先日、PEG(お腹にあけた穴)部分が痛いと苦しそうにしていた。

「こんなものがあるから・・・」

サマリーには「PEGの自己抜去に要注意」と書かれていた。

本人の、せめてもの抵抗なんだろう。


70代の女性利用者。

「胃ろう」の方だ。


なになに?どうした?

サマリーに目を通す。


既往歴に「統合失調症」。

ーー「今日から私はご飯を食べません」と宣言したから、家族が胃ろうを造設したらしい。

嚥下には、何の問題もないという。


「母はとても寂しがり屋なんです」

そう語るのは家族。

ーー施設では一日中ほとんど寝ていて、寂しさの訴えは皆無だが。


それでも、子どもたちは入れ替わり立ち替わり、毎日やって来る。

2時間ほど滞在しては、何かを埋めるように時間を過ごす。

まるで「母のため」じゃなく、「自分たちのため」に。


時々、家族から話を聞く。

その根っこは深く、絡まりすぎていて、もう誰にも解けそうにない。

ほぼ共依存。

というか、呪縛。


——何が何でも母には生きていてほしい。

胃ろうまで造って、生かされて。


・・・それって、本当に「愛情」なんですか?