今日は国立映画アーカイブで東宝怪獣映画を日本見る。まずはゴジラだ。本作が他の怪獣映画と決定的に違うのは戦後8年目に作られたという事だ。ゴジラが破壊尽くす東京で三人の幼い女児を抱いた母親がもうすぐお父さんの所に行くのよ。というセリフのリアルさ、被災者が担ぎ込まれる救護センターの描写にいやでも先の大戦が思い出される。そしてオキシデンデストロイヤーでゴジラが滅んだ後の志村喬扮する山根博士のセリフ、あれが最後の一匹だとは思えない。世界が原水爆実験を繰り返す限り第二第三の古代生物が、このセリフに反核の強いメッセージが込められる。広島、長崎の二度の悲劇を経験した日本でしか作れなかった怪獣映画だ。今回の東宝90周年特集では地球防衛軍、日本沈没と優秀な特撮映画が終わると場内から拍手が起こるが本作が終わっても拍手は起きなかった。反核というテーマが重過ぎて観客に拍手する隙を与えないのだ。改めて凄い映画だと思う。本多猪四郎監督をリスペクトする。