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レビー小体型認知症の兵頭さん(男性・81歳)。兵頭さんの行動を邪魔さえしなければ、迷惑行動もなく、ほとんど暴力もない。にもかかわらず、団体で他人と生活をする老人ホームであるからこそ発生してしまう問題。
“他人の居室に入ってしまう”ことさえなければ、たまに排泄介助でスタッフが殴られようと、それはそこまで問題視はしないのですが(まぁこれも少々おかしいのですけれど)、入られた他の入居者さんの気持ちを考えると放置はできません。なにしろ知らない男が家に勝手に入ってくるわけですから。
そこで、結論から言うと、兵頭さんに精神病院に入院して頂くこととなりました。暴力が少し出始めた頃からその対応については医師も合わせて話し合われてきたのですが、一度“断薬”をして薬の調整をしてみようかと言うことになったのです。
実は兵頭さんは、いろいろな薬を飲み過ぎているような状況でした。認知症の抑制薬としてアリセプトを飲み、パーキンソン症状が出たことによって抗パーキンソン薬を飲み、抑うつぎみになったため抗うつ剤を飲み、攻撃性が出たら安定剤を飲み…。
対症療法を繰り返した結果起こってしまう、ウソのような薬の混乱。兵頭さんの場合、アルツハイマーと違って、幻覚やパーキンソン症状など少しややこしい症状の出やすいレビー小体型認知症で、しかもレビーは“薬剤過敏性”という通常より副作用が出やすい傾向もあるため、余計に薬の加減は難しいのかもしれません。
しかし、たくさん飲んでいた薬を一切ゼロにするという断薬は、どう転ぶかわからないため危険を伴う可能性があり、常時医師が待機しているわけではなく、常時スタッフが横に付いているわけにもいかない施設で行うのは難しいもの。そこで、入院、という運びになりました。
……でも、私個人の想いとしては、賛成はできなかったんです。やっぱり“入院”というのは、高齢者にとってはリスクが伴いますから。入院をきっかけに寝たきりになるという話は、珍しくありません。
入院という方法をとらずとも、他に方法はないものか?他の入居者さんの居室に入ってしまうのが問題なら、スタッフによる見守りを強化して、その前に止めることは本当にできないのか。
暴力が問題と言うが、スタッフの対応の仕方に問題はないのか。“やってはいけない”と言われていること。例えば兵頭さんを驚かすような大声で、静止したりはしていないか。兵頭さんを大勢で取り囲んで脅かしてはいないか。暴力を振るうからと急に羽交い絞めなどしていないか…。
私は……もちろんそんなことはしないように注意はしているつもりでしたが、完璧な対応かと聞かれたら全く自信は持てませんでしたし、それに、そんな明らかに悪い対応をとっている他のスタッフを実際見掛けたりもしていました。
ですから、入院という方法をとらずとも、その前にもっとできることがあるのではないかと思ったのです。
しかし、入院は決まりました。大勢の利用者さんを見なければいけないスタッフには、できる対応にも限りがあること。それにもし他の利用者さんに危害を加えるようなことがあっては取り返しがつかないこと。そしてご家族さんも充分に納得されて望んでいらっしゃること。それらを考えたら、私も反対を押し通すわけにもいきません。
こうして兵頭さんは、ご自身が入院するという現実も理解されないまま、精神病院に連れて行かれたのでした。
薬ってむずかしい↓↓↓
