今月の歌舞伎座は中村吉右衛門追善公演だ。中村吉右衛門の当たり役をズラリと並べた。松浦の太鼓は中村吉右衛門の当たり役に兄の松本白おうが80才を過ぎて初役に挑戦するがこれがいけません。何故松本白おうが今までこの演目を演らなかったかといえばこの演目に興味が無かったからだ。それを弟が死んだからって急に演ってみても役の性根がまるで掴めていない。せっかく相手役に中村梅玉、中村歌六、中村米吉といつもの中村吉右衛門の相手役を揃えながら肝心の主役が巧くなくては見ていられない。この演目は中村吉右衛門から教わった松本幸四郎か中村歌六に演じさせるべきだった。結局盛り上がったのは芝居の最後に付けた追善口上だけだった。