要介護者が高齢者の場合、救急車をどの時点で呼ぶかは非常に重要な問題です。何でも無い時に救急搬送した場合、医師は安全確認のために最低数日間の入院を求めるでしょう。介護家族者は要介護者から不必要に救急車を呼んだことを責められるかもしれません。一方で、救急車を呼ぶタイミングが遅れると命に関わる状況となります。
要介護者の病気・怪我・老化状況は千差万別です。介護家族者は、要介護者の健康状態に基づいて、可能性のある病状悪化のパターンをある程度想定しておきます。
救急車を呼ぶ判断がつかない状態の場合には、救急相談センターに問い合わせます。インターネットで検索すると救急相談センターの電話番号が出てきます。そこに電話して、症状を伝えて救急車を呼ぶべきかどうかの判定をしてもらいます。
私が自分で決めた要介護者の緊急手順では、要介護者が自力で病院に向かうことが困難な状況になったと判断したら、救急車を呼んでいました。仮に空振りだとしても、これなら客観的に見て、許される範囲だと思うからです。
私が自分の基準で救急車を呼んだ時、母が病院に行きたくないと主張していたことが何回かありました。しかし、いずれも緊急入院(手術、治療)しなければならない状態でした。
救急車を呼ぶかどうかは、要介護者の状態を見て介護家族者が決断しなければなりません。仮に要介護者が救急搬送を拒否しても生命に関わる事態の場合には、迅速に行動を起こすべきです。また、救急隊員が優柔不断な対応をしている場合(要救助者の顔色が良かったりすると救急隊員も油断している時がある)には、救急隊員を一喝して迅速に病院への搬送を依頼(要求)します。
介護家族者は、救急車を呼ぶ決断をした時には、心を鬼にして全力で病院への搬送に注力します。
救急隊員の中には、要救助者が搬送を拒否すると、それに加担して搬送しないように介護家族者に強く要求して押し切る場合があります。私には、実際にその結果、搬送すべき段階で搬送できなかった経験があります。 検査もしていない状態では医者でも正しい判断はできません。医学的根拠のない救急隊員の要求には、断固拒否して搬送を要求して下さい。残念ながら、救急隊員の中には自分達の間違った知識や経験に基づいて救急搬送をちゅうちょしたり、拒む人たちがいます。そのことを介護家族者は覚悟しておいて下さい。
救急搬送しないのは、明らかに救急搬送の必要が無いと客観的に医学的に介護家族者が判断できる時とかかりつけ医による尊厳死に関する書面が有効に機能している場合など、かなり限定された時だけです。通常、搬送しないことはほとんどありません。
東京都下での私の経験としてですが、119番通報してから病院に到着するまでに時間短縮の努力をしても25分程度はかかります(状況によっては40分)。通報してから病院に到着するまでにどのくらいかかるかを介護家族者は”自分達の場合はどうなるか?”として意識しておいて下さい。
(電子書籍、「介護はプロジェクト」から一部抜粋)