めちゃめちゃ時間が空いてしまった、新マンの全51話マラソン。ラストの11話分を、一挙にざっくり感想(完走)していきます!
取り敢えず、前回までのざっくり感想はこちら。
ざっくり感想「帰ってきたウルトラマン」第1話~第10話 | 怪獣玩具に魅せられて (ameblo.jp)
ざっくり感想「帰ってきたウルトラマン」第11話~第20話 | 怪獣玩具に魅せられて (ameblo.jp)
ざっくり感想「帰ってきたウルトラマン」第21話~第30話 | 怪獣玩具に魅せられて (ameblo.jp)
ざっくり感想「帰ってきたウルトラマン」第31話~第40話 | 怪獣玩具に魅せられて (ameblo.jp)
『帰ってきたウルトラマン』第41話~第51話 ざっくり感想
【第41話】
「バルタン星人Jr.の復讐」(宇宙忍者バルタン星人Jr.・ロボット怪獣ビルガモ登場)
思い出したかのように坂田兄を慕う次郎君。ブラックキングとナックル星人の回の直後に冬の怪奇シリーズを二本入れた関係で、坂田兄弟亡き後の次郎と郷の関係を描く回がここまで延びてしまったということだろうか。一話先にやっておくべき話だったかなーとは思う。今回の敵は、マン兄さんに倒されたバルタンの息子。ビルガモを使ってMATと次郎君を人質に取り、ウルトラマンに戦いを挑むあたり、ウルトラマンの弱点を突いてきたなという感じ。同じバルタンでも、二代目とかは陽動と地球への攻撃を同時展開するなど、中々の策士でもあり、本作のJrにもその片鱗が見て取れる。ススム君の指摘により、偶然埋め込んでいたレンガが脱出のカギになるなど、効果的な伏線が貼られていて、なるほど! と手を打った。けど、彼らが脱出するまで、「ウルトラマーン! 動いちゃだめよぉー!」は酷すぎるだろう(笑)。あと、MATは怪獣を倒した後に、早く安心しすぎだ。次郎君が指摘するまで郷の存在に気付かないのは、いくら何でも非人情では……。特撮パートで言うと、ビルガモとの戦いは、爆炎噴き上げる中で見ごたえがあった。MATと次郎君が脱出した後、これで遠慮なく戦えるってなってからのウルトラマンの無双っぷりが好き。
【第42話】
「富士に立つ怪獣」(蜃気楼怪獣パラゴン・宇宙怪人ストラ星人登場)
電磁波を偏光させる力を持つ強敵。プリズ魔と言い、光を操るタイプの怪獣は強敵が多いイメージ。新マンもかなり苦戦していた。富士山頂に巨大な怪獣がどっかり座っている画が、とても素晴らしい。のに、ウルトラ宇宙人の中でも特筆して小物っぽいストラ星人が、パラゴンを操ってやっている地球侵略計画が回りくどすぎて、ジュラル星人の親戚かお前はと。今回はMATの戦闘シーン、というかパラゴンに翻弄されるシーンが長く描かれていて、爆発たっぷりで危うい危うい。パラゴン自体が何もしなくても、ただ偏光させるというだけで、同士討ちや味方への攻撃に繋がってしまう。この展開は凄く面白かった! 最近、すっかり穏健派になってしまっていた岸田隊員が、新マンの序盤のような暴走っぷりを見せてくれる。が、怪獣を倒した後、そこへの後始末がないことに啞然。いやいや、貴方が考えなしに撃ったミサイルで、民間の方が数名死んでるようなんですが――。満を持したパラゴンとウルトラマンとの戦いは、パラゴンが幻影によってビックリするほど巨大になったり、偏光? を駆使して見えなくなった上で乗りかかり攻撃をしかけたりと、「光を曲げる」テクニックによる視覚的なトリックでウルトラマンを翻弄するのが、見た目に反して中々の知能犯で好ましかった。ひょっとしたら、飼い主? のストラ星人より頭が良いかも。デザイン的にも、凄くカッコいい。新マンはシリーズの終わりごろまで、ユニークな怪獣に恵まれている。
【第43話】
「魔神 月に咆える」(魔神怪獣コダイゴン・発砲怪人グロテス星人)
