池井戸潤原作・映画「空飛ぶタイヤ」を観る | 昼は会計、夜は「お会計!」

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<公式HPより>累計180万部を突破した大ベストセラー「空飛ぶタイヤ」に、日本を代表するオールスターキャストが大集結。

計180万部を突破した池井戸潤による大ベストセラー「空飛ぶタイヤ」(講談社文庫、実業之日本社文庫)。
ある日突然起きたトレーラーの脱輪事故。
整備不良を疑われた運送会社社長・赤松徳郎(長瀬智也)は、車両の欠陥に気づき、製造元である大手自動車会社のホープ自動車カスタマー戦略課課長・沢田悠太(ディーン・フジオカ)に再調査を要求。
同じころ、ホープ銀行の本店営業本部・井崎一亮(高橋一生)は、グループ会社であるホープ自動車の経営計画に疑問を抱き、独自の調査を開始する。それぞれが突き止めた先にあった真実は大企業の“リコール隠し”―。

第136回直木賞候補作となり、池井戸潤自ら「ぼくはこの物語から『ひとを描く』という小説の根幹を学んだ」、という程に思い入れのある原作「空飛ぶタイヤ」の映画化に、長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生をはじめとする、日本を代表するオールスターキャストが大集結!
「半沢直樹」(13/TBS)、「花咲舞が黙ってない」(14,15/NTV)、「陸王」(17/TBS)など、これまで数々の傑作小説が高視聴率ドラマとなってきた池井戸作品だが、意外にも今回が初の映画化となる。
池井戸は映画化にあたり、「もし、人を死に至らしめる欠陥を知りつつそれを隠蔽していたなら、それは社会に対する重大な罪だ。それでも、大企業なら許されるのかー。問われているのは、我々の見識と勇気である。」とコメントしている。果たしてそれは事故なのか事件なのか。
男たちは大企業にどう立ち向かっていくのか。正義とはなにか、守るべきものはなにか。観る者すべての勇気を問う、世紀の大逆転エンタテインメント!

************* 引用終わり

 池井戸潤氏のシリーズで大企業に真っ向立ち向かうストーリーが、荒唐無稽ではなく実は日常化してきている現代は、原作が書かれたときよりも「進化」し過ぎている。世界に進出する自動車会社の様々なデータ改ざん、製鋼所でも基幹産業として日本のモノづくりを支えているところでも強度改ざんなど、そういう時に、原作がベストセラーになったという事が、エンタテイメントの世界でドラマからさらに映画作りをもすすめたということか。かつて、松本清張作品が鋭い体制批判や社会の裏まで描く作品が様々な映像作品になったこととなどに似ている。

 レビューなど読むとドラマの方がいわゆる尺があり、丁寧にストーリーを追う事ができていたが、映画で2時間だと無理があり過ぎるという評価が圧倒的に多い。私は原作を読んでもいなかったし、ドラマも観ていなかったのだが、知らないという前提だけど、映画大画面を使っての迫真の演出・演技などで十分に感動できた。やはり、中小企業の運送会社が社員や会社そのものの生死をかけて、自動車会社や銀行を経営する大財閥企業をあいてに、たたかうということがいかに大変ななかで行われたか、制作関係者の努力も大変なことだったと思う。

 こんな映画も場合によってはねじり潰されたかもしれない時代だ。

映画を観終わって夕方には、また日産自動車が完成車の排ガス検査でデータ改ざんを5年とかに渡ってやっていたという。あまりにも酷い話だ。昨年秋に、完成車の検査に無資格者で行っていたことが、露見し、再発防止など記者会見をしたけど、その何年も前からデータ改ざんを全国製造拠点6か所のうち5か所でやっていたという(毎日新聞)。

しかも記者会見に臨んだのは、最高経営幹部ではなく山内CCOだという。因みにCCOとは最高執行責任者の意だそうで、CEOが最高経営責任者の略だそうで、日産自動車は西川CEOが出ないことも含めて、社会的な批判は免れない。

 日本の大企業は、企業の果たす社会的役割など投げ捨てて、利益一辺倒で何をしてもいいという体質がここのところ露骨になり過ぎている。国会で問題になっている高プロなど働き方改革でも日経連など大企業だけが望んでいることがわかったり、相変わらず長時間労働が続き、過労死も増加の一途など、もっと社会的批判や制裁が増えないと日本社会のためにもよくないと思うのだが。