甲本ヒロト 真島昌利
東京弁護士会 インタビュー 2014年
◎真島さんの場合はビートルズのレコードを知り合いに聴かせてもら ったんですよね。懐かしいお話かと思いますけど。
真島:そうさのう…、あれは寒い日のことじゃった。
◎40年くらい前ですかね(笑)。
真島:友達の家に遊びに行ったら友達がレコードを聴 いていて。ビートルズって格好いいから聴いてみなよって言われて聴いてみたんだよね。音楽が格好いいと 思ったことは今まで一度もなくて、それまでは野球や零戦とかが格好いいと思ってたんだけど、ビートルズ の「Twist and Shout」という曲でしびれたんだよね。 ビーンと。
◎ビーンときたんですね。たしか日本の編集盤で曲順が違ったんですよね。
真島:そう、詳しいね(笑)。「ステレオ! これがビートルズ ボリューム1」っていうアルバム。
◎その体験の後、お二人はロックンロールに傾倒される わけですか。
甲本:そうだね。
真島:自分はすぐギターを買いに行ったね。
ぴあ 2013 インタビュー
◎ポールがいよいよ来ますね。
甲本 いよいよ来ますね。
真島 イエーー!
◎お二人は90年の初来日の時から観に行ってるんですよね。初来日が決まった時には盛り上がりましたか?
真島 また大麻かなんかで捕まってこれないんだろうなって思った。 僕はポールに関してはその前に2回、そういう経験をしてるから。
◎80年のウィングスの時にはチケット買ってたんですか?
真島 チケット買ってたよ。
◎そうなんですね。
真島 もちろんだよ。75年の時もチケットを買いに行こうとしたんだけど。その時はヴィーナス&マースがが出た後のツアーでイギリスとかオーストラリアとか回ったその一環で、オーストラリアの次に日本に来るってなって。それが75年11月。そしたら中止になって。
◎その時、来ていれば最高でしたよね。ウィングスの一番いい時でしたもんね。
真島 ね。ロックショウのまんまだもんね。
◎あの時はソロになって初めての本格的なワールドツアーをやろうという時期で、ポールの気合の入れ方が全然違いますからね。
真島 声もバリバリ出てるよね。一曲目(ヴィーナス&マース)から始まるし。
甲本 アルバムと同じ構成でつながっていくんだよね。
◎たまらないですよね。
真島 そしたら中止(笑)。その中止の時にね。お詫びのテレビ番組をやったんだよ。ポールマッカートニー特番。オーストラリアのライブを4、50分。あとはプロモーションビデオを何曲か。ポールがお詫びの挨拶をやったような気がするな。
甲本 本当?
真島 (今回は行けなくてごめんね)って。それで80年に来るって言ってさ、チケット買ってワクワクしてたら。いきなり成田で捕まってんの。(えー?)って。そのとき4500円だよ。チケット(S席 4500円)。そのチケット払い戻す前にさ。コピーして取っておいたんだ。今、そのチケットの席番を見ると結構いい席なんだよ。ステージ正面のさ、前から5、6列目。そしたら。。。
甲本 つかまっちゃった。
◎もしあの時、来ていたらどういうセットリストだったんでしょうね。
真島(バックトゥジエッグ)のツアーだよね。
甲本 (ゲッティングクローサー)とかだ
真島(ロケストラのテーマ)とかね。
甲本 あー。いい!
◎最初にリアルタイムで買ったポールのアルバムは?
真島 (ヴィーナス&マース)。新宿のディクスロードに買いに行ったよ。発売されてすぐに。その前の(バンドオンザラン)の(ジェット)のシングルは買って持ってたんだよ。ポールやっぱりいいよなあって。そのポールがニューアルバムをいよいよ出すよ、って言ってさ。当時は輸入盤の方が1か月も2か月も早く出てたじゃない?今はほとんど同じだけど。早く聴きたいからさ、輸入盤屋さんにいって。しかも日本盤は2500円だけど輸入盤は1880円くらいだったのかな。
◎どうでした、内容は?
真島 なんだか音圧がすごいなって思った。アメリカ盤だからかもしれないけど。
甲本 なるほど!
