ソチオリンピックから世界フィギュア選手権2014を終えて、フィギュアスケート界の違和感  | 昼は会計、夜は「お会計!」

昼は会計、夜は「お会計!」

会計をキーワードにコンサル業とASP(アプリケーション サービス プロバイダー)業のメールの二つの仕事をするmoriyanの言いたい放題ブログです。
テーマは、ブログ、会計あれこれ、医業未収金管理、小説・本、エンターテイメントなどなど。

 フィギュア界は、惨敗のソチオリンピック、引き続いて世界フィギュア選手権2014(埼玉)では男女金メダルで終わって、エキシビションも楽しめて今シーズンを締めた、と思われていた。鈴木明子最後の演技とか、浅田真央・羽生弓弦選手への今シーズンを振り返ってのインタビューなども聞かされた。浅田真央選手の動向も注目されているが、「ハーフハーフ」という言葉が繰り返された。それには深い意味がある。オリンピックのシングルの失敗、そこから1日おいてフリーでの見事な演技で、メダルは取れなかったが大きな感動をよんだ。そして直後の世界選手権での優勝と、メディアも大きく繰り返し放映した。
 ところが、今朝のニュースでアイスショーで浅田真央、鈴木明子選手が滑っているし、鈴木明子選手の引退セレモニーなどやっている、?だ。 「今一番したいことは?」と聞かれて浅田選手は「家でごろんとしたい」と語っていたではないか。休んでいない。少し話は聞いていたアイスショーとはどうなっているか、ネットで調べてみたら、なんと、4月だけでも3日を皮切りに19日もアイスショーがある。わかっているだけで、そんな日程が7月まで続く。これではオフシーズンでも何でも無い。もちろん、興業毎に出場者は多少変わる。興行主は木下グループ、プリンスがメインのようだ。荒川さんも出ている。競技者を引退した人がやっているのかと思ったら、フィギュアの世界は現役もばりばり出ている。引退というのはあくまで競技生活をやめるということなのだ。まさに興業に出ることとオリンピックに出ることはまったく矛盾が無い世界らしい。アマチュアリズムとはまったく真逆。ロスアンゼルスオリンピックを境に商業主義へと変貌したのでそれもやむを得ないのか。
 フィギュア選手は、公益財団法人日本スケート連盟(JSF)に登録し、こうした興業への選手への出演料からCM出演料などすべてに10%のフィーが入る仕組みになっている。もちろん、テレビ放映権料なども多額で、JSFはまれに見る金満競技団体といわれる。因みに公益財団法人なので財務内容は公開されているので、昨年度決算(2013年6月)では正味財産期末残高は13億5千5百万円である。5年前が7億円なので倍になっている。今年度予算(今年6月まで)では1年間の経常収益計で32億円である。(今6月末での正味財産期末残高予算は、期首数値など矛盾がありすぎてミスと思われるので省略) こうした潤沢な財務内容をつくってきた最大の貢献者は浅田真央といわれている。もし浅田真央が引退するなどという事態になれば、放映権料やCM出演料など各種イベントなどで激減が予想されている。ただ羽生選手が急浮上してきたので、オリンピック前の予想よりは、変化があるだろうが、浅田選手が簡単に引退とは言えないはずだ。そこまでJSFへの貢献度は計り知れない。日本オリンピック委員会(JOC)やJSFからのプレッシャーは相当なものがあるだろう。また世界スケート連盟にとっても日本でのフィギュア人気で世界選手権の開催においても日本からの広告料や放映権料の比重が大きく、なんとかJSFが浅田選手の説得に成功するよう期待しているらしい。
 個人的には、浅田選手のオリンピックから世界選手権での様子を見ていると燃え尽き症になっていても不思議ではないようにも思える。「まだやれる」とかで続けるというのもどうだろうか。浅田真央やキムヨナ選手が若いときに出てきてもう何年もたち今や中堅、フィギュア選手の低年齢化はさらに進行している。ロシアの二人をはじめ各国とも主力は10代に変わってきている。
一方で、浅田選手は引退しても、アイスショーの出演、CM料等で年間10億円程度の収入になると予測されていると聞くと何と言えなくなる。マイナー競技の選手たちの金銭的苦労とはかけ離れすぎている。(世界選手権の後、銀メダルの町田選手が海外に練習拠点を持たなくてもやれることを証明したかったと答えていた。フィギュアと入っても選手によって随分差がついてるんだろう)
 今年の冬期オリンピック・パラリンピックをみても競技団体毎に練習環境に差がありすぎる。懸案なのだが、スポーツ界全体で選手生活がもっと保障される仕組みを文科省はもちろん、スポーツ界全体でもっと真剣になる必要がある。現状の補助金・助成金は、各競技団体が国庫補助を受ける場合は、その事業費用の1/3を、スポーツ振興くじからの助成金も事業費用の1/4を自己負担しなければならない。裕福で独自財源がある場合はいいが、それらが無い競技団体は、かつて全柔連でやったように、国からの専任コーチ料などの給付金を団体にバックさせるという方法で不祥事が発覚した。負の連鎖しか生まない。裕福な団体でもスケート連盟でも不祥事が起きるし、各団体を公益法人財団として、補助金とトトからの助成金を入れるという方式は見直さなければならない。それと競技団体自身、選手自身がもっと賢くなって貰いたい。いわゆるスポーツ馬鹿から抜け出さないと、スポーツ界に明日はないと思った方がよさそうだ。

また、長いシーズンを終えた選手が「営業」で各都市を回ってショーに出ていることは、どうなんだろう。選手にとって出稼ぎ的要素もあるのだろうが、オフシーズンにやるべきトレーニングもあるだろう。