花形役者と三味線名人のお互いの芸を賭けた意地の張り合いを描いた芸道物で高田浩吉主演。井上靖原作に驚いた。こんなジャンルの小説も書いていたんだ。それを脚色した井手雅人も見事、予定調和のハッピーエンドかと思ったらあのラストシーンは衝撃でした。花形役者、成田屋役の市川段四郎が圧倒的存在感を見せる。素踊りで見せる勧進帳のこの優の芸格の大きさがわかる。この優早死にしてしまったがその芸の遺伝子が当代市川猿之助に受け継がれているので安心する。あっ、香川照之にも受け継がれています。三味線の師匠が高田浩吉に言う、三味線はお前の命だ。というセリフが心に刺さった。あっしも他人に落語はお前の命だ。と言われたいものだ。という訳であっしの度ストライクゾーンの映画でした。本作で香川京子特集8本目になりました。ぶじスタンプラリーの目標に達してご褒美に凛たる人生という香川京子のインタビュー本を貰えました。めでたしめでたし。