本日よりスタート! ウルトラマンアーク。
仕事だったのでリアタイ視聴は無理でしたが、後からちゃんと通し観できました。ということで、ざっくり感想を書いていきます。
第1話「未来へ駆ける円弧(アーク)」
・すでに「いる」世界観
最近のウルトラマンはどれも、スタートの部分に工夫があって楽しいですね。一つ前のブレーザーでは決戦真っただ中から始まって、その話の中では殆ど設定を説明せずに、ウルトラマンの初登場を描いた。その前のデッカーの場合は、スフィアによる未曽有の危機とウルトラマンとの出会いに絞り、続く2話との間にかなりの時間的間隙を置いていた。ただ、これまでのウルトラシリーズにほぼほぼ共通していたのは、視聴者同様に、その世界に住む人たちもウルトラマンとの「初」出会いが描かれていたということです。
ところが今回は、3カ月前からまだ命名されてはいませんが、ウルトラマンが地球に存在していて、しかも怪獣たちを撃退しているという、「既にいる」設定になっている。これは今までになく新鮮だと思った。さらに主人公は防衛軍ではなく、けっこう民間色の強い「怪獣防災科学調査所」に所属している。この辺は、ウルトラマンオーブのSSPを髣髴とさせますね。オーブのデザインにも近いものがあるアークですから、そういったところで過去シリーズのこだまのようなものを感じました。
この世界の中で、今回は主人公がいる「SKIP」の活動を通してストーリーが展開する。防衛隊から出張してきた石堂さんの目を通して、特殊なお仕事であるSKIPの具体的な活動の内容などが理解できるようになっている。この辺の説明の仕方や人物の配置が巧みで、話や設定が呑み込みやすいようになっていると思いました。
・新ヒーロー ウルトラマンアーク!
アークのビジュアルデザインはだいぶ前から公開されていたので、それが本編でどのような動きを見せてくれるか期待していました。一つ前のブレーザーが、ウルトラマンの異色中の異色って感じで、サイバー感とバイオ感が融合したものだったのに対して、今回のアークは、ニュージェネの中でもかなりシンプル。頭部はかなり特徴的だ、首が黒いところとかはオーブオリジンに近いものを感じる。エッジの利いた頭部デザインも、何となくオーブ的な印象が強いですね。ただ、青い光のラインが走っているところなんかはギンガっぽいし、厳つい目とか黄色い目の色とかはタイガのようでもある。全体的に頭部はニュージェネ感が強い。
一方の身体は平成を通り越して昭和! って感じの赤銀デザイン。これが逆に新鮮でしたね。温故知新と言いますか、ブレーザーどころか、ニュージェネ自体からの圧倒的な差別化がはかられている。これがね、違和感マシマシかと思いきや、意外と合うんですよ。今、ニュージェネの多彩感や装飾感のないウルトラマンの基本フォーマットに戻ったとしても、それをすんなり受け入れて応援できる、ウルトラマンデザインの度量の広さってことですよね。アークの活躍はとっても楽しかったし、カッコよかった。フィギュアーツが楽しみですね。
・第二期ウルトラシリーズを彷彿とさせる怪獣
鎧甲殻怪獣シャゴン登場。前回のブレーザー初登場怪獣が宇宙甲殻怪獣バザンガ。甲殻という部分しか共通しておらず、デザインの方向性がまるで違う。ブレーザーにおいては生物的リアルと細部までの緻密な造形で、時にグロテスクささえ感じられる「クリーチャー」的だったのに対して、アークの怪獣は、まだちゃんと見れたものは一体だけですが、愛嬌のある「キャラクター然」としているものが多そう。今回のシャゴンも、亀みたいな頭部がお茶目で、目の造形などから表情や感情がよく分かる。これ、50mを超える巨体じゃなかったら、ポケモンとかで出てきそうなデザインでした。しかしそれでいて滅法強いっていうのは、帰ってきたウルトラマンから始まる第二期ウルトラシリーズの、特に新マンやタロウの怪獣を髣髴とさせます。アークの戦闘スタイルやアイキャッチなどからも分かる通り、やっぱり新マンはすっごく意識していますよね。怪獣もそうだし、怪獣と闘う中で、幾度となくアーク側が圧倒される展開になるのも、すっごく第二期ウルトラシリーズっぽいんですよ。子どもの頃に親しんだ感じが帰ってきた……そんな懐かしさを覚えて、ちょっとほっこりしました。
