシネア姫と共に焼き河豚をご馳走になった。美味しかったが前日の居酒屋武蔵があっしのストライクゾーンどんぴしゃりだったので前夜程のインパクトは無かった。あっしが居酒屋武蔵をどれくらい気に入ったかというと今度は居酒屋武蔵に行くのをメインとする旅、ついでに博多座で歌舞伎を観るか小倉競馬をするかツアーを考えているところだ。