会社で宿直の時は、食堂が私の祈り場であった。
朝早く起きて、人が来る前に祈りをしようと思っていたが、よく寝坊をした。
だから、いつも寝る前に、
「何時には起こして下さい」と祈って寝た。
或る朝、首筋に一滴だけ水が落ちてきた。
それで飛び起きて頭上を見たが、水洩れしているパイプはなかった。
上に水道のパイプがたくさん通っているので不思議ではなかったが、とに角、時間通りに起きる事が出来た。
次の宿直の朝、
「ヤ-!」
と云う大声で目がさめた。
「しまった!誰か来た」
と思ったが、誰もいなかった。
時間通りであった。
その次の宿直の朝、右の横腹をつつかれて目が覚めた。
誰もいなかったが、時間通りであった。
その現象はその日からずっと続き、中断した時期もあったが、現在まで続いている。
私はその現象を「神様のノック」と名付けている。
神様が私に注意を引く時の唯一のハッキリした手段である。
ノックの場所は頭から足の先迄どこでも現れ、見ているとトントントン、と云う具合に全く誰かが指先で叩いているのと同じである。
だから人間が全く同じやり方で私の身体のどこかをノックしても判別しにくい。
よく見ていると、ノックしている処の皮膚が丁度、指先の大きさだけトントンと引っ込む(そこに神の指があるのだが、見た事もないし触った事もない)。
これは非常に判然とした神様から私への連絡方法であって、初めは驚きもし、感激もした。
神様のノックの賜物によって、私の生活はかなり変わった。
毎朝、横腹のノックによって目が覚めるので、家に時計は不要となったので処分した。
朝、外食をしていたが出勤時間を気にする必要がなくなったので、いつ迄もテレビ等を見ていてゆっくり食事した。
神様がノックした後に出掛けても会社には丁度間に合い、その為に遅刻した事は一度もなかった。
ある日などは、朝何かの用事で遅くなり、会社には絶対間にあわないので、半日休暇を取る予定でいた。
ところが神様は会社へ行く様、私にノックし、なおしぶっていると、後ろから背骨をかなり強い力で押し、私は前につんのめる様な恰好で歩き出勤した。
時間ギリギリではあったが、遅刻ではなかった。
上記の様な判然とした理由がある時は少なく、ほとんどの場合、何を言われようとしているか判らなかった。
多くの場合、神に注意を引かれるだけの事である事も知っていたが、とに角、一日に多い時は百回以上ノックされるのだから…。
この賜物は後記する。
聖霊の賜物といやし 2,516円 Amazon |