・ダイナミックな怪獣アクション。3分18秒40に渡る長回し
第1話の醍醐味はここですよね。アークがどんな戦い方をするのか。作品全体の方向性を大きく決定づける、ウルトラマンのアクション。いやー、面白かったです。アークが登場してから、石堂さんがスマホのビデオで撮影。そのタイムラインがずっと右上で動き続けている中、シャゴンとの戦いが、一度もカットを割らない長回しで展開される。これまでにも長回しでの戦闘、たとえばウルトラマンZとかは、ダイナミックな長回し戦闘とかがあって、すごく見ごたえがありました。この第1話では、アークの登場から、完全なる怪獣撃退までを、全部長回しでやるっていうね……。これは楽しかったです。
ただ、無理はあるんですよ。一応、石堂さんのカメラで撮っている体だってんのに、めちゃくちゃ長距離動き回るし、建物を手前に置いて、階をどんどん上がっていくわけですから、どう考えても石堂さんの目線じゃない。もしかしたら後から伏線的な回収があるのかも知れないけど、少なくともこの第1話だけだと、タイムラインを提示した上での長回しを行うためのカメラ撮影という設定は、ちょっと無理がある。けど! 映像的にはやっぱり見ごたえがあって、これを可能にした映像技術には、素直に拍手です。
その3分18秒40の中で、前作のブレーザーで楽しかった部分をちゃんと踏襲しているのも良いですね。バリアって、そんな風に使えるの!? っていう。これには笑いました。ここで「想像力を働かせろ!」っていう、ウルトラマンアークの根底を貫くテーマが浮上してくるのも上手いなあと。それにしても、想像力=物理法則を捻じ曲げることなのかしら。意外と諸刃の剣かも知れないと思うのは、これをやりすぎると「裏の裏をかく」ことだけが先行して、どうしても戦闘がコミカルになってしまう。ただ、アークのリアルすぎない世界観の中では、あんまり違和感がないかも知れませんけどね。
戦闘は、前述の通り第二期ウルトラシリーズを思い出させるようなピンチ展開も入れつつ、光線技「アークファイナライズ」や武器「アークアイソード」までそつなく入れ込んでいる。この辺の手際の良さは、トリガーの第1話でもありましたね。
ということで、色々と見どころが多かったウルトラマンアーク。
ただ、不満点がないわけでも無くて、
①戦車のミニチュアがミニチュアすぎた。
②ロボットがいくらなんでもウケと可愛さを狙いすぎ。ウルトラシリーズっぽくない。
③エンディングの主題歌が肌に合わない。
などなど言いたいこともなくはないんですが、ブレーザーとはまた違った世界のウルトラマンということで、今後の活躍を大いに期待したいところであります。
あと、これは個人的な感慨なのですが、以前の時にも書いた通り、以前妄想で「ウルトラマンアーク」というウルトラマンを思い描き、どんな世界観や設定にしようかというところまで考えたことがありました。その中で考えていた内容で、
①既に怪獣やウルトラマンがいる世界
②主人公然としていない、冴えない人がウルトラマンになる(ただ、アークの彼は別に冴えてないわけじゃないけど)
③アーマー的なものを装着して戦う(ただしそれを装着する用途は180度異なる)
これらについては、僕の妄想が「ウルトラマンアーク」で実際化している部分でもあります。こういう符号は素直に嬉しい。そして僕の妄想を超える楽しい展開で、ウルトラマンアークが飛翔していく今後が楽しみです。ブレーザー同様に、暫くは新怪獣で行ってくれるらしいし、新クールごとに色んな「新」を見せて「帰ってきて」くれるウルトラマン。来週、また驚きの展開と、愛すべき怪獣、そして「アーク」ならではの我らがヒーローの活躍を見たいと思います。今から楽しみ!