慌てた様にページに文字が書き込まれていく



抜け道がー出来ていたのに漸くー気付いたのです

慌ててー私も根をーつないだのーです、よ

うん毎日ー通うのですーからもう少し早めにーすればよかったのーでした

というーわけで、遅くなったのーですけれどこそこそとーLYNOさんとー狗李さんの所まで根をー張りました


ええと、不束なー柿なのですーけれど宜しくお願いー致します

あ、此処でー言うより丘でお会いした時にー直接にー致しましょうーか、ね



仕官国がー悪夢を称する国に

私のー意思は此処ではどんどんー希薄になってーしまうのです

根の繋がりがー無い場所では意識がー途絶えがちに

このままではー今使っているー体はただの柿の木へとー戻る事ーでしょう

それはー自然なー事なのですーけれど、まだこの体でー見て回らなければならない場所はー多く

ですのでー大陸へ戻れるようにー手続きをー行いました

そしてーエルフィネスへは帰らずにーかねてより目標であったー旅を始めます

まずはー獣の長のー座する場所へ

ビーストアークへ


樹はー食べられたりはーしませんーよ、ね?ね?

柿だけならー良いのですーけれど身体がなくなってはー移動も出来なくーなってしまうのです

旅をする為にー体だけはー死守しませんトーね

ああ、でもー何方かの糧とーなるなら其れもー良い事かもー知れません

ふふ、何が有ろうともー受け入れましょうーか

樹の生はー長いのですもの

食べられてもーまたー森の奥から代わりの身体でー出てきましょう

10年先かー20年先にーでも



ここで文字は途切れている

ゆっくりとゆっくりと確かめるようにペンが動いていく


頂いた貝殻へーと聴覚を済ますと聞きなれないー音が

不思議なー音

葉ずれのー音の様なーけれどそれとはー違う不思議なー音

森のー中に居るようなーけれどー違うのーですよ、ね

これがー海の音なのーでしょうか?

