<解説> (映画ドットコムより)
名カメラマンの木村大作が、「劔岳 点の記」「春を背負って」に続く映画監督第3作として手がけた時代劇。「雨あがる」などの監督・小泉堯史を脚本に迎え、直木賞作家・葉室麟の同名小説を実写映画化した。享保15年。藩の不正を訴え出たために藩を追われた瓜生新兵衛。追放後も連れ添い続け、病に倒れた妻・篠は、死の床で最期の願いを新兵衛に託す。それは、新兵衛のかつての友にしてライバルであり、藩追放に関しても大きな因縁を持つ人物・榊原采女を助けてほしいというものだった。妻の願いをかなえるため故郷へ戻った新兵衛は、やがてある確証を得て采女と対峙する。過去の不正事件の真相や妻の本当の思いを知る新兵衛だったが、その裏では大きな力が彼を襲おうとしていた。主人公・新兵衛を岡田准一、かつての友・采女を西島秀俊が演じるほか、黒木華、池松壮亮、麻生久美子ら日本映画界を代表する豪華俳優陣が集結。
<物語>武士の瓜生新兵衛(うりゅう しんべえ)は、妻である篠と地蔵院に身を寄せていた。
病気を患う篠は散り椿を眺めながら、
故郷の散り椿がもう一度見たいと呟くがその願いは叶う事は無かった。
篠は亡くなる直前、自分が死んだあと夫に故郷に戻ってほしいと頼み、妻の言う通り故郷の扇野藩に戻る。
18年前、新兵衛は藩の不祥事を追及し故郷を逐われた過去があったためそれはとても過酷なものだった。
藩では、事件の巻き添えで亡くなった者もいたが、栄進した者もいた。
新兵衛の帰郷により藩内では再び抗争が巻き起こり、
友人だった榊原采女(さかきばらうねめ)と新兵衛は対決することとなる。そして過去の事件の真相や篠が託した言葉の本意を突き止めていく。 (Wikipedia)
やはり、木村作品らしく冒頭から降りしきる雪とその白とその背景となる景色が黒かグレーでおおわれ、独特の空気感が漂うなか、静かに静かに始まる。降りしきる雪を背景に、「蜩ノ記」などで日本アカデミー賞優秀音楽賞の加古隆さんの重厚な音楽が実にマッチして全編に鳴り響く。
今作は、原作を読んでいなかったのだが敢えて読まないまま観たのだが、葉室さんの緻密な作品構成を2時間の映画にまとめる脚本には少し無理があったのかと思うような疑問符が何点かあった。
妻・篠が死ぬ間際に約束してほしいと頼まれたことの内容の解釈が分かれるような事態となって、肝心の友人・榊原采女との間柄をどう解釈したらいいか。しかし、これはこの映画の中心線をなす構成のはずなので、最後まで納得ができないままラストを迎えた。
原作を読んだとしたら、きっと脚本の不十分さを言いたくなるような気もするので読まないでおくことにした。