せっかく榎園監督が一席1000円にしようと言ってくれたのに、何故あっしが一席500円にしたかというとあっしが大須演芸場をホームグラウンドにしていた頃、ある日大阪から山根女史が見に来てくれた。当時大須演芸場は出演者6組で入場料が1500円。彼女が来たのが3時半、高座には曲ゴマの柳家三亀次が出ていて、その後はトリのあっしだ。彼女がチケットを買おうとしたら席亭が、今から来てもブラックだけだから300円でいいや。それを聞いた山根女史、500円玉を席亭に叩きつけ、お釣りは要りません。ブラック師匠はそれだけの値打ちのある人なんです。それじゃあ目クソ鼻クソだよ。せめて千円札を出してお釣りは要りませんと言ってくれたら自分は千円の値打ちのある芸人だと自信が持てたのに。それ以来あっしは自分の芸は一席500円の値打ちしかないと刷り込みがされてしまったのでございます。