経理の魅力と責任 | 財務・経理の実務

財務・経理の実務

経理は経営管理、会計力はビジネススキル、経営戦略は会計データから…経営は会計を知ることから始まります!
会計・税務・内部統制・開示資料などなど日々情報を蓄えていきます!

経理の魅力について、何度かコラムを書きました。

今回は、その裏にある責任について少し触れます。

今般IFRSとのコンバージェンスが進んでいる中、また会計基準が変わるのかと経理担当者は悩んでいるはずです。
会計基準は世の中に合わせた形で常に変化を繰り返しています。
そして、その度に、内容を把握し、開示資料を作成する必要があります。

たとえば、公認会計士や税理士。資格を取得してからも常に勉強して、常に変化する会計基準や税法に対応していなかなければ、意味のないものになってしまいます。
資格取得がゴールではなく、財務経理畑で働く以上、毎日が勉強になります。

経理担当者も同じです。会計基準について監査小六法を熟読したり、新しい会計基準の適用指針が出れば、それを読んだりして常に情報を最新に保つ努力が必要です。
完璧に知識としてもっておかなくても、なんとなく雰囲気はつかんでおく必要があります。

それは、例えば開示資料を作成するとき、元になる法律といえば有価証券報告書であれば、金融商品取引法や企業会計の開示のガイドラインなどになるかと思います。また招集通知を作成するのであれば、会社法かと思います。

これらの法律には、ズバリ何を記載しなさいと書かれていないことがあります。曖昧で含みが入っているのです。
そこで、実務ではプロネクサスのディスクロージャー研究部などに電話をして「どういった記載内容が良いのか」といったことを相談して開示資料を作成します。(もちろん相談しないで作成できる人もいるかと思いますが)

その相談をするときに、研究部の言っている言葉を理解できなければ、意味がありません。そのために、なんとなくでも雰囲気をつかんでおく必要があるのです。

さらに、開示資料を作成するということは、虚偽記載のリスクが裏にあります。これがいわゆる「責任」ですが、財務経理担当者は、作成する以上は、この責任がつきまとう訳です。

金融商品取引法などの法律の解釈を間違えて開示資料を作成し提出したとしても、結果としては虚偽記載になります。上場会社は監査法人の監査を受け、監査報告書をもらっていますので、おおむね虚偽記載につながることはないかと思いますが、監査法人が見逃す可能性だってあるわけです。

経理担当者は、会社の状況を記載した有価証券報告書等の書類を作成できるというのは1つのステータスになります。
日本に上場企業は、東証1部が1727社、東証2部が459社、マザーズが196社、JASDAQ908社、ほかもろもろ合わせても、4,000社といったところでしょうか。
この4,000社に開示担当者は何人もいません。1社2名いるかいないかだと思いますので、日本で6000~8000人しか開示資料の作成に携わっていません。日本の総人口に対して0.007%です。

この一見、奇異に見える仕事ですが、日本企業の現状を国に報告している人というとても、重要なポジションとも言えます。
ですから、やはり経理に携わる人は、この開示資料を作成するスキルを持っているのと持っていないのとでは雲泥の差です。

これからの時代、国際会計基準のコンバージェンス等の動きも急速に高まっており、経理担当者のスキルにも期待がなされている段階かと思います。これからの時代を支えるのは経理担当者であるというのを胸にまた日々の仕事に邁進していきたいと思います。