土曜朝9時から絶賛放送中のウルトラマンオメガ。いやあ、面白い。
7歳と5歳になるうちの子が、またウルトラマンに戻って来てくれたので、今は一緒になって毎週土曜の放送を楽しみにしています。ということでこの『ウルトラマンオメガ』についても、ざっくり感想をしたくなったので、ここでやってみることにしました。
リアタイ視聴ウルトラマンって、ブレーザーにしろ、アークにしろ、大体初めの5話くらいまで個別記事でやって、疲れて中断……とかになっちゃうので、オメガに関しては、このブログにおける昭和トラマンのざっくり感想のように、ある程度観たところで、感想を起こしていくことにしました。……そういえば、エース兄さんの残りの話も、早く観ないとな。
それでは、どうぞ!!
第一話
「宇宙人がやってきた」(宇宙甲獣ヴァグセクト・熱線怪獣グライム 登場)
ウルトラシリーズの一話って、ここから新しい物語やウルトラな見せ場が始まる! って野心にあふれているものが多い。このオメガ第一話も例外ではなく、まず冒頭数分間の、宇宙のどこだか分からない要塞惑星でにおける、オメガとヴァグセクトの死闘!! ここのスケール感は、本当に映画を観ているみたいだったし、何だったら過去のウルトラシリーズの宇宙を舞台にした映画『超決戦 ベリアル銀河帝国』とかよりも、ものすごく画がビキーっとエッジが立っていて、めちゃくちゃ興奮した。時代と進歩の賜物ってことが言いたいので、『ベリアル銀河帝国』をディスっているわけじゃないですよ。本当の本当に威気迫る数分間を堪能した後は、オメガの落下。二人目の主人公、コウセイの登場と、話はトントン進んでいく。主人公のオメガ(第一話ではまだソラトという名前は貰っていない)が記憶喪失なばかりか、地球の観衆にも疎い。さらに、この世界には「怪獣」という概念がなく、今回の熱線怪獣グライムが初「怪獣」であり、「巨大生物」と表現されるなど、シン・シリーズ、中でも『シン・ウルトラマン』の影響はかなりデカいんだろうなあ。コウセイとオメガの初対面シーンや、記憶喪失を抜きにしても、ものすごい極端なお上りさん的な言動を繰り返すオメガなど、バディ感のあるコミカル要素が小気味良い。怪獣および怪獣被害の現場を前にして、コウセイの人柄に触れ、自分のやるべきことを掴むオメガ。ここで変身! の流れは、スピード感がありすぎてあんまし深みは感じないけど、ウルトラマンが人間の心に触れて、本当の自分を取り戻すっていうのは、ぐっと来るものがある展開だった。そして登場、ウルトラマンオメガ。写真で観た時は、何じゃこの赤いの……と思ったんだけど、動くとこの上なくカッコいい!! Z同様にぎらりと光る目も最高だし、声も逞しいし、絶妙にシンプルさと緻密造形の狭間にあるようなデザインのオメガが、でっかい怪獣相手にアクロバティックに動き回ると、それだけでうぉぉぉぉぉ! ってなった。グライムはグライムでカッコいいし、早く怪獣アドバンスが欲しい。最後は、コウセイが、目の前にいる青年がウルトラマンであることを知って、次回――! かなり急ぎ足な第一話だったけど、色々な面白要素がふんだんに鏤められていて、それが今後の物語でどう花ひらいていくか、期待が高まる一作でもあった。
第二話
「俺と宇宙人と学者さん」(水棲毒獣ドグリド 登場)
ソラト(この話で命名)、コウセイのバディに加えて、トリオとなるべきアユ姉の登場。演じている工藤綾乃さん、とても可愛らしい。ウルトラシリーズは昔から、親しみの持てる奇麗な女優さんをキャスティングしますね。登場は、本編開始から10分後くらいからで、それまではソラトが変身や能力を使うと、異常なエネルギー消費のために空腹になるという設定が説明される。この設定により、ソラトの都合としてもここぞという時にしか変身できないという「制約」ができあがって、面白い。アユ姉という初登場の「第三者」が登場したことで、オメガ=ソラトの「浮世離れっぷり」と、大慌てでそれを取り繕うコウセイという構図もできあがっている。さらには、アユ姉との会話と通じて、「ソラトがウルトラマンであることは知られてはならない」という「約束」もできあがって、これまで怪獣もウルトラマンも確認されていなかった世界におけるウルトラマンの立場や諸条件がこの一話の中である程度できあがっている。ただ、ちょっと今回は会話が多くて、物語的展開に乏しいのが勿体ないところかな。ドグリドがダムに棲んでいるのが分かった→ダムの作業員を避難させよう→話聞いてくれないところにドグリド出現→ウルトラマンと闘う、と、まあテンポが良い。