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 レビー小体型認知症の兵頭さん①

 兵頭さん② 良心的な幻覚編

 兵頭さん③ 暴力編

 兵頭さん④ 徘徊と幻覚編

 兵頭さん⑤ 入院・断薬編

 

 

 レビー小体型認知症の兵頭さん(男性・81歳)。出てきてしまった暴力性や徘徊を止めるため、まずはいろいろと飲み過ぎている薬を一旦“断薬”しようということになり、精神病院に入院することになりました。今回は、入院から数週間経った後のお話です。

 

 

 私、休日を使って、兵頭さんのお見舞いに行ったんです。通常、一介護スタッフが利用者さんのお見舞いに行くことは滅多にないのですが、この時ばかりは、兵頭さんの状態が一変していやしないかと心配でした。

 また、“精神病院”の入院病棟を実際に見たことがなかった為、実はちょっと興味もあったんですね。心のどこかでなんとなく持ってしまっているマイナスイメージ。それを真実ではないと確認したくて、完全プライベートではありましたが行くことにしました。

 

 

 

 しかし……。

 病院に対する憤りと、兵頭さんを入院させてしまった申し訳なさに、涙を拭いながら病院を出ることになるとは……。

 

 

 

 別に、兵頭さんはベッドに縛り付けられていたわけではないんです。穏やかにベッドで入眠中だっただけなんです。ただ……。

 

 兵頭さんの足には、義足が付けられていませんでした。そしてその義足は、いかにも“不用品”であるかのように棚の奥の方に片付けられていました。

 片足を事故で失っていらっしゃる兵頭さんは、当然義足を付けなければ一歩たりとも歩くことはできません。

 

 兵頭さんのちょっとした徘徊に困っていた私たち。その徘徊を、文字通り“足”を奪うことで解決? 

 

 は!?

 

 兵頭さんは多少のふらつきはあるものの、しっかりと歩行することができ、そのため当然日中はトイレにも行かれて、トイレの便器に排泄をされていました。

 

 それが、なに!? 完全オムツ!?

 

 義足を外され、テープ止めのオムツを付けられ、寝かされているだけで、どのように介助されているかは想像がつきます。

 ホームでは毎朝きれいに剃っていた髭はボーボーに伸び、食事をこぼして汚れたであろう服をそのまま着て、日中にも関わらず兵頭さんは爆睡されていました。ホームではこの時間、元気に(?)幻覚相手にせっせと手を動かしていらっしゃったのに……。

 

 

 

 

 ……でも、病院は、あくまで“病気を治すことが最優先”である施設。その為には多少の拘束だってする(義足を取り去る行為は、介護施設の基準では完全に身体拘束。虐待行為です。)のは知っていますし、その必要性も充分に理解できます。

 兵頭さんのことも、断薬をした兵頭さんの安全を守るために、必要なことなのかもしれません。

 

 少し気を取り直して、ナースステーションに伺いました。なにしろ兵頭さんは爆睡中で、会話のひとつもできない状態なので、看護師さんに状況を聞きたかったのです。

 

 

 

 しかし……。

 ここで私は、耳を疑うことに。

 

 

 

『え?断薬!? そんなこと、兵頭さんはされていませんよ。薬は入院前となにも変更されていません。』

 

 

 

 

 愕然としました。

 間違いなく、これは“断薬”のための入院だったはず。それを当然、病院側にも依頼しているはず。それなのになんで!?もう入院して何週間も経っているのに!

 

 それじゃあ、なんのために兵頭さんはこんな所に入院させられているのか。なんのために足を奪われて、筋力を奪われて、こんな汚らしくなっているのか。なんのために……?

 

 

 

 

 病院にご家族を入院させている方、入院を検討されている方、もし読まれていたら、不安にさせるような記事を上げてしまって申し訳ありません。もちろん、こんなことは、珍しいことだと思いますので、あまり心配しすぎないでください。

 ただ、この兵頭さんの件は、私がたまたまお見舞いに行ったことで、たまたま発覚した事実。私が行かなければ、もしかしたら誰もそれと気付かず、無駄に入院期間を伸ばしていたかもしれません。

 

 今はコロナのせいで面会もままならない状態ではありますが、やはり折を見て、電話ででもなんでも、状況を確認することは必要だと思います。医師も看護師も忙しいだろうに申し訳ない、と思ってしまうでしょうが、家族を心配するのは、当然の権利ですから。

 

 どうか、兵頭さんの二の舞いには、させないであげてください。