真島 イントロのアコギのアルペジオがさ。すげえ音圧で出てきて。
◎あとライヴを意識した作品でもありますからね。
真島 そうかもしんない。完璧にライヴを意識したアルバムだもんね。歌詞の感じもそうだしね。(スポーツアリーナの観客席でショウが始まるのを待ってる)とかね。
甲本 (ヴィーナス&マース)には僕も思い入れがあるな。(バンドオンザラン)の頃は小学生だから、まだロックとか聴いてないから。ロックを聴き始めた頃にはまだラジオで(バンドオンザラン)からの曲はかかってたけどね。新譜としてリアルタイムで出たのは(ヴィーナス&マース)。良い曲ばっかりなんだなあって思った。
真島 (バンドオンザラン)と(ヴィーナス&マース)の2枚は凄いんじゃない?あと邦題が付くのが面白かった。(あの娘におせっかい)(ワインカラーの少女)
甲本 その辺、全部、ヒットしたもんなあ。だから(ヴィーナス&マース)がリアルタイムって恵まれてるって思う。
◎ポールのソロの最初のピークですよね。
甲本 マーシーはソロとウィングス期に限って言えばフェイヴァリットとかある?
真島 甲乙つけがたいね。それぞれのアルバムに良さがあるもんね。
甲本 とっ散らかってるやつもあるじゃん。例えば(ワイルドライフ)とか。
真島 俺、(ワイルドライフ)好きだよ。
甲本 俺も好きなんだよ。だけど、初めてポールを聴く人には、よう薦めんのだけどさあ。あれ本当好きなんだよなあ。
真島 あれいっぱい良い曲入ってるよ。特にB面。
◎ いよいよ90年にポールが日本にやって来たわけですが。
真島 それはもう涙、涙ですよ。
甲本 2回悔しい思いをしてるだけに。
真島 やっとだよ!
甲本 そうだね。切望してたんだからね。
◎この時はポールはビートルズの曲もたくさんやり始めていて、目玉としてはアビーロードメドレーをやったんですよね。
甲本 やったんだよ。
真島 あれでもう何も見えなかった。僕。あれはもう号泣でしょ。(ゴールデンスランバー)のイントロが始まった瞬間に号泣だった。
◎期待以上のライブでしたか?
真島 もちろん。
甲本 ポールが出て来ただけでびっくりしたよ。不思議な気持ちがしたよ。なんか最初はミーハーな感じで(キャー)ってなるかとおもったら、なんか最初変な感じがした。(あ、ポールだ)って。それね。リヴァプールに行った時にも感じたんだけど、あのビートルズにまつわる夢みたいなお話が本当だったんだっていう。全部、実話なんだっていう。 それをポールを前にして実感した時に、ぞわーって来たんだよね。勿論、演奏内容はすごいよ。そういえば(うちのかみさんです)っていってリンダを紹介してたよね。あれ初来日だっけ。
真島 そう。
甲本 なんか丸いピアノ台かなんかでリンダがキーボードを弾いてて。
真島 (フールオンザヒル)なんかやってたよね。
◎そうです。そうです。やっぱりリンダは居た方が良いんですよね。亡くなっちゃいましたけどね。
真島 リンダが居ないとあのウィングスの感じがでないんだよね。
甲本 不愛想なんだよね(笑)。やりたくなさそうな顔をしてさ(笑)
◎もともと無理やりバンドに引き入れられたっていう経緯がありますからね。
甲本 でもあの感じが良いんだよ。(ラム)のB面とかさ、ツボなんだよなあ。だから(ラム)はB面から聞いちゃうの。
真島 あれはリンダじゃなきゃだめだもん。
甲本 駄目。
◎リンダじゃなきゃダメってあるんですか?
甲本 あるね。
◎それからポールは93年、2002年と来日するんですが。
甲本 次に見た時にはもっとウィングス感があったような気がするな。発散しているというか。あれは93年じゃなくて02年か。
真島 02年って若い人たちがバックでやってた時かな?
甲本 そうそう、あれ、良いライブだったよな。若返った感じがした
◎お二人がポールに向けてサインボードを掲げてた時のツアーですよね。
甲本 そういうことをやったから余計ウィングスみたいな感じがしたのかな。70年代の(ロックショウ)を見ている感じがしたな。
真島 メンバーが若返ったから、音もロックしてたよ。
甲本 おっさんぽく無かったよね。
真島 それまでアヴェレージホワイトバンドのヘイミッシュスチュワートのバンドがやっててさ。勿論いいんだよ。職人技でさ。良いギター弾くんだけども。。。
甲本 コーラスも上手いしね。
真島 だけど02年の時は若いあんちゃんがメンバーに入っていて見た目もロックな感じだったよね。急に若返った気がした。ポールってもともとロックンローラーなんで、相手が出す音にすごく影響されると思うんだ。若造とやるとさ、ポールのロックンロール魂に火が付くんじゃないかな。
甲本 荒ぶる魂だよね。エルヴィスプレスリーに火をつけられたようにね。あんなことずっとやってて欲しいよ。
◎そうですよね。今回のツアーもものすごく評判がいいですよ。
真島 ポールを侮っちゃいけない
甲本 本物だもん。ポップミュージックの色んなひな型になってる。例えばポールを聴いた時に、(あれ、この曲どこかで聴いた事がある)ってなるのはさ。その、どこかで聞いた事がある曲が、ポールの真似をしているだけなんだよな。
◎今回は何回行くんですか?