ここはさ、一回は信じてくれないで追い返されて、それでも何とかしようとするアユ姉を見てソラトが「何でそこまでするんだろう」って疑問に思うとか、ドグリドを探しに行く途中、空腹で動けなくなったソラトにご飯を上げるのを、アユ姉じゃなくて農家のおばさんとかにして、ダムが決壊するとおばさんの村が被害を受けるから「一飯の恩義」でオメガが戦うとか、そういう物語的なオメガが戦う矜持みたいなものを見たかったかも。ドグリドとのダムでの決戦は、臭そうなのが印象的(笑)。身体を傷つけると、毒の体液が飛び出るので、光線で内部破壊! 一応の必然性はあるレティクリュート光線の登場がカッコいい。
第三話
「急な寒波にご用心」(無重力怪獣ペグノス・メテオカイジュウレキネス 登場)
ペグノスって名前、まんまペンギンな姿。笑ってしまったけど、これが意外と強いし、動いているのを見るとカッコいい。令和版リニューアル・ぺギラですね。予告編も担当しているラジオの気象情報によって、異変が分かるなど、工夫が効いていて良い。今回は最初から3人そろって、けっこう痛いとこを無意識に突くアユ姉と、何の気なしに地雷を踏んでいくソラトと、必死に取り繕うコウセイ。会話の中で、この世界における「怪獣」の立ち位置がアユ姉から語られて面白い。実際、視聴者もこの世界における「怪獣」の置かれている立場がまだ呑み込めていない。この辺は、今後はっきりしていくのでしょう。レキネスに引き寄せられるように森の中に入って行く三人。鳥居の手前でちゃんと一礼するアユ姉に交換度上々。コウセイの過去もほんの少し語られたところで、ペグノス登場。仕方ないっちゃ仕方ないんだけど、登場人物がそれぞれに自分語りするシーンがけっこう多くて、長い(笑)。それはあくまで「設定」であって、その間、ストーリーは展開しないんだよね。しかも、ここで語られているコウセイの過去が、今回の話に絡んでくるわけでは、現状ない。登場人物のドラマとけっこう関係なしに怪獣が襲来するのが、リアルといえばリアルなんだろうけど、ドラマとしては今一つかなあ。ペグノスは何のためにレキネスを狙うのかも、今後明らかになるのかしら。鳥型怪獣は強いの例にもれず、安直な奴の割りにペグノス、超強い(笑)。冷気からくる無重力をここまで巧みに操って攻撃する怪獣って、これまでいなかったかも。ちゃんと知性派なところがニクイ。オメガ、第三話目にして大苦戦。そこで登場するレキネス。いわゆる「カプセル怪獣枠」でありながら、ウルトラマン以外の登場人物が「怪獣使い」になるのは、けっこう新鮮だった(大怪獣バトルを除く)。ソラトとは違う能力を持つW主人公で行こうという意図が感じられる。生物感のあるペグノスに対して、レキネスは渦巻く炎の意匠とか、画に描いたようなデザインが特徴で、この辺のギャップも面白いし、念動力で下半身の冷気が噴出孔を塞がれた上でオメガに爆散させられるなど、勝利の課程にちゃんと論理があるのも良い。とりあえず今回の話で、三人のチームができあがったわけで、いよいよ三人での活躍が期待されるけど、アユ姉にはいつ正体を明かすんだろう。それがまた新たな葛藤やドラマの推進になるんじゃないかなと、先読みが働いてしまいました。
第四話
「爪痕の謎を追え」(刃爪怪獣テリジラス 登場)
ここまで登場したオメガ怪獣の中でも、テリジラスはトップクラスに凶暴そうでカッコいい。テリジノサウルスの生き残りが怪獣化したデザインで、現在の「羽毛恐竜」の巨大化凶暴タイプ。人間を捕食していると思しきシーンもあり、ドグリドやペグノスなど、その「存在」が地球環境を脅かす怪獣ではなく、こっちはダイレクトに人を襲うから、オメガの殺る気も増し増し。戦いの直前、テリジラスの爪痕によるマーキングに対して、壁に罅割れを起こして、縄張り主張をするソラトがカッコいい。ただ、そこに至るまでの、W主人公の衝突は分かるッちゃ分かるし、オーナーさんの人柄も素敵なんだけどかなり薄味というか……。ウルトラマン=ソラトの無配慮さにコウセイが怒る展開を持ってくるタイミングと、レキネス登場のタイミングが少しズレてやしないかと。だって前回で、あれほど怪獣退治に貢献したレキネスを操る「怪獣使い」的ポジなんだから。「頼りにされてない」なんて思うはずがない。ウルトラマンであるがゆえに、人間の心の機微に気付かず、感情の衝突が起こるという展開は、これまた「シンウル」的な感じで面白くはあったんだけど、話の流れ的に、上手く機能していないように思えたし、この一話で完結させるには勿体ない要素だったかもしれない。