
感情認識機能や自然なしぐさなどの機能で高い会話能力をもつ、ソフトバンクの人型ロボットPepper。
神奈川県とソフトバンクロボテクスが進める社会実験に、カラオケ産業のエクシングが参加。Pepperを通じて介護予防プログラム「健康王国」を提供し、体操やクイズなどをPepperと高齢者がともに楽しめるようにします。
健康づくりや介護レクリエーション用の人材不足を補いながら、カラオケなどロボットならではのコンテンツで介護予防に役立てる予定です。
「場所」と「ハード」を提供できるカラオケ業界は、介護予防分野でいくつかの優れたソフトを開発し、効果を実証してきました。しかし継続して高齢者に利用してもらうためには、ソフトと参加者をつなぐ人材の不足が一番の悩みの種。この部分をロボットで補えれば、より多くの高齢者が介護予防レクリエーションに参加できるようになりそうです。
一方、最初から介護用に開発されたロボットで今注目なのが、富士ソフトの「PALRO」。大人の膝丈ぐらいの人型ロボットで、高い人認識&会話能力が自慢。もちろん介護レク向けの音楽やゲームなどのソフトも豊富に積んでいますが、なにより小さなサイズからくる会話と身振りの愛らしさが特徴かも知れません。すでに300以上の高齢者福祉の現場で活躍していて、先日の「国際福祉機器店 H.C.R.2015」でも大人気だったとか。常に最新のレクや話題をダウンロードするため、高齢者を飽きさせないのも魅力。長期レンタルだと月給3万円、だそうです。
最近急に発展してきたコミュニケーション型ロボットに比べると、人に代わって力仕事などをするパワーアシスト型ロボットは、いまいち普及していないように思えます。搬送など一つの仕事は得意でも、いくつもの仕事をさせることが難しく、介護現場ではいくつもの仕事を同時並行して行うのが当たり前なのが大きな原因でしょうか。
そんな中で、東京理科大のマッスルスーツなどが現場で活躍する入浴介助の分野は、比較的実用化が進んでいるようです。介護スタッフの肉体的負担が大きく、リフトなどの大型機器も導入困難なため一定の需要があるようですが、このようにニッチな現場をアシストするのが当面の活躍の道かも知れません。
昔からロボットの得意分野は単純な繰り返し作業といわれてきましたが、介護現場で機転より根気よく繰り返す作業が必要とされているのは、実は介助や見回りなどの現場ではなく、レクリエーションなどのコミュニケーションの分野なのかも知れませんね。