社交ダンスというほとんどの日本人が知らない世界を題材にしてこれほど観客を笑わせて泣かせる映画を作る人、この頃の周防正行監督は天才でありその才能を全開させて正に絶好調でした。邦画各社が毎週違った作品を公開していた時代の作品はよく名画座で上映されるがその体制が崩壊された90年代の作品は名画座で上映されるチャンスがなく本作を見たのは公開以来でしたが素晴らしい。上映後に場内から拍手が起きたのも無理はない。また役者が監督の期待に応えてしっかりダンスをマスターして金の取れる芸を見せている。あっしが川柳の芝浜の中で周防正行監督を日本映画最大のヒットメーカーと言っているのはこの映画を作っている頃の事を言っているのです。ところが周防正行監督はこの後で痴漢冤罪事件とかそれまでのロマンチックコメディ路線を捨てて真面目な映画を作るようになり最近久し振りにカツベンを撮ったらもうロマンチックコメディの作り方を忘れたのかまるで笑えなかったもんね。喜劇を捨てちゃあ駄目なのよ。一度捨てたら久し振りにやりたくなっても相手が見向きもしてくれないって男と女でもよくある話しだから。