ふふ、森とー海はもしかしてー似ているのーかしら

それならばー何時か私もー見にいけるかもー知れません、ね


そう思ってー言いにいこうとーした場所で貝殻がー置いてあったのでーついこっそりとー買ってしまいました

こちらのー貝殻はどんな音をー聞かせてくれるのーかしら

ざざーっと、そしてー少し篭ったようなー音


塔にー持って行って聞いていたらー冥界の住人と鉢合わせてー貝殻をー落としてーしまいました

うぅ、まだー聞いていた途中ーでしたのに




昨夜ー帰り道をLYNOさんとー狗李さんとーご一緒致しました

ふふ、一人でー帰すのが心配だったーそうで

居眠りをーしてしまったおかげでーというのは変なお話なのーですけれど

何だかー良い思いをしてしまったー気が致します

うぅ、でもーもう二度と居眠りはーしないよう気をつけーませんとね

桜来夢さんにはーご迷惑をおかけーしてしまいました


あ、そうーです

先日ーシルさんの妹さんとー初めてお話したのーですよ

綺麗なー髪の色で思わずー見かけた白い花をー贈ったのです

だってーとても似合うとー思ったのですーもの

ふふ、やっぱりー似合っていらしたのーです


丘でー気になる事と言えばーアイスブルーさんが女性の格好をーされていたー事です

でも、女性よりもー女性らしい気がーしたのは気のせいーでしょうか

ふふ、とてもーお似合いというのはー言ってはいけないのーでしょうけれど……でも

似合ってー居られたのーです(楽しそうに



謳を-謳うお約束をー致しました

何時になるかはー解らないのーですけれど、ふふ、聞いて下さる方がー居られるのはーとても喜ばしい事ーなのです

上手くー謳えるとー良いのですーけれど

ふふ、誰かにー聞いて頂くのはー初めてなのーで謳う時はきっとー堅くなってーしまいそうーなのです


浮かび綴るー謳はどのようなーものとなるのーでしょうね




詩を謳おう

誰かを思い浮かべて



その瞳 蒼を湛えて
身を包む温もり
優しき手で分け与え
力強き腕は 護る為に
人との合間を繋がりし縁
その先は求めし主へと

何時か 何時の日か

生涯を共に生き

護り 支え

在り続けん


静かに響く声で歌われるのは

主探す護り手の謳



此処で文字は途切れている

どうやら今日は此処までのようだ

つらつらとペンが走る

思いつくまま書き進めたのか、読み取るのが難しいほど字は汚くのたうっている


ろ:蝋を使って塗り固め

く:苦悶は内へと仕舞い込む

し:死から遠のく代償は

き:気が触れんばかりの他者の生


ろ:朗詠するは物語

く:国を土地を世界を隔てた物語

し:此岸の者が関わりし

き:奇異なる縁の描く謳


り:理知で象られた瞳の奥

の:濃霧は未来を携える


り:隣人に贈る

の:濃密な言の葉


く:咥え抱え携えるは

り:理想と呼ばれる信念


な:名前が織り成すは

あ:明け色を秘める華


し:少女を護る暁は

る:瑠璃に輝く紅き焔


む:無為に思えし時間すら

ぞ:像を結びて道繋ぎ

り:離縁の定めを断ち切る拳



ど、どうーしましょう

ご許可もー頂かずに色々と

うーんうーん


まだまだ書ける部分は残っている

何時か続きが増えそうだ

しんとした木々の合間を縫う様に音が零れ出す

銀盤の奏でる旋律が


その森には何時も音が流れていた

音を愛する森の妖精と一本の老木がその身を差し出し作られたピアノの奏でる音が

だが、その音は何時しか止み、森は再び無音へ帰る


ビーストアーク



広い大陸の中、そう呼ばれる国がある

その国の中心


魔獣の巣窟と人に呼ばれる場所の中央部

獣の臭いが充満している広い道

大通りにとでもいうのだろうか


多くの獣に疎らな多種族で賑わいを見せる通りの一際広くなった場所には何時の間に建てられたのか

人目を引くように大きめの天幕が張られ、周囲に人だかりが出来ていた

その中をシルクハットにタキシード、そして顔を仮面で隠した数人が道行く獣や人へとビラを配る


『移動式幻燈映写館。日々の合間に語られし御伽噺の世界へようこそ。お客様のおいでを一同お待ちしております』


天幕の内部。人々の視線を集めるのは一人の仮面の紳士と古びた映写機と呼ばれる機械
そして大きなスクリーン

中ではまだ何も上映はされていないようだ
一通り客が入った事を確認すると男はゆっくりと口上を始める


『お集まりの紳士淑女の皆様、幻を売る燈籠屋にようこそ御出で下さいました
さて、これから上映致しますは音に魅せられた一匹の獣の物語
どの様な物語を歩むかは皆様次第で御座います
では、始めましょうか
一夜かそれとも一時か、夢か現か幻燈映写の幕開けで御座います』





筆が置かれる

この先は、きっと獣の国へ行った時に綴られるのだろう

たどたどしい字が紙面を段々と埋めていく



夜、休む気にーなれずに少しー丘まで散歩にーでかけました

この時期はー動物の感覚では大層ー寒いそうーで、何方とモーで会えないかもー知れないとは思ってー居たのです

けれど、何方かーいらっしゃればと若干のー期待を持って


暫くー佇んでー居りましたら狗李さんがーおいでになりました

最初、散歩やー空、月のお話をしてーいたのです

満月の夜にはー落ち着かない気分にーなるそうーですけれど、ふふ、ワーウルフの方は皆そうーなのかしら?

そうして話している内にー山葵さんが風に乗って

壁にぶつかられたのにはー酷く驚いたのーですけれどお怪我は無い様でー安心致しました

そうそう、その際にー狗李さんが漢方とー言うお薬を出したのーです

後からー学んだのですーけれど同属以外にもー動物の骨や角などもー粉にして病などへ処方するー物なのですーね

ふふ、私ではーとても学び切れないやもーです


それからー私の故郷ーの話をしているとLYNOさんが

色々なお話をーした気が致します

他種族との違い、人の五感であるー味覚や嗅覚ーだったり

それからー樹の持つ空気など

何時も沢山ー話してしまうのーです

そうしているとーアイスブルーさんがおいでになってーその後、桜蓮さんにーマリノさん

カルトナージャさんもー少しだけおいでにーなりました

ふふ、アレだけ夜遅くだとー言うのに、大盛況ーでした、ね


そうそう、その時にー疑念に思っていたーレンアイと言うものについてーお伺いしたのです

LYNOさん、狗李さん、アイスブルーさん、それぞれのーお言葉を聞いているとー少しだけ解ったようなー気になりました

一人を思い、その方のー全てを欲しいと思えるー事

私はーそのようにー思えたのです

ふふ、この感覚もーまた、色々な方とー関る内に変わるのーでしょう、ね

欲だとー貴方は仰りーました

けれど、人を人足らしめるーのは、その欲を持つが故ーだと思うのです

欲する事でー輝きを増すのはー人の特権ーなのでしょう、ね


色々なー感情の入り混じるー色と言えないー色。その場その場ーで輝いたりー暗んだり

レンアイとはーそのようなー物なのかもーしれません



私がー彼らに持つ気持ちはー恋なのーでしょうか?

いとおしい二人へのー愛情だとー思っておりましたーけれど、ふふ、難しいーです、ね


ここで文字は途切れている

今日は此処までのようだ