【ドラマ感想】『結婚できない男』をイッキ見して『まだ結婚できない男』について考えてみた | 『レ・イわ感』 KaiHazamaのドラマやニュースについての感想や違和感についてのブログ。

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日々の出来事で感じた違和感を書き連ねます。
いつの間にか、ドラマの感想が中心になり。。。

結婚できない男』の続編、『まだ結婚できない男』が13年ぶりに放送されました。

 

 

 

続編はうれしかったし、それなりに楽しんだけど、前作のクオリティからすると、なんか物足りなかったので、『結婚できない男』をAmazonプライムビデオで、イッキ見。

 

2019年に見たドラマのベスト5入り確定w

 

みんな使っているのがガラケー以外は、13年前とは思えない。

やはり、良いドラマは色あせない。。。

 

だからこそ、ちと残念な続編。。。

 

 

前作と今作の違い

 

では、どんな違いがあり、それがドラマの出来にどのように影響したのか。。。

 

「登場人物が多すぎ」

 

多くなりすぎた登場人物は記号的で、主人公やメインキャストの人物像を表す役割、物語の展開に影響を与える役割にもなっていないため、物語進行において、「人と人が出会うことによる相乗効果」が、あまり機能していない。

 

英治も建築家になった、建築事務所に、アシスタント2人と経理1人が必要なのは、仕事量的にも、時間経過を表す意味でも、理解できる。

 

ただ、この3人は、にぎやかし程度で、ひな壇芸人以下w

いる意味ある?

奈緒サマは、せっかく知名度が上がってきたのに、もったいない。。。


 

前作の女医(夏川結衣サマ)の同僚看護師が、花火大会に参加して、桑野の博識を褒めたりすることで桑野のキャラ深堀とか、女医(夏川結衣サマ)の職場シーンで、女医のキャラクター深堀、状況説明の役割とかを果たしていた。。。

 

今作の建築事務所の3人の存在は、意味不明。

 

いっぽうで、弁護士(吉田羊サマ)のアシスタントも、キャラ設定が記号的で、ほとんど機能せず。。。

 

弁護士(吉田羊サマ)のアシスタントを複数にした方が良かったかと。。。

 

さらに前作は、桑野の隣人(国仲涼子サマ)の友人(SHEILAサマ)も、本来ならば無関係な他のキャラクター達との絡みもあり(金田とバーに来たりw)、キチンと機能していた。。。

 

同様に、前作で言うと、金田(高知東生サマ)というキャラがアクセントになっていたが、それを「やっくん」ブログの濡れ衣を着せられた薬丸(デビット伊東サマ)という位置づけですが、薬丸は、桑野や他のキャラクターと関係を築くには至っておらず、やはり記号的です。。。

 

他にも、脚本家に直訴して出演したらしい、コワモテな犬の飼い主(RED RICEサマ)も同様に、隣人(大根女優)との関係性が深まるだけで、桑野や他のキャラクターとの関係性の広がりや、物語を展開させるきっかけもなく、記号的。。。

 

前作では、桑野が、お化け屋敷のミイラ男ストーカーを撃退して、隣人(国仲涼子サマ)が、桑野のことを好きになって、、、という、終盤に向けた怒涛の展開があったわけですが。。。

 

英治の結婚相手も、英治の結婚式のスピーチにもってくための記号に過ぎず、それ以外の展開上、機能していない。。。


 

「登場人物同士の絡み合い、お節介度合いの濃さが違いすぎる。」

 

周囲のキャラクターが、複雑に、ある意味、それぞれが好き勝手に、時にはお節介なまでに関係性を深めることで、その対極の孤高なポジションにいたはずの、桑野が次第に巻き込まれていくのが面白かったのに。。。

 

今作は、桑野ひとりを際立たせてしまい、周りを記号的なキャラクターばかりで、それぞれの人物像の深堀が、独白的なセリフによる場合が多すぎて、バランスが悪すぎた。

 

前作では、桑野は自分から誰かに電話をしたり、キチンとコミュニケーションはとっていた。

 

今回は、桑野のキャラに頼りすぎて、引き笑いという役作りなのか、指定なのか、キャラがクドくなりすぎて、関係性で見えるウザさというよりも、毒舌一発のような感じになってしまった。。

 

 

「前作は群像劇だった」

 

今作はメインキャラクターの人物造形が薄っぺらい。

 

人間関係は、前作同様、桑野と3人の女性という構図なのだが。。。

 

前作は、日常的にかかわる医者(胃の調子が悪くてと通い詰めるw)、仕事で毎日顔を合わせる建築プロデューサー、そして、お隣さんという、接点の多い人物設定になっている。

 

さらに、女医(夏川結衣サマ)、長年のビジネスパートナー(高島礼子サマ)、隣人(国仲涼子サマ)が、ドラマの進行に伴って、それぞれに桑野に対する思いに気付き、後半から一気に盛り上がっていって。。。

 

中盤までに、3人の人物像や恋愛・結婚観が、メインキャラクター同士の関係性も深堀しつつ、描かれて、更には恋のライバル的な要素もありつつ、そこに桑野がウザくw関係していたわけで。。。


なによりも、女医(夏川結衣サマ)が意外とポンコツで愛嬌があり、長年のビジネスパートナー(高島礼子サマ)はしっかり者、隣人(国仲涼子サマ)は若さ故の奔放さという、キャラわけが出来ていた。。。

 

 

いっぽう今作は。。。

 

弁護士、離婚したカフェ店長、隣人という構成でしたが。。。

 