この前後から、通り魔的な怪人が増えてくる印象。ストーリーは、これまでもその人間味でストーリーを牽引してきた伊吹隊長の「里帰り」。大体、隊員が里帰りするとロクなことにはならず、今回も伊吹隊長の妻子が人質に取られるという展開に。41話のバルタンと言い、42話のストラ星人と言い、今回のグロテス星人と言い、こいつら、本当によく喋るな。特に、今回のグロテス星人は小物感が凄い。やからみたいな奴ですよ。こいつが小物になればなるほど、伊吹隊長の渋さに見飽きがかかるってもんだ。MATの隊長として、最愛の妻子の命すら顧みれない立場、それを妻も分かっているからこその覚悟と涙……この辺は、中々にドラマチック。ウルトラマンとの戦いでは、怪人を狙うウルトラマンと、ボディガードたるコダイゴンに隠れてこそこそ攻撃してくるグロテス星人と、それぞれの目論見が明確に分かれていて面白かった。凍り付いた蓮根湖での戦いというのも良い。せっかくだから、コダイゴンとの決着も、しっかりつけて欲しかったところ。MATの隊長が来ているから怪獣が出るんだ! って意気込む村人(これで伊吹隊長が里帰りすることはできなくなったんじゃないかな)とか、娘さんの演技とか、取って付けた感もある部分も否めないが、最後のお口直しの爽やかな笑いなど、ウルトラシリーズの和風ストーリーとして、見どころの多いものとなっている。
【第44話】
「星空に愛をこめて」(宇宙牛人ケンタウルス星人・燐光怪獣グラナダス登場)
伊吹隊長の次は岸田隊員のフィーチャー回。MAT屈指のダンディ? 岸田隊員、ロマンス担当ということだろうか。しかし、ウルトラシリーズの隊員ロマンスは結末が両極端。特に昭和の場合は、恋した相手が宇宙人で、気持ちが報われないことも多い。今回は、特筆して悲劇的な結末が待っている。燐光怪獣グラナダスは、一風変わったデザインながら、闇夜に燃え上がる燐光の双眸など、雰囲気はばっちり。その青い炎でウルトラマンを苦しめるなど、とぼけ顔に似合わず中々の強敵だった。物語は宇宙人悲恋モノのストレートな展開で、地球に潜伏していた工作員が地球人に恋をして、我が身を犠牲にして怪獣と共に自滅する話。取り立てて突飛なものがあるわけではないけれど、岸田隊員の甘いマスクに苦悩がにじむあたりは、むしろ奥様方に人気がありそう。岸田隊員の個人的な恋愛から始まって、それが宇宙を超えた気持ちの繋がりとなるなど、このスケールの大きさはウルトラシリーズならでは。岸田個人にしてみれば悲恋だけれど、遠くない未来に惑星を超えた恋愛の成就という希望を感じさせる終わり方になっていて、上手いなと。最後は全員が敬礼する中、岸田隊員だけは違う何かをして、変わらぬ愛を伝えて欲しかったかな。
【第45話】
「郷秀樹を暗殺せよ」(電磁波怪人メシエ星雲人・白鳥座61番星人エリカ・鼠怪獣ロボネズ登場)
冒頭のコンビナートでのロボネズ対MAT・ウルトラマンは見ごたえ十分。いきなり怪獣大暴れで威勢がいい。この戦いが元で負傷した郷秀樹が今回のターゲット。43話のように伊吹隊長を狙う理由は明確にあったが、一隊員に過ぎない郷を狙う、その理由って説明しにくいし、納得もされにくい。結果、孤独な戦いを強いられる――みたいな感じかと思ったら、意外とみんなすんなり納得してくれて、隊長なんか「誰かに恨まれているのか」みたいなこと訊いて……。いやいや、いくらなんでも飛行機ごと爆破するのは行き過ぎでしょう。せっかくの「郷秀樹暗殺計画」が、あんまり良い方向に行っていない。悪質なメシエ星雲人に操られる白鳥座6番星人の少女、その少女と心を通わす次郎。――でもこれよく考えると、一つ前の岸田隊員のロマンスの次郎版だよね。恋愛感情こそ明確にはなかったけれど。つまり本作は、43話における伊吹隊長を狙った計画を、ターゲットを郷に変え、44話における岸田隊員のロマンスの代わりに、次郎君のドラマを持ってきた。前2話の美味しいとこどりをしている話です。別にいいけど……もう少し間あけたら良かったのに。ラストのメシエ星雲人との戦いは、ウルトラマンが負傷したところを執拗に攻撃される展開があるくらいで平凡。ロボネズも復活しなかったし。ドラキュラス以降、ずうっと侵略宇宙人とのバトルが描かれているけど、そろそろ食傷気味……なのに、次回もこすい企みを持つ宇宙人の話です。
