片岡愛之助の弁天小僧に中村勘九郎の南郷力丸、中村芝翫の日本駄衛門に市川猿之助の忠信利平、中村七之助の赤星十三郎と近年にない豪華な顔合わせの白波五人男になった。この五人揃った稲瀬川勢揃いの場は最後に万雷の拍手となった。もっとも市川猿之助と中村七之助にこの勢揃いの場だけのお付き合いでメインは片岡愛之助、中村勘九郎、中村芝翫だが、三人共に好演で文句はない。しかし歌舞伎座の正月公演の弁天小僧をなぜ上方役者がという疑問がのこる。ちなみにこの芝居中村芝翫以外なら誰でも弁天小僧を演じられるのだ。市川猿之助は序幕で主演をしているし中村七之助は夜に十六夜清心がある。だったら中村勘九郎に弁天小僧をさせたかったという思いが残る。しかしそうはならなかった。そこに中村屋の凋落を感じるのだ。三代続く贔屓としてはそんな中村屋を見るのはつらいのだ。一年の内に3ヶ月もクドカンと付き合うから、そりゃあクドカン歌舞伎は受けるけど、今は古典の勉強をしっかりさて欲しい。七之助は十六夜を演ったりお嬢吉三を演ったりしているけど勘九郎は⁉️いつまでも待たせないでそろそろ髪結新三を見せて欲しい。