Bill Withers
クラシック ロック 2012
◎いつどこでビートルズのことを知りました？
エド サリヴァン ショーだよ。アメリカ人にとってビートルズはね。それは同年代のみんなと同じだよ。決まりごとの様にね。 ビートルズ、キンクス、ラヴィン スプーンフル ビーチ ボーイズ、バーズなんかは白人のバンドだけど聴いたね。ただ、ストーンズには関心はなかった。
◎なぜあなたは（レット イット ビー）をカヴァーしたのですか？
６０年代に私のソングライターである友人がため息をついて「マッカートニーが好きだ。」と言ったとき、私は床に置いてあったレコードを何度も何度も聴いたってことだ。それが私により彼らの楽曲を聴くようにさせたってことなんだ。
私はいつでも サー ポール マッカートニーが好きだったが、彼があんなにたくさんの傑作を召喚できるとは思いもしなかった。あの曲は思いのこもった１９６０年代のアンセムだった。ゴスペルっぽい感じだった。私は彼がソングライターでありながらプロデュースワークもしていたことと、彼が非常に多くの楽器を演奏し、彼らの楽曲を拡張させていた方法が好きだった。彼にはミュージシャンでないと気付くことが出来ない才能があって、しかも、それが見落とされているという事実が好きだった。なぜなら物事は表面的に見ても本質は見えないからね。肝心なことは目には見えないってことだよ！
ロックセラー 2020
◎リリースから34年経った今、『Just As I Am』は名作として称賛されています。レコードを聴き返してみて、なぜこの曲が今でも繋がり、共鳴しているのか説明していただけますか?
まず第一に、私はそんな話をあまり聴かないんだ。だから、知らないんです。私が大人になって、私を好きだった女の子の事を決して好きにならなかったようなものです。おそらく、特定の時代やジャンルに結びついていないものがあったからでしょう。明らかにディスコっぽいものを作ったら、その時期には一番機能的になるんじゃないかっていうか。僕らがやったスタイルは、何と呼んでもいいけど、ちょっとフォークっぽいものだったと思う。ブッカー T(ジョーンズ)からスティーヴン スティルスまで、いくつかのジャンルをカバーしています。そして、グラハム ナッシュが私の前に座り、私を励ましてくれました。題材も。「Grandma's Hands」はあのレコードに入っていましたよね?つまり、おばあちゃんは決して時代遅れになることはありません。カニエ ウェストには「おばあちゃんのことが嫌いな人はいるの?」と尋ねられた。「お母さんが嫌いな時もあるけど、みんなおばあちゃんが好きだよ」って(笑)。
◎成功にたどり着くまでに何年かかりましたか
67年にLAに来ました。気づいてもらうのに3、4年かかったかもしれません。ジェニファー ロペスやカニエ ウェストのように、ただ彼らを必要としている人たちのように、舗装路をドキドキしていたわけではありません。私はもう30代でした。私はすでにまったく別の世界で社会で働いていたが、これは「これをやってのけることができるかどうか試してみよう」というものでした。毎週日曜日には、4000万人くらいの人がフットボールの試合を見ていますよね?だから、みんなソファに座ってビールを飲んでいて、そのうちの1万人くらいは「あの人よりクォーターバックが上手くやれるんじゃないか」と思っているんだ。そのうちの3人はおそらくできるでしょう。例えるなら、僕は3人のうちの1人で、「この音楽はできると思う。この世で一番不可能なことじゃない。」と言っていたので、思い切ってやってみたら、うまくいったんです。
◎ご自身をアーティストというよりはソングライターだと思っていますか？
その2つの言葉を切り離すことはできなかった、なぜなら、他の方法ではやったことがなかったからだ。両利きの人に「あなたは右利きですか、それとも左利きですか?」と尋ねるようなものです。たぶん今なら、自分のことをもっとソングライターのほうだと思うだろうけど、それには理由がある。だって、この歳になったら、虚栄心なんていらないですから。女の子を惹きつけようとしているわけでも何でもありません。でも、若いのなら歌手として注目を浴びることがもっと役に立つと感じたのかもしれません。
◎ブッカー T ジョーンズが『Just As I Am』の制作とパフォーマンスに貢献したことについて話し合いたいです。
ブッカー Tは私にとって完璧だった。私をこのすべてに導くのに、これ以上の人はいなかったでしょう。私は9番街のFシャープを知らなかったし、今でも知らないし、気にしない。私には、それは良い音かそうでないかのどちらかです。ブッカーは誰をスタジオに連れてくるべきかを知っていた。彼はスティーブン スティルスのような人々を連れてくることができました。それに、ブッカーはとても聡明だ。また、不愉快なわけでもない。彼は優しい男です。彼は私にとって完璧でした。もし誰かが、自分のことでいっぱいで、大声で攻撃的なプロデューサータイプの男を連れてきていたら、それは私にはまったくうまくいかなかったでしょう。
◎ あなたが録音した素材は、その非常にまばらで有機的なアプローチに適していました。
それと、レコード会社にお金がなかったからでしょうね。アルバム全体を3回ほどのセッションで制作し、最後のセッションはアルバムの半分くらいでやった。僕らは2つのセッションを乗り越えたんだけど、レコード会社が請求書を払えなかったからスタジオから追い出されたんだ。誰かがあれを録音し終えるのに十分なお金を用意できるまで、半年待たなければならなかった。
◎「Ain't No Sunshine」はどのようにして作曲に至ったのですか、そしてそれが特別なものだと知っていましたか?