まあ確かに人物同士の衝突って、あんまり観ていて楽しい要素じゃないし、序盤数話で、そこをじっとりとやってしまうとげんなりする所はあるけれど、やっぱり薄味感は否めなかった。一方、市街地に巨大な爪跡が残されているとか、ビル街の中に羽毛恐竜的な巨大怪獣が出現するという画の面白さ。見るからに凶暴そうなビジュアルで、ペグノスに引き続く鳥型怪獣(恐竜だけど。まあ、鳥類は恐竜の生き残りだし)で、巨大な爪に苦戦するオメガ。そこにコウセイがやってきて、レキネスがアーマー化!! って流れ、これまたテンポが速くて、もうちょっと必然性が欲しかったかなあ。むしろ、念動力で周囲のものを浮かせて、透明怪獣を補足するって、凄く良い展開だったから、それで一閃――! の方がすっきりしたかも。アーマー自体はカッコいいし、最後の斬りまくりとか面白かったんだけど、レキネスアーマーの登場回とするには、相応の物語的必然性に乏しかったんじゃないかしら。最後、力を使った後のコウセイもソラト同様に腹が減るっていうのは良いよね。注目所としては、やっぱり怪獣のカッコよさで、これはぜひとも大きなソフビで欲しいところ。明らかにバッサー系統の怪獣なので、DX版のマガバッサーを改造して、作ってみようかしら。
第五話
「ミコとミコト」(伝説蛇獣オオヘビヌシノミコト登場)
日本民話・伝説風の蛇型怪獣というと、ミズノエノリュウやナツノメリュウがいるけど、ここまで極端な「蛇身」なのは珍しいかも。むしろウルトラセブンの宇宙竜ナースを思い出させる。昨今だったらCGで作りそうなところを、殆どが操演で、このぎこちなさがむしろ味。物語の民話風なテイストもあって、全体的に不思議な昭和感がある。場所がド田舎だしね。今回は、人間関係とドラマが密接に結びついていて、異形の存在と心を通わす少女という、地元伝承をそのままなぞった関係の上でドラマが進行する。怪獣と人間は共生できるのか? というコスモスがシリーズを通じて投げかけてきた問題に対して、本話ではけっこうシビアな回答が投げかけられているのも注目。怪獣の側にその気がなくても、その特質から人間の命が脅かされる。共存が難しい存在。一方、少女側は孤独を慰める「友達」として、その怪獣に執着していて……という、そんなところで板挟みになるソラトの葛藤と、その果てに選んだ「怪獣側の選択」がグッとくる。すごく寓話的なお話なんだけど、だからこそ胸を打つというか、ウルトラシリーズの中でも時にある、「遠い町、ウクバール」とか「雪の扉」とか「ラゴンさま」のような、異色だけれども凄く印象に残る話の一本に連なる意欲作が、この早いタイミングで出てきたな、と。ただ、怪獣をめぐるドラマはオメガストーリー史上これまでにないくらい深堀されていたのに、人間ドラマの方が今度は薄味というか……特に、あの少女とおばさんとの関係は、もっともっと物語的展開の中で深堀出来たと思うし、そうじゃないと、最後に関係が変わっていくところに突飛さを感じてしまう。今回は、コウセイはもう序盤と電話だけにして、おばさんと少女の心の解消みたいなところの起伏に時間を割くべきだったんじゃないかなあ。ソラトが最後、怪獣を向き合ってあれこれ考えているところに電話が鳴って、コウセイの声を聴いてホッとする――とか、それくらいの出番で良かった気がする。折角の意欲作なのに、少々もったいない。ただ、こんな風に、物語的展開がどうとか人間関係の深堀がどうとか、ごちゃごちゃ駄弁を弄しているのはオッサンの愚痴に過ぎないのかも知れず、現に、横で並んでみていた5歳と7歳の息子は、いつもはここがカッコいい! とか、この怪獣好き! とかけっこう声に出すのに、この話だけは一言も発さずに、しっかり見ていた。子どもの心にも深く響くものがあった証左で、それこそがウルトラシリーズの大切な部分なんだと思う。
以上、5話分の総括でした。
中には「ん?」と思うところもあって書いていますけど、あくまで個人の感想なんでね。ウルトラシリーズは、怪獣とのバトルは勿論のこと、それまでのドラマにも注目する所がたくさんあって、昭和から今まで、それぞれのウルトラマンで「これは本当に凄い……」と唸ってしまうような印象に残るドラマも多数観てきました。早くも五話分を消化したウルトラマンオメガ、まだまだ今後発展していく伏線や設定も随所にちりばめられていると思うし、何よりオメガ自体がもの凄くカッコいい。毎週のお楽しみに加えて、8月1日からは「ウルトラマンシリーズ60周年記念」で、歴代の名作も配信されることになりました。
この夏、ウルトラマンがアツい!