弁護士に相談することを作り出すために「やっくんブログ」を持ち出したものの、割とあっさり解決してしまう。。。

バナナを持って訪問する桑野に、何か意味あったのか。。。

毎度毎度相談する展開は、他の登場人物との関係性となかなかリンクしにくくて、苦しかった。。。

 

 

離婚したカフェ店長も、その後の印象が薄め。。。

前作の「仕事上のパートナー」と比べると、そもそもの関係性が薄いわけで。

キャラ設定が失敗だったのかも。

むしろ、隣人の設定にしてしまった方が良かったのでは。。。

 

隣人(大根女優)に至っては、犬の飼い主であることと、女子会の場所提供なだけで、桑野との関係性は薄いまま。。。

その意味では、犬の活躍すら、印象が薄い。。。

いっそ、女優志望のカフェ店員にするとか。。。

 

3人のキャラわけも、微妙。

アラフォー離婚者(なんとなく桑野を悪い人ではないと言い続ける)、アラフォー独身、若い女性という、程度でしかない。。。

 

メイン・ヒロインとなる女性弁護士が、一面的で魅力不足。。。

前作の女医のようなポンコツ感がなく、ただただ女性弁護士的なスキのない、ステレオタイプなイメージに終始。

 

前作の女医と看護師の病院内シーンのように、女性弁護士側の事務所内での実態などが描かれないので、キャラの深堀が出来なかった。。。

奈緒サマは、弁護士事務所のスタッフにすべきでしたね。。。

 

 

「手を抜いたわけではない」

続編と言うことで、前作で描いたことは、みんな知ってる前提として、描写を省略してしまったのかもしれない。
 
例えば、桑野が孤高の独身男を描くうえで必要な、一人料理を作るシーンは、今作でもステーキや北京ダック、ひとり流しそうめんなどがあった。
前作は、料理だけでなく、掃除シーン、鞄の中身をきれいに並べたり、服選びでテーブルにきれいに並べたりするシーンが、桑野的なキャラクターの日常生活を深堀して、さらに、そのシーンが、物語の進行上も効果的だった(テレビ出演の際の服選びで、女医にアドバイスを求め、それに嫉妬する隣人という波及効果)。
 
 

豆乳片手に振動マシンに乗ってるとか、面白いけれど、記号的で遊びにすぎず、桑野のキャラとしての深堀や、物語上の意味がなさすぎ。。。

視聴者的には、細かい部分での、「相変わらずな孤高のこじらせ独身男w桑野」を見たいわけで。。。

 

このwの部分が、このドラマの面白みなわけで。。。

 

 

脚本の構成やセリフによって、登場人物たちの関係性についての状況説明から始まり、そこから、様々な出来事を通した、気持ちの積み重ねを経た登場人物たちの想い。

そんな登場人物たちに寄り添ってきた視聴者だからこそ感情移入と没入感が高まり、登場人物と共に味わえる感動があるわけで。。。

 

意味のないキャラクターが多すぎて、散漫になり、一番描くべき関係性が希薄になってしまい、波及効果、連鎖反応が少なくて、部分部分は面白いのだけれど、グッとは来なかった。。。

 

 

制作者側の事情

 

少ない制作予算と、企画に保険を掛けたくなる心理

 

前作と見比べると、明らかに制作予算は減っている気がする。

 

細かい描写などから、効率的な撮影スケジュールが優先されているのを感じる。

 

たとえば、橋のシーン

前作では、望遠で撮ったり、色々なアングル、ライトアップされた橋の全体像を見せたりと、さまざまな余韻を醸し出していた。。。

 

マンションをベランダ側から望遠で映すシーンも、前作ではあったが、今作ではほぼない。

 

ちょっとしたワンシーンだけれど、このちょっとしたワンシーンを、わざわざ撮影できるかは、スケジュールと予算の余裕がない、現状を表しているようで、前作の細かい描写と比べると、せつない。。。

 

 

「話題作に出演させたい事務所の意向」と、「前作がヒットしただけに、優位にキャスティングできるうえ、企画に保険を掛けられる制作者側の思惑」が一致。。。

 

とりあえず、キャストを増やす。

奈緒サマ、磯村勇斗サマ、英治の婚約者、隣人の大根女優など、ホントにストーリー上に必要なのか、キャストのために役を作ったようで、キャストが多すぎて、役割が分散して、結局、関係性を描くドラマの内容が希薄になった。。。

 

 

『ドクターX』じゃあるまいし、何となくのゲスト出演いらない。。。

 

前作のファンが見たいのは、そういうドラマではないかと。。。

 

 

そして、それは視聴者が『まだ結婚できない男』に求めるものから、どんどん乖離していく。。。

 

とても残念。。。

 

 

視聴者が見たかったものとは

 

「孤高のコジラセ独身男が、ホームドラマ的にお節介な他人様との距離感に巻き込まれていく姿であり、1つの出来事が、波及効果・連鎖反応して他のキャラクターにも影響を及ぼし、その中で描かれる桑野の偏屈な毒舌や屁理屈、そして理解しあい、深まる人間関係、その先にある恋愛模様」

 

ではないでしょうか。。。

 

ドラマの基本構造としては、同類のと言える、『俺の話は長い』は、「ニートのコジラセ男を中心とした、家族と周囲の人々との関係性を描くホームドラマ」として、登場人物もコンパクトにまとまっていて良かったのですがね。。。

 

 

 

おわりに

 

『結婚できない男』は、テレビドラマの歴史に刻まれる名作と言える作品です。

Amazonプラムビデオなどの配信で視聴できますので、初めての方も、13年前に見て以来の方にも、オススメです!