これが一般販売に回されたのって、けっこう意外。
ゴジラ映画史上、カルト中のカルト『ゴジラ対ヘドラ』に登場するバージョンのゴジラ。
前の記事で大絶賛した、ミレニアムVER2.0と同日に発売開始されました。
おおー、この顔! これから低迷期にいくぞー!! って前のゴジラ。
味があると言えば味があるのですが、ミレゴジのこれぞ怪獣! というイケメン顔に比べると、カッコよくは……まあ……その……。
在庫は豊富。探せば3000円を切るところもあります。
正面から。
モスゴジで決定的となった顔の方向性を、言い方は悪いけどどんどん劣化させていった感じ。
ウルトラ怪獣でも、二代目怪獣は大体残念な出来になるけど、それと同じ轍を踏んでいるのかも。
少なくとも、初代が持っている面影はないし、モスゴジが持っている和テイストの怪獣顔の魅力にも乏しいし、平成以降のがらっと一新されたカッコよさもない。ベビーフェイスになり切れてもいないから、一番中途半端な時期かも……。
横から。
こうして見ると、スタイルが良いんですよねえ。足が長い。
そして首も長い。
これが人間……というかマネキンっぽくて、やっぱりディノサウルロイドに見えてしまう。
本編を見ると、顔立ちとかは角度によって、おっ、カッコいいって感じる瞬間はあるんだけど、
このソフビだと、カッコいい角度を見つけるのは中々難しい。
意外と、正面やや俯瞰の方が良いかもしれないなあ。目つきが厳めしく感じられる角度。
背中。
背鰭が相当に白くて、骨みたいになっている。
そういや、劇中でヘドラを攻撃して、腕を溶かされるんですよね。ヘドラはゴジラ敵怪獣の中でも強者の一体で、ゴジラは満身創痍で戦いに挑む。
背鰭の一つ一つにかなり膨らみがある。
枝分かれ部分がかなり短くて、本当にクッションみたいな柔らかみがある。
顔のアップ。
おっ、この角度は良いかも。
散々けなしてきましたが、瞳に闘志が宿っているのがうかがえる目つきが凛々しいですね。
豚鼻じゃなければ、イメージもだいぶ変わったかもしれないのですが……。
寄りで見ると、人らしさがなくなってカッコよく映るのかも知れません。
この時期の体表ディテールは一致していますね。
ちぎったウレタンを張り並べたような体表。ソフビでやるとごちゃっとして見えそうなところが、とても奇麗に処理されています。
可動は四肢。
両腕を上げて威嚇するように屈指運動するアクション? が印象的でした。
あと、戦う前に顔を拭って「こいよ」みたいな手の振り方するんですが、あれはね……良くないよ。
足が意外と可動域が広い。
ここよりも更に前後に開きます。
カッコいいかは別として、ちょっと今までにないようなポーズも取れる。
街中に置いてみた。
のっそり感。
でも夜中に、こんなぬぼっとした顔が現れたら、そっちの方が怖いと思う。何してくるか分からなさそう。
ビルを破壊するゴジラ。
腕の可動が縦軸なので、格闘の動きには秀でてるかもしれません。
ヘドラ戦ということで、コンビナートを舞台に。
ヘドラと闘わせようと思ったのですが、ヘドラが棚の上の遠いところにいたので、断念しました。
顔が似ている枠で、怪獣大戦争時のゴジラと。
メカゴジラ期のゴジラよりも、むしろこっちの方が近いと思う。
最終決戦は富士の裾野。
100万人ゴーゴーパーティーをやるはずが、100人しか集まらなかったという、超ダウナーな舞台での最終決戦。
当時の世相を反映――してるのかは分かりませんが、独特の味のある一本であることは確かですよね。
ということで、1971年版のゴジラでした。
ミレゴジに比して写真が少ないのは……すみません。個人的な好みの問題です。
ムビモンのゴジラだけでも20体くらい集まってきたので、前の記事でも予定したように、お気に入りの順番を決めたいと思っているんですが、こいつは……果たして何位になるのかしら。
もちろん、このソフビに難があるわでけは全然なくて、映画本編に出てきたゴジラのデザインと造形がそもそも……だったわけです。BANDAIはそれを忠実にソフビ化してくれただけ。変にブラッシュアップせずに、カッコよくないと感じるところも含めて再現してくれるからこそ、ゴジラのデザインの変遷を考えていくうえで、非常に有益な視覚資料となる。そういう意味での完成度は、とても高いと思います。
謎なのは、なんでこいつが一般に回されたかなんですが……確かに『ヘドラ』は人気回ではあるけれど、モスゴジを差し置いて一般販売されるってのはよく分からない。もしかしてだけど、次躍動シリーズで、こいつが空飛んでるバージョン出します? そのための布石だとか? 僕、躍動シリーズは最終的に絶対、あの飛行ゴジラを出すに違いないと思ってるので、このヘドラ版ゴジラが一般に回されたのは、躍動でついにあのポーズのゴジラが出てみんなの腹筋を崩壊させるための前準備のような気がしています。