それまで白塗りの二枚目です演じていたがあまりパッとしなかった勝新太郎が本作は演技に開眼した記念すべき作品だ。子供の頃はめくらである事を利用して詐欺を働き
成人してからは殺人、強盗、強姦とあらゆる悪事に手を染めながら出世してついには盲人の最高権威である検校の地位に上り詰めた不知火検校を主人公にしたピカレスクロマン時代劇だ。よくもまあこんな極悪非道な奴を主人公にした物語を書いた原作の宇野信夫と脚本の犬塚稔に先ず脱帽する。そしてこのダークヒーローを見事に演じた勝新太郎とこの反社会的な映画を撮った森一生も見事だ。ラストシーンは原作の歌舞伎の方がすぐれいるが原作通りのラストにする事は当時の映倫が許さなかったろうから仕方がない。それにしても面白かった。痛快だった。