今日、チリの鉱夫の方達33人が無事
救出されましたね

とても地震の多い地域と言うことですが、
作業中に大きな地震が来る事無く、無事に
助かって良かったです。
家族との再会シーン、とても素敵でした

(本妻&愛人のバトルは正直ちょっと笑って
しまいましたが(^_^;)結局愛人が迎えに来て
ましたね
)

少し間が空いてしまいましたが、以前書かせて
頂いた恩師の遺稿の中の私の好きな話の続き
です

時間が経ち過ぎてしまったので、興味があり
ましたら「恩師の事③」をご覧になってから、
続きを読んで下さい
(^-^)

(「人間という自然」 高野亨 蓍
高野晶 編 「感応」より)
月日は流れていった。世相の変化と緊迫した
空気には息苦しさが感じられるようになっていた。
私も戦争に参加する年齢になっていた。
久しぶりに老樹に別れを告げに行った。
「私に何か異常な事があったらお前にわかるよう
知らせるから、親父に伝えてくれよ。母親は弱くて
すぐ涙し、泣くから駄目だよ。約束したぞ」
私は十分に水と米を持ってゆき、老樹のえぐれた
穴に置いてきた。何か淋しかった。
老樹の枝から葉をとりポケットに入れて持ち帰った。
親父には山の老樹の話をした。何か変化が
あったら注意してほしい。あれは私が可愛がって
きた木だから、と言った。
「この次は暫く来れないよ」と家にも別れを告げた。
戸籍が消えていることを知らない両親。
戦場に征くことすら知らない。しかし何かを推察して
いたようだった。
戦争はきびしく、多くの戦友が去った。彼方此方の
戦場を経験した。捕虜にもなった。栄養失調にも
なった。人の愛も情けも受けた。傷を受けたり
飛行機もろともに海に落ちたりもした。
海水の冷たさと傷の痛みに耐えていた。頭から
しばしば意識が消え去った。そんな時に「老樹よ、
まだまだ生きるぞ」と叫んではまた意識が消える。
星が夜空に瞬いていた。
親父は時々気になって、老樹を見に行った。
あいつの言った事は本当だろうか、訝しがり、
そんなことはないと否定もしていた。それでも
心の隅では、万が一あるかもしれぬと不安を
もっていた。
或る日のことだった。風もないのに木が折れる
音が、父の耳に響いて聞こえてきた。
もしやと思って老樹を見に行って驚いた。
老樹は痛々しく、無惨に折れていた。
何かあったと察知した。父は誰にも話せず、
気持ちは沈んでいった。「何かあったんだ」
と叫びたい気持ちだった。
その頃私は、飛行機とともに海中に墜落して
意識を失っていた。
今日はここまで。。。
続きはまたお話しますね