【第46話】
「この一撃に怒りをこめて」(宇宙参謀ズール星人・ブーメラン怪獣レッドキラー)
レッドキラーはパラゴン以来のカッコ良い怪獣。王道の怪獣的には、ブラックキング以来かな。両腕がブーメランになっていて、それでビルを真っ二つにする。漫画チックだけど面白い。ズール星人のこすさは、帰マンシリーズ随一で、紙芝居屋の胡散臭いこと胡散臭いこと(笑)。しかも、地球侵略作戦を紙芝居の形で送るって、何でまたそんな回りくどいことを……。だから言わんこっちゃない。紙芝居に怪獣の名前なんて次郎君にバレてやんの。迂闊にもほどがある。一方、MATの中の信頼関係、特に伊吹隊長と郷秀樹の信頼関係が確固たるものになっているのが分かるシーンに富んでいて、初期のMATあるいはエースのTACでは到底考えられないです。レッドキラーとの戦いは、久しぶりの昼間市街地戦で、これが中々スケールが広い。しかも帰マンでは珍しい、相手の武器を利用しての決着の仕方。シリーズ終盤になっても、これだけのミニチュアを組んで大規模な戦闘を見せてくれるのは嬉しいし、見ごたえがある。今回は子どもを利用しての悪どい作戦で、一時期は命が危うくなるなど、中々にシリアスな展開になったけど、最後の三人のやり取りが非常に爽やかで、良い口直しになっている。この話に限らず、静止画で終わる回って、良い余韻を残しますよね。一番好きなのは、タロウのモチロンの回かな。
【第47話】
「狙われた女」(ひとだま怪獣フェミゴン登場)
フェミゴンのデザインもカッコいい。シリーズ終盤で、極端なデザイン怪獣が増えていく中、レッドキラーやフェミゴンのような怪獣然とした怪獣が出てくれるのは有難い。このフェミゴンコンビナートでMATと闘うシーンは、ダイナミックなカメラワークもあって中々の見ごたえ。帰マンの怪獣は、コンビナートのような煙もくもくの中での泥臭い(誉め言葉)戦闘が、よく似合う。ストーリーは、郷と南隊員を序盤に退場させ、女性隊員の丘隊員を操ってミスを頻発させてMATの戦力減を狙うもので、これはフェミゴンが思いついたのか? 久々に宇宙人が登場してこない回だけど、伊吹隊長はラストに「宇宙怪獣」と言っている。やりたいことが分からないでもないし、「ひとだま」という性質を利用して怪獣が隊員に乗り移るのは面白い発想だけど、何となくピントがぼやけた作戦。伊吹・上野・岸田の三人となってしまったMAT内でのアツいやり取りも分からんではないが、何かね……。ウルトラマンとの戦闘は、コンビナートでの戦いは良かったものの、そこから海底に移る瞬間の、海に飛び込むシーンが、人間サイズにしか見えないのが残念。ウルトラマンの「宇宙から来た暴れん坊」の回のように、セットをしっかり作りこめば、縮尺の違和感なんて気にならないもんなのに。フェミゴンという面白過ぎる怪獣を生み出したんだから、もっと効果的な展開にできたんじゃないかって、そんな気がします。
【第48話】
「地球頂きます!」(なまけ怪獣ヤメタランス・宇宙怪人ササヒラー登場)
帰ってきたウルトラマン屈指のギャグ回。しかし同時に笑ってばかりもいられない話でもある。存在するだけで人を怠け病にし、どんどん巨大化していく。ヤメタランス自身にその気がなくても、どんどん街を壊していく。敵に利用されると、これほど厄介な相手はいない。これに街中が感染していくシーンは爆笑モノだけど、火事になっても事故になっても誰も助けに来ない、そのうち誰も出勤しないもんだから車の事故もなくなって、工場も稼働しなくなって排気ガスが出なくなって……という風に、どんどん人間的生活から乖離していく辺りは、考えようによっちゃ戦慄が走る展開。ヤメタランスを追撃するMATのシーンで、ワンダバがいつもよりも早く、隊員たちが感染していくにつれて段々遅くなって――という風に、音楽にも感染していくのが笑えた。同じことがウルトラマンとの戦いでもあった、これは初代マンのスカイドン戦を思い出す。ヤメタランスに比べると、ササヒラーは強いんだけどいまいちパッとしない相手。ヤメタランスが去ったことで途中から加勢するMATというのも読める展開。ササヒラーは控えめに、むしろヤメタランスの対処に時間を割いてほしかったかな。事件が解決した途端、本部のあちこちの電話が鳴り響くシーンとか、しゃっくり(感染するとしゃっくりが出る)で、「また感染したんじゃ……」って一瞬心配顔になる郷隊員など、「怠け病」が物語の最後まで良いアクセントになっていた。
