伊藤大輔時代劇生涯のテーマは封建制度への反抗だ。本作も封建制度で一番身分が卑しいとされていた槍持ち人足が武士達によって殺される悲劇を描いている。主演の大川橋蔵は中村錦之助と違ってそのほとんどが娯楽時代劇だがその生涯で4本芸術性の高い時代劇に出演している。本作もその一本だ。ラストのむざむざ殺されてたまるかという凄絶な立ち回りが印象深い。また主人公に理解を示すようでいていざとなると保身に走る人間の醜さも糾弾する。今回改めて伊藤大輔の偉大さを思い知った。