昭和の人間の私としては、本当に世の中便利になったなぁと、様々な場面で感じる昨今。介護関連でも、例えばこのインターネットを使っての情報収集のしやすさは、本当に素晴らしいものだと実感しています。
昔はわざわざ専門のテキストを買って読まないといけなかったり、講師料を払って習わないと教えてもらえなかったようなことが、いくらでも無料で見られるんですから。介護のやり方の動画も本当に豊富。ありがたいですね。私もよく、お世話になっています。
そして時々見かける介護関連のニュース。いかにも、介護にも先進技術が使われるようになったかのような印象を与えるものも少なくありません。
例えば膀胱の残尿を自動で測って、排泄介助のタイミングを知らせてくれる機械とか、例えば排泄介助自体をやってくれる機械とか。そのうち、介護も当たり前にロボットが行う時代がくる……なんていう話も耳にする時代です。
でも……実際のところ、介護現場は10年前20年前とそこまで大きく変わっていない、という施設の方が多いのではないでしょうか?
例えば昔ながらの、“前から抱きかかえる移乗”。これ、世界的に見ると結構減ってきている、という話です。
ただいまいちそれに実感が持てないのは、私の周りでは未だにそれが当たり前に行われているから。もちろんかく言う私も含め、皆それを行っています。
実は私の施設には移乗用のリフトが一時期ありました。座った状態でクレーンのような機械でウィーンと持ち上げ、移乗をするあの機械です。それが導入されることになった時、スタッフは、それはそれは喜んだものです。
しかし蓋を開けてみると、それはあまり使われませんでした。理由は単純。“時間がかかるから”。
確かにリフトを使うと、介護者も被介護者もお互いに体の負担なく、安全に移乗をすることができました。
ただ、リフトの場合、①体の下に座面となる布を敷き、②機械と布を繋ぎ、③機械を操作して移乗し、④最後に座面の布を取る、という流れになります。
それだけではなく、リフトはひとり1台あるわけではありませんから、置いてある場所からとってきて、終わったらまた返す、という作業も必要になるわけです。
リフトを使わずに抱きかかえて移乗したら30秒で行えるのに、リフトを使ったら5分以上の時間がかかってしまう。これではリフトを敬遠してしまっても無理はありません。
問題は、我々スタッフの介助スケジュールが忙しすぎて、ひとつひとつの介助にあまり時間がかけられないということなのですよ。
『早くこの介助を終わらせないと間に合わない!』そう一生懸命な介護スタッフは、例え腰が痛かろうと、うんしょっ!っと気合で30秒で終わらせる方を選んでしまうのですね。
こうしてほとんど使われなくなったリフトは、いつの間にか施設から消えてなくなりました……。
時間を気にしすぎることは、日本人の良いところでもあり悪いところでもあるのかもしれません。それと、ルールやマナーを重んじすぎることも、日本人の良いところでもあり悪いところでもあるのかもしれません。
せっかく最先端なマシンができても、それを使う時間が与えられなかったり、センサーで見守りをすることは虐待に値すると言われてしまったり(高齢者虐待①参照)、なんだかんだで結局はなんの発展もしないままに、昔のままのやり方に甘んじている部分が多い気がします。
高齢化が進み続けるこの日本で、少しでもこの現状をなんとかしようと様々な機械を創り出してくれている方々…。
本当にありがたいですし、長い目で見て絶対的に必要な事だとは思うのですが、残念ながら未だ、現場でしっかり活用できているのはごく一部にすぎません。
日本の高齢者介護の問題って、複雑かつ深刻すぎ。問題が山積みすぎて、先進技術だけでどうにかできるほど、単純なものではないんですよね。
あーあ。 ため息。。。