ご当地怪獣は、果たして人類の敵か、味方なのか? なぜご当地怪獣は日本に出現したのか。
ことの起こりは遥か1万年前……巨大な隕石が当時の日本列島に当たる箇所目掛けて落ちてきたことに起因する。接近した隕石は落ちる前にバラバラに砕け、各地に散らばった。隕石の正体は、知的生命体の思いを受けて、その姿が変異する「怪獣物質」であり、自らのカラダを細かく砕くことで、日本列島と、そこに暮らす人々の暮らしを守ったのだ。
長い時の中で、日本の人々はそれぞれの地域に独自の異なる言語、生活風習など、独自の魅力ある文化を形成していった。散り散りになった怪獣物質の中には、それを見守りながら、それぞれの土地の名物・名産品の姿を借りることで、人々の暮らしに溶け込むものがおり、その力で人間たちに様々な恩恵をもたらした。各地の人々は怪獣物質の存在を知らないながらも、無自覚に関りを持ちつつ、それぞれの地域の伝統を守り、自然に根ざして暮らしていた。
しかし現代、人間が事故の繁栄と利益を追求するあまり、日本はこれまで怪獣物質と人間が築いてきた平和な自然と文明の調和から大きく異なる社会になってしまった。それを憂いた日本各地の怪獣物質は、土地の地域の力=「地場力」を使い、その土地を守るために「ご当地怪獣」の姿となって突如として人間の前に出現したのである。
ある者は言う、怪獣たちは何を日本人にもたらすのだろうかと。現代の人々が見失ってしまったものを、何が大切なことなのかを再び教えてくれようとしているのではないかと……。
日本から生まれた怪獣文化を通じ「日本を元気に!」をキーワードに発足した「ご当地怪獣プロジェクト」
全国47都道府県の伝統・文化・特産をモチーフとした、日本発の新たな怪獣たちが各地に出現する!
文章は、付属の説明書から引用。
いわゆる「ご当地もの」にあんまりゆかりがなくて、ご当地アイドルとかゆるキャラとか、ぜんぜん興味がない。地域地域の特色を何かしらに具象化して、それを魅力とするコンテンツで言うと、ドツボにハマったのは漫画『四十七大戦』ですね。今、マガポケでずっと読んでいます。面白いですよ。
テレビでやってる「秘密のケンミンshow」とかも好きになれなくてね。ご当地○○には、まったく乗ってこなかったんですが、それが怪獣とコラボするとなると話は別。「ご当地怪獣」ーー地域の文化風習、観光に根ざした怪獣なんて最高じゃないですか。モチーフ全開ということで、初期のウルトラ怪獣の真逆の道を行くものですね。
公式サイトにはいくつかの「ご当地怪獣」のビジュアルや設定が公開されており、今後のイベント情報なども紹介されていたけど、立体化の予告は長らくなかったーーような気がする。デザインをモデルに起こしたマケットは初期から公開されて、展示会もあったし、ソフビは出てたのかな? でもブルマァク並みに高いんですよ。それがこのたび、カプセルトイで登場。これは嬉しいサプライズでした。
公開紹介するのは、記念すべき第一弾、最初のご当地怪獣フィギュアです。
愛知
シャチホコング
【紹介】
名古屋城で見つかった金のシャチホコが巨大化した怪獣。名古屋城の二対のシャチホコを両親としてしたっている。東京観光を終えた外国人旅行者が、名古屋を通過して大阪や京都に行ってしまうのを食い止めようとしている。防火のシンボルであるシャチホコにもかかわらず、ビルを燃やすくせがあるため、ひとり反省することも多い。
ご当地怪獣のコンセプトが一眼でわかる。これをシリーズの頭に持ってきたのは大正解。
金のシャチホコがモチーフになっていると、誰だって気づく。そりゃ、背中にここまでデカいの背負ってたら、そうもなるでしょうよ。
シャチホコを背中から尻尾にかけての造形に取り入れ、実際の怪獣部分は別途デザイン。
この怪獣部分が、非常に魅力的。
四肢の先もシャチホコのヒレになっている。
背中。
金の鱗が背中を覆う棘のようでもあり、怪獣然としたデザインが完成されています。
シャチホコそのまんまの部分も、デカくて豪快で粋ですね。
この顔を尻尾にするって、素敵な発想です。
顔のアップ。
ご当地怪獣の中には、どう考えても「これは妖怪だろう」ってデザインの顔を持つものも少なくないんですが、このシャチホコングの顔は秀逸ですね。ちゃんと怪獣っぽい。
帰ってきたウルトラマンか、ミラーマンの怪獣で出てきそうです。あるいは、モチーフ全開でだいぶふざけてるのに、顔はイケメン王道怪獣というと、タロウの怪獣が該当しそうです。
腹に隠れるようにして手がついていたりと、小さいながら細部まで行き届いた造りになっている。
カラーリングは、グレーと金。この2色でしっかり決める。こういうところも、新マンの怪獣らしいです。
カッコいいなぁ。
解説文を見ると、愛知を素通りして関西方面に行ってしまう外国人観光客を食い止めるために出現するい。健気な怪獣なんですが……さすがに、こいつが現れたら逃げるわな。
説明書も中々凝ってます。
得意技はゴールデンうろこカッター。
おそらく、手の部分で攻撃すると見た。投擲のアクションで、ヒレの部分が飛んでったりしたらカッコいい。
大きさ比較。
超動と同じくらいです。
Zゲージの街の中に置いてみる。
シャチホコングは55mなので建物側に埋もれがちですが……これくらいの方がしっくり来るのは僕だけでしょうか。
日常に現れる異物感があって、中々良いと思います。
そんな中でのエースとの対決!!
超動シリーズはアニメ版しか持ってないのでね。昭和ウルトラマンが、きっと似合うのだろう。
戦ってますけど、別にそんな凶暴な怪獣でもない。
ビルを燃やして、あとで1人反省するくらいなので。
パチモン感と、ご当地感と、怪獣らしさがきちんとあって、なんだか嬉しくなってしまうシャチホコング。この企画、ますます好きになってしまう。
彩色はノーマルとブロンズとがあって、両方持ってますが、とりあえずノーマル版を紹介しました。
このシリーズは、47都道府県揃うまで絶対に続けてほしい!! ただでさえ生活が苦しくなって日本という国から元気がなくなっていく今、そんな鬱憤を、ぜひとも怪獣たちに晴らしてほしい。そして日本が大切にし続けてきた怪獣文化が、もっともっと愛されるコンテンツとして広がっていってほしい。その嚆矢として登場したシャチホコング。ご当地怪獣たちよ、この後に続け!!