中島貞夫監督が死んだ。時代劇から着流しやくざ、実録やくざ、ポルノ、戦争映画にドキュメンタリー、文芸映画にATG作品までどんなジャンルの作品も水準以上の出来となる職人監督だった。そんな中島貞夫監督作品もあっしの一番好きなのが本作だ。岐阜に鉄砲玉が送りこまれ地元のやくざと抗争が起きるなかでそのやくざ一家をリタイアした菅原文太と現役組員の伊吹吾郎と渡瀬恒彦の三兄弟が自分の親分に命を狙われてという物語だがともかく鉄砲玉の小池朝雄がカッコいい。松尾和子が菅原文太を捨てて小池朝雄に走る気持ちが良くわかる。そんな凄腕の小池朝雄がネクラの荒木一郎にあっさり殺されるのが面白い。先日の新文芸坐で行われた中島貞夫監督特集はこんな面白い映画を上映しないんだからセンスが悪いにも程がある。