戦後から売春防止法の施行まで吉原、映画では桜原だが、そこに生きる人々の哀感をえがいた作品で山田洋次、森崎東とならぶ松竹喜劇の名匠、前田陽一監督が珍しく正攻法の演出を見せる?赤線最後の日に厭世自殺するヒロイン、香山美子に心を寄せずに赤線廃止以降も逞しくいきるホキ徳田にエールを送るのが前田陽一の作家性だ。長門裕之は父、加東大介の死後に遊郭を継ぐ二代目役で、娼婦にやさしい経営をしながら三億の資産があるとうそぶく。昭和33年の三億だよ。当時の吉原が如何に繁盛して儲かったかだよね。羨ましい。