【第49話】
「宇宙戦士その名はMAT」(銀河星人ミステラ―星人登場)
これは看板に偽りありで、MATは基本的に終盤まで操られているので「宇宙戦士」ではない。最後に円盤を追撃したくらいかな。ただ、MATジャイロが登場する貴重な回でもある。アローとジャイロが隊を成して円盤を追撃する画は、やっぱりカッコいいよね。序盤、思い出したように、坂田兄妹がいないことを寂しがりつつも、郷隊員やルミ子さんと新しく関係を作っている次郎君。今回は「家族」がテーマということで、戦いを嫌って地球に隠れ住む宇宙人父娘と、その父を連れ戻しに来た戦闘隊長、その確執に次郎とルミ子が巻き込まれることになる。我が娘のためにやむなく次郎とルミ子さんを拉致するシーンでの、ルミ子さんのくるくる演技が噴飯モノ。ミステラ―星人の娘さん、とっても奇麗でした。地球を愛して隠れ住むというと、ケンタウルス星人と同じだけれど、こっちは悲劇で終わらずに地球で生き続ける展開になっていて、第44話とセットで見ると、中々に味わい深い。
【第50話】
「地獄からの誘い」(原始地底人キング・ボックル登場)
可愛らしい見た目に反して、中々あくどいキング・ボックル。MATとの戦いで、MATアローの視点からキング・ボックルを見下ろす画が斬新かつダイナミックで良かった。シリーズ中盤~終盤にかけて顕著に登場した、割とよく喋る人間臭い宇宙人とは違って、超音波を利用して人間を錯乱させたり操ったりし、自身は一言も喋らないというのが、かえって不気味で良い。「蝙蝠のように――」と表現されるところもからも、直前の話と違って、今回は意思疎通が不可能であることが明示されている。ストーリーは、シリーズ終盤にてMAT隊員一人一人のフィーチャー回のラスト(あれ? 南隊員は? 序盤優遇されてたからかな)であり、上野隊員の物語。地上侵略の邪魔になる小泉博士を殺害、その一人娘である千鳥さんを狙い、それを上野が守る――という展開で、千鳥さんに個人的な想いを寄せているらしき上野の言動を、伊吹隊長が汲むところがカッコいい。あと上野の疑いが晴れてMATに復帰するシーンも、短いながら良かった。それにしても、佐原健二さん演じる参謀は、ちょっと解散を仄めかせすぎではないかと。佐原さん自身は、これまでのイメージを引きずりたくなくて、あえて厳しいキャラクターとしたと仰っているけれど、厳しいとかいう以前に――何かねえ。あと、今回吃驚したのは、ウルトラマン、喋りましたよね。それと、あと一話しかないのに、「本当の戦いはこれからだ――」みたいなナレーションで締めくくるのは中々に斬新だった。威勢の良いワンダバが、いよいよやってくる最終回に向けて、胸を高鳴らせも、ざわつかせもしてくる――。
【第51話】
「ウルトラ5つの誓い」(触覚宇宙人バット星人・宇宙恐竜ゼットン二代目登場)
ついにやってきた「帰ってきたウルトラマン」最終回。去年の4月から始まった、全51話マラソンもこれで完結です。
