財務分析というと、様々な率を使用して貸借対照表と損益計算書の数字を分析するという手法が本で紹介されていたりします。
多くの本には、会社目線というよりも、投資家目線で「この会社の財務体質を読み解くとか、
しかし、会社内部の分析というのに触れている分析本は少ないように感じます。
会社の業種によって、分析する内容が違うから画一的に記述するのが難しいという点があります。
私は、会社の財務分析として以下の内容を行っております。
■貸借対照表分析(概要)
貸借対照表の分析については、主に売掛金や買掛金といった会社の主業務に関係する勘定科目について重点的に行っております。
売掛金や買掛金については、基本的に支払いサイトというものがあり、例えば「月末締めの翌月末払い」といったものが支払サイトです。
売掛金が滞留していると、この支払サイトの数字が大きくなります。
■具体例で考えてみる。
具体的な例で考えてみます。
当社は、1月に100万円の請求書を得意先に発行したとします。
支払サイトは月末締めの翌月末払いで1ヵ月となります。
そうすると、
売掛金/売上 100万円
と仕訳されます。
1月の貸借対照表と損益計算書は
貸借対照表
売掛金100万円
損益計算書
売上100万円 と記載されます。
2月末になり、1月の売掛金100万円が全額回収されたとします。
さらに、2月の売上100万円を掛売上で計上したとします。
すると2月末の貸借対照表と損益計算書は
貸借対照表
売掛金100万円
損益計算書
売上200万円 となります。
■実際の財務分析をしよう!
(1)財務分析の思考回路
ここで2か月の結果を財務分析したいと思います。
売掛金は100万円ですので、この内訳は2月売上の分がまるまる残っていることになります。さて、今どうやって2月分がまるまる残っているという計算をしたのでしょうか?
「1月の売掛金が2月末に全額回収されて、2月の売上が新たにたって、それはまだ回収されていないので・・・」、とまぁこのような思考の流れかと思います。
しかし、実務は得意先が1社ということはありませんし、それがすべて全額回収という事にはならないこともあります。(ならないことのほうが多いかもしれません)
(2)総括的に分析をしてみる。
そこで、もっと総括的に売掛金が滞留していないかということを確認します。
それが売掛金の回転率分析です。
2月末の売掛金と1~2月合計の売上の金額がわかれば計算できます。
上の例の場合ですと、売掛金が100万円・売上が200万円です。
計算式は以下のとおりです。
1.売上の平均をだす。
200万円÷2か月=100万円(→これで、1か月の売上平均が100万円であることが判明)
2.売掛金÷売上平均=1.0
この「1.0」が売掛金の回転率です。
■この数字が意味するものとは?
今回の例ですと、売掛金の支払いサイトは1か月です。
つまり、売掛金が正常に回収されていれば、売掛金÷売上平均の計算結果は、「1」に近くなります。(近くなるといったのは、売上の金額に増減があるからです。それは次回触れたいと思います。)
支払サイトが1か月だと、売掛金に残っていいのは、1か月分の売上分のみのはずです。支払サイトが2か月の場合は売掛金には、2か月分の売上金額が計上されているのが正常と言えます。
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