巨額の東芝粉飾決算に続いて、春に免震ゴムの偽装で謝罪したばかりの東洋ゴムが防振ゴムでも同様の偽装工作をしていたことがばれた。さらには、三井不動産が販売したマンションで大規模なデータ偽装・手抜き工事でマンションが傾き、建て替え問題まで浮上するという大手企業による社会的正義にもとる不祥事が相次いでいる。先日書いたように、異常なほど「日本凄い!」が繰り返し報道されている中、逆なとんでもない実態が次々と出ている。
東芝の粉飾決算は、簡単に言えば、実際には利益が充分出ていないのに、株価維持や社内競争におけるメンツなどで利益を操作したというもの。証券取引委員会の調査でも過去7年間における業績を不正に処理して粉飾した決算額が2200億円を超えるという。「モノづくり大国を支える日本の製造業の土台が、すでに過去のものとなっている実態を浮き彫りにしてしまった」(「ビデオニュース・ドットコム 湯之上隆氏 10月10日)との声まである。
湯之上氏は、簡単に言うと技術に過剰に信奉され、「この技術に対する過信と、コストと時間を度外視した高品質主義ゆえに、日本の製造業の現場では売れるあてもないまま不必要なほどハイスペックな製品を作り
続けることが当たり前になってしまったと湯之上氏は言う。そこに、日本製と比べれば厳密な意味での品質は劣るかもしれないが、そこそこの品質で低価格な韓
国や台湾など海外の製品が登場した時、日本製は必要以上に高品質、高スペックで、そして当然のこととして不必要に高価なために、売れない商品となってし
まった。結局日本の製品は、その高品質によって一度は世界の市場をリードするものの、その後、市場がより成熟してくると、必要最小限の品質で安価な製品に
取って代わられるパターンを繰り返す中で、市場のシェアを確実に落としてきたのだった。そしてその根本には「品質では負けない」「技術では負けていない」
という技術に対する過信があった。また、日本の技術信奉の背後には、日本のメーカーがマーケティングを軽視したこともあると湯之上氏は言う。その国の消費者がどのような機能を持っ
た、どのくらいの価格の製品を求めているかを無視して、単に作る側の思い込みだけで「高品質」「高価格」な製品を作っても、売れるはずがなかったのだ。」「東芝粉飾事件が露にした日本の製造業の現場の荒廃ぶりと、その背後にあるモノづくり神話の崩壊」とまで、言われているが、その流れは東芝だけにとどまらなかった。3月に免震ゴムで問題になった東洋ゴムが、今度は「防振ゴム」でも偽装だという。免震は、2つの大きな地震を受けて産業として大儲けした分野だが、そこでこんな偽装があったとは本当に許せないなだが、そのゴムをめぐる技術で船舶や紀夫のなどの機械には挟む防振ゴムまで偽装があったという。物作りニホンを支える器材・部材産業だから影響は計り知れない。
また今回の「三井不動産レジデンシャル」といっても、要は三井という巨大財閥系不動産販売、不動産建築が絡んで、さらに下請けに日立、孫請けに旭化成というそうそうたる大企業を従えての偽装だ。これでは、中国や韓国などで完成したばかりの構造物が崩壊したなどの話題の時に、官僚などの腐敗による汚職と収賄の連鎖の中で、結局、最終的な下請けまでは十分な予算が回ってこなくて、結果として手抜き工事となるというのが「おおよその構造のようだった。また日本もかつてODC援助によるベトナムの鉄橋が完成まもなく崩落したことがあった。外信ニュースであまり大きくは報道されなかったが、これも日本のODCの矛盾を露骨にあらわしていた。それは国がODCで支援するといっても結局、日本のゼネコンがその下請け・孫請けらとともに、日本へ還流させる構造なのだが、そこで現地の官僚等を含む新興国にある構造にそのゼネコンもはまって最終的には手抜き工事となったらしい。
今回の大財閥三井に始まり、三井不動産、三井不動産レジデンシャル、三井住友建設、旭化成、旭化成建材などへととつながる、ゼネコンやディベロッパーを頂点とする元請け、下請け、孫請け、ひ孫受け等々と日本の企業形態そのものが、正常な経済活動の障害となっており、むしろ劣化した資本主義経済の吹きだまりのような感じなのかも知れない。原子力村においても全く同様で、この構造が原子力発電所を支えてきたともいえるが、原子力利権に絡む政治家と経済界の癒着、利権の奪い合いお緩衝材となるのが、元請け下請けの構造なのだろう。兵器・武器産業も同様なのかも知れない。
政治家の方も新閣僚も早速政治資金問題でもうけちがつき始めている。国から補助金を貰っている企業から政治献金を受けていて、平気で「法的に問題は無い。精査して必要なら返金する」などいうのばかり。税金を使って正当へ流すことまでやって、誠次とお金の関係をきれいにするはずが、安倍内閣になったら日経連まで堂々と政治献金復活を掲げた。こうした経済のために政治家を金まみれにして、いいように使うなど、売国奴以外何物でも無い(最近は安倍さんの下で、原発輸出どころか露骨に武器輸出に意欲をみせて、死の商人呼ばわりも恐れない破廉恥な経済界だ)。政党交付金欲しくて、橋下大阪市長ひきいる大阪維新の会も景気いい発言できなくてぐずぐずしている。もう、こういう連中のいうことなどアテに市内で欲しい!大阪市民、大阪府民のみなさん!
結局政治構造まで、ニッポンはどこやらの国を批判できるような「民主主義のお手本」などとはほど遠い国である。お金や地盤や、何より血縁が物言うほど二世、三世議員ばかり増えていて、政治も経済も社会制度もどうやら二流三流であったという笑えないお話なのである。