我ながら、恐ろしいタイトルを付けてしまいました。

 

 でも、蓮田さんのこの一件で思ったんです。

 

「あぁ、世に言う“薬漬け”ってこういうことか。なんて恐ろしいんだろう。」 と……。

 

 

 これまでの分はこちら↓↓↓

  真夜中のおしゃべり相手、蓮田さん①

  蓮田さん② 物盗られ妄想編

  蓮田さん③ 暴言編

  蓮田さん④ 孤立編

  蓮田さん⑤ 暴力編

 

 

 

 レビーでアルツハイマーな認知症、兼、統合失調症の蓮田さん(女性・84歳)。私たち介護スタッフもさんざん殴られ、つねられ、ひどい暴言を吐かれましたが、とうとう他の利用者さんに危害を加えてしまったことをきっかけに、対応にテコ入れをすることとなりました。

 

 

 担当医に相談し、薬を1種、追加してみることになったのです。

 

“リスパダール” 抗精神病薬。

 

 ……そしてその結果、あれだけ元気に(?)暴言を吐き、暴力をふるっていた蓮田さんが、歩けなくなり、ご飯が食べられなくなり、失禁するようになり、日中でも寝続ける状態になりました。

 

 

 蓮田さんはそれまで移動も食事も排泄もほとんど自立だった為、薬の処方により介護度はぐんと上がり、定期的にスタッフが介助しなければいけない状況となりました。介護度でいうと、要介護1がいきなり要介護4くらいに上がった感覚です。

 要介護4の方がいきなり増えるということは、スタッフにとってなかなか大変なこと。しかし、正直な所、私たちは楽になりました。

 

 だって、これで、殴られなくて済みます。腕に爪痕も増えなくなります。ひどいことを言われなくて済みます。夜勤中に不穏の対応に時間をとられなくて済み、少しくらいは仮眠もとれるようになるかもしれません。

 心の負担は、場合によっては、体の負担以上に、負担なのです。

 

 

 

 しかし、誰も訪ねてくることがなくなった真夜中のヘルパー室。しんと静まり返った夜勤中、思わずにはいられませんでした。

 

 「あぁ、これが薬漬けか……。」 と。

 

 

 

 もし仮に、蓮田さんの思考が正常で、その上でご自身がこの状況を望んでいたのだとしたら、これでもいいのかもしれません。

 しかし実際のところ、新しい薬の処方の際、医師は蓮田さんの意向を聞いたわけではないでしょうし、副作用についてしっかりと説明がなされたとは思えません。

 これほどまでに体が自由に動かなくなるかもしれないことを理解し、了承した上でこの薬を飲んだ、ということは、残念ながら100%ありえないのです。

 

 思わずにはいられませんでした。

 「もし、私が薬を飲まされた立場だったら……。」

 

 

 

 

 

 くれぐれも誤解しないで頂きたいのですが、リスパダールを飲んだら必ずこのような状態になる、というわけではありません。もちろん使う人や容量によっては適度に効く、効果の高いお薬です。

 ただ、蓮田さんは薬の影響が強く出過ぎるケースも多いという、レビー小体型認知症でもある為、このような著しいレベル低下を引き起こしたのではないかと思います。

 

 

 

 結果を言うと、蓮田さんの場合、誰から見てもどう考えても薬が効きすぎていた為、約1週間飲んで様子を見た結果、処方が止められました。

 

 「この、バカーっ!!!」

 

 薬が元に戻って数日後、しっかりすっかり元に戻った蓮田さんが叫んでいます。

 

 『蓮田さん、元気になったね。』

 

 顔を見合わせたスタッフは、なんだかみんな、ホッとした顔をしていました。

 ……まぁ、問題は全く解決していないんですけどね。

 

 

 

これ、実は蓮田さんのことでした↓↓↓