前回記載した通り、介護をするために必要なのは、移乗でもなんでも実際に自分でその動作をしてみて、細分化して動作を分析すること。勉強もあまりせず、考えずに介助をするより、その分析をするだけで随分と介助はやりやすくなると思います。

 

 

 でもその前に行うべき、もしかしたら一番重要なこと。それは、まず第一に環境を整備することでしょう。

 

 

 例えば立ち上がりが自分ひとりでできない方。座面の高さをたった10㎝高くするだけで立てるようになるかもしれません。前方や横に、手でつかまれるなにかを置いてあげるだけで立てるようになるかもしれません。

 自分で寝返りが打てない方。ベッド柵を付けて、つかまれる所を作ってあげたらできるようになるかもしれません。

 安全に座ることができない方。しっかりとした手すりがあって重量のある安定した椅子を用意したり、椅子の横に手すりを設置したら問題なく座れるかもしれません。

 

 次に、一部介助でもほとんど立位の保持ができなかったり、全介助の方の移乗において大事な環境整備と言えば。

 やはりまずは、高さの調整ができるベッドを用意することでしょうね。そして移乗しやすい、モジュール型の車椅子(肘掛けを上げたり足置きを取り外したりできる)を使うこと。L字型のベッド柵も非常に便利です。

 

 あと、体重が重い方などに特におススメなのは“スライディングボード”。まぁ簡単に言うとただの薄い板なのですが、例えばベッドから車椅子に橋渡しするような形で置いて、その上をお尻で滑らせるんですね。

 使い始めはボードがずれてしまったりして、コツをつかむ前に使用をやめてしまう方も多いようですが、慣れると、介護者・要介護者ともにかなり負担を軽減できます。

 

 “介助用ベルト”という物も、(私は使ったことがないですが)非常に良い気がします。移乗介助や歩行介助の時、ズボンの腰のあたりをむんずとつかんで支える人って結構見るのですが、あれダメですよね。

 まず、伸びる素材だと特に、支えとして不十分。そしてなにより、パンツやズボンがお尻に食い込んでしまう為、ご本人が嫌でしょ。恥ずかしいし気持ち悪いし、私なら絶対イヤ。着脱の面倒は一瞬あれど、介助用ベルトは安全面や介助のやりやすさから見ても、非常に有効ではないでしょうか。

 

 

 

 これも以前に書いたようなことですが、これらの環境整備もろくにせずに、ただ手を貸して立たせてあげたり座らせてあげたりすることは、ただの過剰介護

 優しさのように見えて、本人の残存能力を奪い、自尊心を奪い、その上介護者の負担も増やす行為です。

 

 要介護認定を受けていたら介護用品をたった1割の負担でレンタルできる場合もあるのですから、まずはなにより最初に環境整備を頑張るべきだと思います。そしてその上で、介助が必要な動作の研究をしたら良いのではないでしょうか。

 

 

 

 移乗介助は、下手をすると腰をやります。ヘルニアになってしまって、腰痛ベルトを付けつつ、針や整体に通いつつ仕事をしている介護スタッフもどれだけいることか。ご自身の身を守る為にも、是非できる限りの工夫をしてみてください。