リー レミックとジャック レモンが共演した『The Days Of Wine And Roses』という映画を見ていました。二人ともアルコール依存症と闘っていた。そして、ある時点で、そのうちの1つが上昇し、1つが下がります。二人はお互いから離れ続けた。この曲はあっという間に出来上がりました。とにかくとても短い曲です。イントロはありません。別の曲のB面に曲を載せたのは、それがふさわしくないと思ったからです。シングルを出すとき、私は当時はもう二度と必要ないだろうと思っていたものをB面に入れたってことです。だけど、人々はそれをひっくり返して流し始めました。
サビに言葉がなく、ただ「わかってる、わかってる、わかってる」だけの曲。実際、私はそこに何かを書こうとしていたんだけど、ブッカーが「いや、そのままにしておけ」と言ったんだ。この曲にはイントロダクションはなく、2語のコーラスがあります。「Ain't No Sunshine」は、たくさんの人がカヴァーを残したから、今でも好きな人が多いんだと思います(笑)。あのアルバムを作った時、唯一特別だと思ったのは、ブッカー Tに「Grandma's Hands」のことを話したこと。「もし誰かが私のことを覚えているとしたら、この曲で私のことを思い出すだろう。」と私は言いました。そして今、人々が私のところに来ると、たいてい「おばあちゃんの手」を歌います。ジョニー キャッシュがハワイに一度会いに来てくれたんだけど、彼が私のことを知っていて驚いたんです。「おばあちゃんに会いたい」と。
◎ポール マッカートニーは90年代にこの曲をカバーしました。1971年にデビュー アルバムのために「レット イット ビー」のヴァージョンをレコーディングしたとき、20数年後にマッカートニーが「Ain't No Sunshine」のカヴァーをやるとは想像できましたか?
第一に、ポール マッカートニーが私の存在を知っているなんて、当時は想像すらできませんでした。とても面白かったです。私は彼のバージョンを気に入りました。私が書いたものの誰かのバージョンが好きなのは、それが別の視点だからです。例えば女性は絶えずあなたに「私はどのように見えるか?」と尋ねますよね。彼女たちは常にあなたにそれを尋ねます。あなたはその世界で最も美しい女性と付き合うことができます、そして夜が終わる前に、彼女はあなたに「あなたは私をきれいだと思う?」と尋ねるでしょう?誰もが彼女が生まれた日から彼女を奇麗だと言っていたので、私たちのほとんどは、例え自身が認めていなくても、私たちは皆、自分が他の誰かにどのように見えるかを知りたがっています。だから、誰かがあなたの曲をカバーしてくれたとき、あなたが彼らに与えた外観が彼らに十分な印象を与え、彼らがそれを自分で解釈したいと思ってくれたことに、ある種の安心感をうけます。
◎あなたのギタースタイルについて教えてください、あなたはそれを非常に限定的だと表現しましたが、それはあなたの曲に完璧に機能します。
僕はギターを弾かないんだ。僕がギターでやっていることは、たぶんほとんどの小学生にできるだろう。おかしな話をしなきゃいけない。何年か前、ギブソンは私にギターを支持してほしいと言いました。それで、ギターが無料でもらえるし、それにはメリットもあるから、「うん、やるよ」って言ったんだ。それで、インディアナポリスのこのイベントに招待されたんです。レスポールやB.B.キングのようなギタリストがいて(笑)、つまり本物のギタリストもいました。そこに着くと、「あの連中とジャムってみろ」って言うんです。私は笑い出して(笑)、「私は弾けないよ。つまり、最も基本的な形式で自分に寄り添うために使っているだけなんです。」っていったんだ。
私のようにアパートに住んでいるとピアノを買う余裕はありませんでした。それに音が大きすぎて、それは音が大きすぎます。一番安い楽器は100ドルのアコースティックギターでした。調べてみると、人の心に残る曲を書いた人で、名手と言われるミュージシャンはほとんどいません。なぜなら彼らが行うことは複雑すぎます。名人芸と人気の間にはほぼ反比例の関係があります。最も妙技と器用さを必要とする音楽の形式はジャズでしょう。それは素晴らしい音楽の形ですが、ほとんどの人のリスニングの好みには少し複雑すぎます。ですから、最も人気のある形式の音楽は、演奏するのがそれほど難しくありません。シンプルさは、ほとんどの人にとって可用性に直接関係しています。私たちは、それがシンプルで、人々がただ笑ったり話したりしているとき、最高の時間を過ごしています。物理学の講義を、バーベキューをするよりも楽しく過ごせる人は少ないでしょう。そして、お酒を飲むと楽しい時間が長くなり、少し愚かになり、物事を少しシンプルに保ちます。ですから、私のような形式にとって、シンプルさは、ソングライターやミュージシャンとして、ほとんどのリスナーにとって利用可能になる可能性を高めるので、財産でした。作詞家としては、わかりにくいことをシンプルに表現するのが得意だったと思います。「Hello Like Before」のような曲を聴くと。それは確かに単純すぎることではありません。実際、このフレーズを口にした人は聞いたことがありませんが、その意味はわかりますよね?