昨日は今回の元ブラ坊の廃業騒動にドキュメンタリー作家として喜んでいる榎園監督と書いたがよくよく考えてみれば一番悲しんでいるのも榎園監督だろう。元ブラ坊に期待していればこそ奴の落語のYouTube配信を手伝い、奴に師匠ブラックを語れとお題まで出していたのだから。落語家の業、快楽亭ブラックの日本巡礼。2本続けてあっしを追いかけるドキュメンタリー映画を撮ろうと決めた榎園監督は、その作品の中に快楽亭ブラ坊の成長物語という側面も予定していたのにそれが一瞬にして駄目になってしまったのだから。だからこそ全ての出来事を笑い飛ばさなきゃ駄目なんだって。駄目な奴に期待してしまった自分自身の愚かさを含めて笑い飛ばす。それが粋って事なんだって。あっ、例えどんな状況であっても、それを笑い飛ばす了見を粋という。これ立川談志の教えじゃなくて山口瞳のエッセイから学んだ事だ。その山口瞳原作を岡本喜八が監督した、江分利満氏の優雅な生活に、主人公の小林桂樹が母の通夜の晩に、母が父に絶望したその心情を考えると泣けてならないと号泣しながらお茶漬けを食べる名シーンがある。その時の小林桂樹に今の榎園監督がだぶって見えてならない。えっ、今日の快楽亭ブラックは珍しく真面目だって。へへへ、なんせあっしははぐれ落語家人情派って呼ばれているもんで。