やれやれ今年のお正月は年末も年始もプラスアルファがなく、ちょうど5日間で損したような感じか。私などは自由にしてもいいのだが寝からが貧乏性なので4日で月曜日ときたら出社するのが自然の成り行き。年始は気になるルーティンワークがあるし、やはり今日からのクライアントからメールも来たので、出て正解。
さて恒例の駅伝漬け。元旦は社会人のニューイヤー駅伝。村山兄弟がルーキー入社した旭化成、設楽裕太加入のホンダ、設楽啓太加入とまた地元でもあるコニカミノルタ、また箱根の山の神の復活なるかの直接対決がある今井(トヨタ九州)、柏原(富士通)など話題も多く期待したが、結局、各区間で安定していたトヨタ自動車が2連覇した。早稲田からルーキー入社した山本がアンカーで途中10秒差くらいまで詰め寄られたが、何回も何回も後続を振り返る姿に、もう親のような気持ちで焦ってみていたが、なんとかしのいで最後は差を広げた。トヨタくらいになると1キロおきに関係者がいて後続との距離など伝えるようになっているのだから、作戦的には「来るなら来い。並ばれたらそこからスパートだ」くらいの構えが常識的なのだが、あまりの態度になんだか大学ではキャプテンまでやっていても社会人となっては、まだまだと感じさせるあたりが社会人のレベルの高さを感じさせる。毎年思うが、翌日から始まる箱根駅伝に比べて選手の自己管理やチームとしての方針がきちんとしていることなど、社会人との差は大きい。
しかし、今年の大会で強調して起きたこと! 犬の飛び出しで選手が転倒したこと ニューイヤー駅伝 犬の飛び出しによる転倒映像
この映像を見る限りリードを付けていないか飼い主がリードを離した小型犬がコース上に飛び出して、突然のことで避けようとしたコニカミノルタの選手が転倒してしまった。すぐ立ち上がったがしばらく痛みに耐えているような表情で集団から遅れた。私は長いこと駅伝ファンだがテレビで観ているときにこのような事故は初めてだった。このようなランナーは時速では20キロを超えるスピードで走り抜けるので、アスファルトを踏む音もずしんとくるもので、突然横から飛び出されたときにはどうしようもないだろうし、よくぞ踏みつけたりしないで済んだ。
そもそも愛犬家は「うちの犬に限って迷惑をかけるようなことはありません」という態度がありありで、子どもで犬を怖がる子がいたりしても何の配慮もしない愛犬などがいると腹が立つ。我が家の近所にも訳もなく吠え続ける飼い犬がいる。夜など睡眠妨害となることも多く、近所で結構問題となっているが、怖くて誰も言えない。飼い主がこのまま対応しないなら、毒まんじゅうでも与えたくなる気持ちを抑えている。
そのような愛犬家独特の唯我独尊の態度が駅伝を観に行くときにも出て、犬の管理を万全にしないでいたことからこのような事態になったのだ。コニカミノルタは企業だから、ことを荒げるようなことはしないだろうが、あれで選手のリズムが狂ったことは間違いない。もし、もっと大きな負傷でもしていたらどうなっていただろう。マラソン大会へのテロや人間が飛び出しての妨害やハプニングはあったが、ペットの飛び出しはマナーさえよければ防げることだ。日本の愛犬家の質が問われる事件となったものだ。
それで箱根は大本命青山学院大学が終始首位を譲らない完全優勝で、2位に7分以上の差を付け2連覇を遂げた。昨年の優勝後、様々メディアに露出したことで結構、手の内をさらけ出していたが、いわば今までの陸上競技指導者に対してまさに真反対の理論や哲学を持った指導者だから、何も恐れていないのだろう。むしろ、真っ正面には言わないが陸上競技の世界の古い体質に対してアンチテーゼを示していたのかも知れない。
まず、選手ととの関係が上下関係と言うよりもフラットである。兄貴のような監督だ。普段もレースの時の運営管理車から選手への声のかけ方も威圧的な態度ではない。可哀想なのは奥さんだ。夫ともに一緒に寮に住んでプライバシーもなく大勢の寮生の食事から体調の心配までされている。その辺があれだけメディアに紹介されたときに青山学院の関係者が気づいてもう少し合理的な関係・環境作りをするのかと思っただが、昨年までと変わっていないようだ。今後はこの辺が課題だろう。
次にトレーニング理論として、フィジカルトレーニング特に体幹トレーニングを重視して、まず練習の最初はフィジカルからやるらしい。だからどの選手も後半に入っても身体のぶれが出にくくなって安定した走りとなっている。
細かくは選手管理というか起用の判断でも今回の5区でケガからの復帰したばかりの山の神・神野選手を起用するかどうか、6区山下りで昨年同区間で2位の実績ある上級生を外して唯一の1年生を起用したり、アンカーも前年経験者を外した。その一方で7区は箱根史上初めて4年間同一の選手を起用などという選手起用がことごとく成功しているし、ブレーキもなかった。それらが目の前の大会の勝利だけでなく未来を見据えたものである。選手層が厚くなってきているのでチーム内の競争も激しくなっていることをうまく活用している。
こうなると青学全盛時代が少なくとも数年以上は続くものとなろう。
我が愛する早稲田は、エース区間の2区で主将の髙田が区間18位の大ブレーキ、山下り6区で昨年区間賞の三浦が負傷で急遽代役などアクシデントがあった割には、低学年ががんばって総合4位としたのは健闘だった。しかし首位青学に対して14分以上の差であるのは、先に書いたアクシデントを差し引いても、まだまだ自力を付けることが必要だ。
この春には、スポーツ推薦での長距離入部は4人しかいないし、全国区では先の高校駅伝で優勝した世羅高の主将・新迫くらいしかいない。相変わらず入学難で早稲田の補強はなかなか難しいが一般入試でも目指している人に期待するしかないか。