甲本 3回。
◎東京公演は全部行くんですね。
甲本 だから 大阪と福岡は行かないって意味で行ったんだよ(笑)
◎02年にサインボードを持って行ったのは大阪公演でしたよね、たしか。
真島 そうそう
甲本 ポールは気づいてくれたよね。きっと。
真島 気づいてくれた。見てたもん。こっち。
◎本当ですか?
甲本 本当。
◎それはないですよ(笑)
真島 本当だって!
◎それってよくライブに行ったらアイドルと目が合ったとかいうのと同じじゃないですか。
甲本 クロマニヨンズのライブに来て、俺らと目があったっていうのは気のせいだよ。だけど俺らがポールと目が合ったって言うのは本当だよ。
◎ははははは。
甲本 当たり前じゃん(笑)。
真島 指を指してたからね。ポールがメンバーに(あそこみろよ)って。
甲本 (あいつらバカじゃないの?)って
真島 (あそこ見てみろよ。甲本君と真島君だよ)って口が言ってたもん。
◎言ってませんって(笑)
真島 言ってたって。間違いないよ。
甲本 マサトシっていえないから、マタトチになってたもんね。
真島 上手く言えなくて(笑)
◎今回もなんか作っていくんですか?
甲本 いや。今回はあんまり目立たないようにしようかな。
真島 そーっと。でも、今回目立たないようにしてもポールは気付くね。
甲本 見つかっちゃう。
真島 あそこにまたマタトチが来てる。
甲本 (今回は上手にマサトシって言えるかな)って、今頃、楽屋で練習してるよ(笑)。
◎(笑)今回のツアーで聴きたい曲はありますか?
真島 弾き語りで(ジャンク)とかやってほしい。
甲本 (ジャンク)やってほしい!
◎ファーストソロアルバムの収録曲ですね。
甲本 (ジャンク)は、でもポール自身が凄く好きな曲なんじゃないかな。
真島 あと(マムーニア)とかさ。
甲本 いいね!(マムーニア)とか(Ⅽムーン)とか(ミセスヴァンデヴィルド)とか、皆が外すんじゃないっていう曲が好きなんだよなあ。だけど(マムーニア)とかやらないんじゃない?
真島 やらなそうだよね(笑)
甲本 やったら嬉しいけど。あと(夢の旅人)とかは?
真島 いいね。
◎(夢の旅人)はこのツアーで一回だけやってますね。
甲本 おー!
◎バグパイプの楽団が仕込めた時に一回だけ、やってますね。
甲本 じゃ俺、練習しとくよ。バグパイプ(笑)
甲本 こんな話でいいのか?
◎ここはもうウェルカムポールということで、むしろ、こういうコンサートを待つ時のワクワクした感じの話の方がいいんです。
甲本 そっか(笑)
真島 ポール最高だよ。
甲本 そう。ポールの事、ちんぷんかんぷんでもいいんだよ。ポール、最高だよ。
梶原徹也
リアルサウンド 2015
最初はビートルズですね。中学の頃にビートルズのリバイバルブームがあって、それでハマったんですが、最初からドラムだったんです。リンゴスターがかっこよかったのか、ドラムがかっこよかったのか、わからないですけれども(笑)。ただ、洋楽は聴くものという感覚でした。ビートルズも、なんだかんだいって難しいバンドだったし。キングクリムゾンやレッドツェッペリンとか、難しいバンドがどんどん出てきて。だけど77年に、パンクが登場して。その頃ちょうど高校生だったんですが、不登校だったんです。昼間は寝て、夜になるとラジオを聴いたりしていて。周りには繋がれる人がいなかったけど、ロンドンからは呼ばれている――クラッシュの「ロンドンコーリング」が聴こえてくるわけですよね(笑)。これは、やれって言ってる! と。そのインパクトは大きかったです。
クラッシュの記事
https://ameblo.jp/kaikosumiiyoshi/entry-12273168731.html
https://www.youtube.com/watch?v=Xq1Q_SVYqAw
https://www.youtube.com/watch?v=I5NzcoKzhbI
https://www.youtube.com/watch?v=1uQqN2g-KV8
https://www.youtube.com/watch?v=v1sJ9Pfm9qk
https://www.youtube.com/watch?v=-_1crW-WRYs