監督は本多猪四郎! これだけでも気合が入ってる。っして冒頭から――え? 結婚式?? と思ったら、ルミ子さんの夢かい。しかも、現在進行形でバット星人にさらわれているという、びっくりの展開。とにかく中だるみさせないで、個人の活躍を描いている。そして同じ夢繋がりで、今度はゼットンの紹介。ゼットンの脅威について今一度再確認させたうえで、満を持して登場したのが――えっ? 太った?? バット星人、自信満々に「ウルトラ抹殺計画」なんて言ってますけど、MAT本部を攻撃するのは初代ゼットンも使った手。ただ、それと同時並行でM78星雲に宇宙船団を送り込むのは、中々にスケールが広く、ウルトラマンが地球を去らざるを得ない理由に繋がっていく。MAT対ゼットン、ウルトラマン対ゼットン・バット星人は、これぞ最後! という感じで見どころ満載。とにかく市街地のセットが広いのなんのって。しかも怪獣とウルトラマンの立ち位置の間にビルが置かれていたりと、かなり複雑な構造になっていて、高架を手前にしたアングルでの画が最高。一人一人の描き込みも、若干の漏れはありつつもこの短尺の中では、しっかりしている方。唯一残ったMATアローで飛び立つ前の様子や、ルミ子の「郷さんが帰ってくるような気がする」という言葉に対する頷きの様子からすると、やっぱり伊吹隊長は知ってたのかなぁとか、色んなことを考えさせる。
最後の戦いを経て、「遥か彼方に輝く星」――故郷を守るために、地球に別れを告げるウルトラマン。ウルトラ5つの誓いを叫びながら海岸を走る次郎君。地球とM78星雲、二つの星侵略の危機という相応にスケールの大きな話を、郷と次郎君の別れに落とし込む、非常に奇麗なエンディング。シリーズの中で、色々なことが変われども、二人の絆だけは、最後まで固く結ばれたままでした。こうして、地球に「帰ってきた」ウルトラマンは再び、大宇宙のかなたへと「帰っていく」こととなり、ウルトラシリーズ復活の第一作目となった全51話が、ここに完結を迎えることとなる。
以上、「帰ってきたウルトラマン」全51話でした。
途中でさぼってしまったこともあって、完走まで時間がかかりました。ウルトラマンが一カ月、セブンが三カ月程度だったことを考えると、一年弱の帰マンは、完走までにけっこう苦戦した感があります。正直途中、続けてみるモチベーションが維持できないところもありました。ウルトラマンの時には、一話一話が全部面白くて、次に見る話が楽しみで仕方がなかったんですが、帰マンは、けっこうクールごとでのテンションの上げ下げが激しかった印象ですね。
しかし一方、Q、初代マン、セブンで培った特撮技術を駆使し、さらに様々な新しい要素に挑戦し続けた、「帰ってきたウルトラマン」は、話ごとのクオリティや好みに大小の差はあれども、見ごたえがあったし、やだみとか歪みとか、そうした諸々も含めて、鑑賞後にあれこれ考えるのが楽しい作品でした。中盤以降、特撮とドラマとがハイレベルな親和性を見せる回も出てきて、ウルトラシリーズ屈指の傑作として、永遠に語り継がれる作品にも恵まれていたと思います。
ということで、全51話中、個人的なおススメベスト10を考えてみました。
10位 第19話「宇宙から来た透明大怪獣」
9位 第30話「呪いの骨神オクスター」
8位 第34話「許されざるいのち」
7位 第14話「二大怪獣の恐怖 東京大竜巻」
6位 第28話「ウルトラ特攻大作戦」
5位 第31話「天使と悪魔の間に…」
4位 第25話「ふるさと、地球を去る」
3位 第21話「怪獣チャンネル」
2位 第35話「残酷! 光怪獣プリズ魔」
1位 第33話「怪獣使いと少年」
こんな感じかなあ。
好きな話が後期に多いのは、やっぱりMAT内での人間関係が円熟して、ドラマをMATの外に持って行けるようになったからのようですね。ただ、特撮的には第14話は外せないし、忘れられがちだけど、第19話の影の演出も中々でした。
以上、「帰ってきたウルトラマン」全51話ざっくり感想でした。お付き合いいただき、ありがとうございました。
最後になりますが、この全51話のあとも「郷秀樹」として僕らに夢と勇気を与え続け、そして2023年3月22日に、大宇宙のかなた、光り輝くM78星雲ウルトラの星に旅立たれた団時朗さんに、心からの感謝を。郷秀樹のように地球を遠く離れても、テレビの向こうでは、永遠に変わらぬ姿で、いつでもどんな時でも、「帰って」きてくれます。
ウルトラ5つの誓いを携えて――。