土佐組と独占欲と | 怪奇な僻地

怪奇な僻地

川谷圭による二次創作小説中心のブログです。

Attention!! 創作審神者含む

 主が猫を連れて来た。
 曰く、知り合いの審神者から『保護』を依頼されたらしい。
「何でも猫又になりかけらしいんだけど」
「おお、こんまいけんど長生きながか」
「うん。それで、ちゃんとした猫又になるまで匿って欲しいんだって」
「ほにほに。ちなみにわしが呼ばれたっちゅうことは、こいたぁはわしの部屋で過ごすゆうことで合うちょるかえ?」
「うん。ごめんね、頼めるかな?」
「おん、任せちょき!」
「ありがとう! あ、勿論この子のご飯代とか諸々のお金はこっちで出すから! 向こうから預かった物と一緒にある程度渡して置くね」
「おん」

 ――ということがあり、現在陸奥守の生活はその居候猫を中心に回っている。
 にぃにぃとなくその猫又候補は、すましたところがまるでなく、部屋の中では陸奥守にじゃれつくか、膝に収まってじっとしていることが多い。
「ふふ、おんしは甘えたじゃなぁ」
 そう言いつつ猫又候補をすりすりと撫でる陸奥守の表情は柔らかく、この小さな居候を慈しんでいることがとても良く分かる。
 そんな陸奥守とは対照的に、その光景を見詰める肥前と南海の表情は険しい。肥前の眦は平常時よりも更に吊り上がっており、南海は常に瞳孔が開いている。
 先に口を開いたのは南海だった。
「陸奥守くん」
「おん、どういた?」
 呼ばれてすぐに陸奥守が振り向いたので、南海の機嫌は少しばかり上向きになったらしい。
 すすす……と畳の上を移動した南海は、そのまま陸奥守の真横で腰を落ち着けると、こてんと頭を陸奥守の肩に預ける。
「……ふふ、先生も甘えたい気分かえ?」
「うん――」
「ほにほに、先生もかわえいにゃあ」
 ――そこで「先生『は』」と言ってくれないことに少々ムッとしつつも、南海は頭を撫でる陸奥守の掌の感触を享受する。
 そんな年下二振りのじゃれ合いを肥前は無言で端末に収めていた。
 
 土佐二振りと猫一匹の陸奥守を巡る争い(?)は、猫が無事猫又になり、迎えが来るまで続いたという。

 《終わり》
『かわいい』の群雄割拠時代


「――肥前と南海ってさぁ、実は陸奥守のことすっごく好きだよね」
「猫にまで嫉妬するとか、どーかと思うけどね」