病院とかこういう系の施設って、ちょっと“幽霊が出る”系のイメージありません?実際にたくさんの人が亡くなる場所だから、もしかしたらそれも真実かもしれません。

 

 慣れない頃、夜勤はちょっとした恐怖でしたよ。真っ暗で、シンと静まり返った廊下。広い空間なのに、私ひとりしかいない。時折、どこからか聞こえてくる物音。

 

 

キャーーーっえーん

 

 

……しかし、実際に幽霊を見たことは、実は一度もありません(笑)

 

 

 

 ただ、この仕事を始めて、本当に不思議だなって思ったことが一度だけあります。それは、安西さん(84歳・女性)のお話。

 

 

 

 先に言ってしまうと、安西さんは、既に亡くなっています。

 

 安西さん、とてもお元気な方だったんですよ。認知症もなく、口も達者。ほとんど自立で、スタッフの介助もほとんど不要な方でした。

 

 それがある日、急に親しい人達を呼び出し始めたんですよね。ご家族やご友人、施設内のお友達。そしていきなり、

 

「私はもう逝くから。」

 

 と、別れのご挨拶をされたんです。まだ全然元気そうなのに。

 

 我々スタッフも、呼ばれた親しい人達も、みな『ちょっと弱気になっているのかな』程度に思っていました。

 

 それが……。

 

 

 その数日後、安西さんは亡くなりました。

 

 

 ちょっと食事量と行動量が落ちているな、と思ったら突然の急変。そして、心停止。死因は心不全。

 

 

 

 みんなして驚いたのは、言うまでもありません。

 

 

 

 

 大抵の高齢者の方々の願いは、

 “ぴんぴんころり”

 であること。

 

 “ぴんぴん”と元気だったのに、寝たきりになることもなく、“ころり”と逝くことです。

 安西さんはそんな“ぴんぴんころり”の体現者。しかも最期に親しい人へのお別れのご挨拶までしっかり済ませるなんて、なんて完璧な最期でしょう。

 

 

 私、年齢的にはまだまだ死は遠い身ですが、なんとかそんな死が迎えられないものかと思います。

その為には、なんとか予知能力を身に付けなければ……。

 

 

試しに、滝にでも打たれようかな。